第5話 もう2人の幼馴染
私は今、香澄に抱きしめられている。どうすればいいのかわからない。というか、すごくいい香りがする。幸せすぎる!
「香澄!そんな人にくっつくのはだめですわ!」
あ、危なかった。心臓が止まるかと思った。気絶しなかったことに安堵していた私は、ふと前を見ると香澄の他に2人、女の子がいることに気がついた。
その2人の女の子を見て私は思わず叫びそうになってしまった。なぜならその2人は、第一章から登場する香澄の幼馴染キャラの、『東条 早百合』(とうじょうさゆり)と、『黒崎 瑠花』(くろさきるか)だったのだ。
私の心臓は、聞いたことのないような音をたてていた。そして、瑠花ちゃんによって私から引き剥がされた香澄に、手を握られた瞬間私は、鼻血を吹き出し気絶してしまった。
「んっ、」
あれ?なんで私部屋に戻ってるんだろう。
「美波!良かった目を覚ましてくれて」
ベットの側に涙で顔を濡らした香澄がいた。えっ、ど、どうすればいいのこの状況。
「え、えっと、その、ごめんね香澄」
「いいえ!私たちの方こそ無理をさせてごめんなさい」
「えっ、謝らないでよ香澄、さっきのはその、私が勝手に気絶しただけだから」
「もう、元気になったの?」
「うん!もう全然大丈夫!」
「良かった!私たちとっても心配してたんだからね」
「なっ、私は心配なんてしてませんわ!」
「私も心配していませんよ。むしろ私は毎日暗い顔をしていた香澄のことを心配していたんです」
「もう!2人ともそんなこと言わないの!」
瑠花ちゃんも早百合ちゃんも小説のまんまだな~。私は、2人には好かれてないみたいだけど。でも美波は、香澄以外にはつめたく接してたから仕方ないか。
瑠花ちゃんと早百合ちゃんはさっきも言ったけど香澄の幼馴染。2人とも将来的には香澄を好きになるんだけど、まだそのタイミングは来てないみたい。
瑠花ちゃんはツンデレ、早百合ちゃんはクールな感じのキャラ。2人からは好かれてないみたいだけど、姿を見れるだけでも十分幸せなんだよね。
2人は心配してないって言ってるけど少しは心配してくれたのかな。
「3人とも、心配してくれてありがとね」
「心配するのは当然でしょ!」
「なっ、だから私は心配なんてしてないですわ!」
「私も、勘違いされては困ります」
「フフフ、そうだったね。ごめんごめん」
私がこの世界に転生して初めて、気を抜けた瞬間だった。
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