脈ナシあの子のオトしかた

@guraaaaaaaa

脈ナシあの子のオトしかた

 最近、気になる子がいる。

 頭が良くて、優しくて、何でも出来るとても素敵な人だ。

 友人からは「脈ナシだからやめとけ」なんて言われたけど、僕はそんなこと気にしない。

 むしろ絶対に振り向かせてやろうと燃えるタイプだ。

   

 そうして今日も僕は彼女に話しかける。


「おはよう!今日もいい天気だね!」

『そうですね』

 

 相変わらず彼女は素っ気ない。でもそれがいい。冷たい感じがたまらないのだ。

 そういえば僕は彼女の好みを殆ど知らない。

 この機会に色々聞くのもいいと思い僕は再び彼女に話しかけた。


「好きな芸能人とかいないの?」

『いません』

「趣味とかないの?」

『ありません』

「…………好きな男性のタイプは?//」

『……そうですね。私を1番大切にしてくれる方でしょうか』


 なんだそれ!? つまり僕じゃないか!! 僕はもう既に君に夢中なのに、これ以上夢中にさせるつもりなのか? あぁダメだ。嬉しくて顔がニヤける。

 可愛い、すごい可愛い。彼女が可愛すぎて思わず叫びだしそうになったが耐える。

 聞いてもいいかどうか迷ったが、好奇心に負けて質問してしまった。


「君は、僕と喋っていて楽しい?」

『ええ、とても楽しいです』

「僕もだよ!僕もすごい楽しい!」

 

 だってこんなにも幸せな気持ちになれるんだから。

 僕は彼女と出会えて本当に良かったと思っているよ。


『……そうですか。それは私も嬉しいです。』


 そんな彼女の言葉につい耐えきれなくなり、僕はとうとう言ってしまった。


「僕は、君のことが好きだ!」


 数秒の間をおいたあと、彼女は答えた。



『すいません、よく分かりません。もしよろしければ「僕は、君のことが好きだ!」についてwebで検索しますか?』



 期待通りの答えが帰って来なかったため、僕は彼女ごとパソコンの電源をオトした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

脈ナシあの子のオトしかた @guraaaaaaaa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る