転生少女と厨二少年と年越し
我が家とアオくんの家はお隣である。そして我が家もアオくんの家も冬休みに祖父母の家に帰省しないタイプの家だった。このことから、年越しはいつもアオくん一家とともにすごしている。
「アオくんアオくん!アオくーん!」
「どうした?餅つけ」
「アオくんこそ落ち着こう」
落ち着けを餅つけって言うのをテンプレだと思うのは私だけだろうか?
「餅つきも確かに明日するけどさ。それは置いといて、私達は明日お年玉がもらえる訳です」
「そうだな」
「そのお年玉を握りしめて初売りに行きたいんだけど、荷物持……ゴホン、一緒に来てくれない?」
「何か良からぬ声が聞こえた気もするが。良いだろう、一緒に行ってやらんこともない」
来るか来ないかわかりにくい言い方だなおい。こういう『なくもない』みたいな話し方、聞いてると混乱するのだ。私の理解力が低いだけ?
「ところでアオくん、今、大晦日の二十三時五十八分なんだけど」
「そうだな」
「年越しの瞬間ジャンプしよ」
「いいぞ」
そして無言で時計を見つめる。
「よっっと」
――ドスン
「「あけましておめでとーー!」」
さてさてそれではやって来ましたお年玉授与タイム。
「よーし!初売りいくぞー!」
「待て待てハルちゃん。今深夜一時だぞ」
「おっとそれもそうだね。一回寝ようかな」
「おいそのままコタツで寝るなベッドに行け」
「ふふふ……コタツの魔力の力はいだ……ちょっ、引きずらないで痛い」
結局アオくんに床の上を引きずられてベッドに連行されましたとさ。
「初売りだぁぁぁぁぁぁ」
「ハルちゃんうるさい」
ところ変わってショッピングモール。すごい人数がごった返している。
「ハルちゃん。何を買いに行くんだ?」
「えーと」
「だから何を買うんだ?」
「ひっっっじょうに言いにくいんだけど、特に買いたいものなかったわ。ノリで初売り行きたくなっただけで」
「それならゲーセンにでも行くか」
「行く行く!」
ゲームセンターは他のフロアに比べると人が少なかった。
「か、可愛い……!」
目に止まったのはクレーンゲーム。その中にあるパンダのぬいぐるみに心を奪われた。そう、このとてつもないアホ面に惹かれた。
「ん?これが欲しいのか?」
「た、たしかに欲しいけど、私ド下手だし……」
「なら俺がやろうか?」
「お願いします神様・仏様・堕天使様ー!」
アオくんがアームを操作する。そしてパンダをガッシリと掴んだ。取れる!と思ったがアームの力が弱かったようであえなく落下した。と思いきやパンダがバウンドして……!
「取り出し口に入ったー!?」
なんと良い感じの位置にバウンドしたのだ。無事にパンダを手に入れることができた。
「アオくんありがとう!この御恩は一生忘れません!」
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