第16話 早百合
ダラダラダラダラ
早百合に腕を掴まれてからいったいどれ程の時間が過ぎただろう。実際は1分にも満たないのだろうが、体感ではかなりの時間が過ぎたように感じてしまう。
「ねぇ美波、聞いてる?」
「い、いやーあの、人違い、じゃないですかね」
「そんなはずない。なんで変装なんてしてるの?」
ダラダラダラダラ
どうしよう。完全に正体がバレてる!私の変装は完璧だったのに!い、いや!諦めるのはまだ早いぞ私!私にはとっておきの秘策があるんだから!!
「ち、違いますよ!それに、私の苗字は白鳥ですよ!あ、あなたの言う美波という方の苗字とは違うでしょう!」
「まぁ確かに美波の苗字は城ヶ崎だけど、その白鳥っていうのお母様の旧姓でしょう」
「えっなんで…あっ」
しまった!『なんで』なんて私が美波だって認めてるようなものじゃない!
「フフッ、入学式の日に美波に似てる人がいるなと思って少し調べてたんだよね。そしたら名前は同じだったけど、苗字は違ったから美波のご両親に手紙を送って白鳥の苗字について教えてもらったんだ」
「そんなことまで…」
苗字のことまで知られてるならもう誤魔化せないよね。
「えっと…久しぶりだね、早百合」
「フフッ、うん!久しぶりだね美波!」
〜教室〜
はぁ〜どうしよう。あの後授業の予鈴が鳴ったから、お互いクラスに戻ったけど放課後早百合の部屋で話すことになってしまった。
早百合になんて説明すればいいんだろう。変装して学校に入学する理由なんてそうそうないよね。
もう、本当のことを話してみようかな。でも、ここは小説の中の世界で私はその小説の登場人物に転生したんだ、なんて言っても信じてもらえないよね。
う〜んどうしようかな〜。
よし!決めた!早百合には私の目的だけ話そう!香澄と唯香をくっつけたいんだって。
小説のことはもういいよね、どうせもう内容はズレてきてる訳だし。それに私は香澄と唯香のイチャイチャが見たいだけだしね!
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