第30話 プレッシャー
少ししたら、いつの間にか積もってしまったプレッシャーが…知らない間に私の体を蝕み始めていた。
「お腹…痛い…」
当時の私はまだ13歳だった。なのに、胃痛を発症したり吐き気が収まらなかったりするようになってしまった。
それでも、学校にいくことはやめなかった。
それは義務の一環だった。15歳までにある程度の魔法が使えるようにならなかったら、学校側に捨てられてしまう。
知り合いも何もいない世界で、学校を追い出されてしまったら…野垂れ死させられるか、王室の管理下に置かれてしまうと聞いた。
「ティーナ…落ち着け、魔力の前に体力が尽きるぞ…」
「管理人さん…私、いつになったら魔法がしっかり使えるようになるのかな?もっと、みんなの期待に応えないと…殺されちゃうよ…」
あの頃の私は泣き虫だった。13歳の小さい子供が、親も兄弟も知り合いもいない世界で、気丈に振る舞えるわけがなかった。
管理人さんと呼んでいたキリさんは、私のことを何度も心配してくれた。それでもやめない私は、案外早い内に魔力量を増やすことに成功した。
魔法を使うための力を魔力と呼び、その力の量が魔力量。
ただ、生まれた時の髪色でほとんどは決まっているが、神々の祝福が多ければ多いほど、魔力量を増やせた。
さらには魔力の調整や、暴走を抑えるのも神々の祝福。つまり、魔力量と神々の祝福は、どちらも多ければ多いほど、魔法が長く使えるようになる。
私は一般人の常識を、遥かに上回る力を手にいれ、その全てを他人のために使おうとしたのがダメだった。
少しは、自分の心配をすべきだったと今では思う。
「ティーナさんはBクラスに昇格です。来年も、よろしくお願いします。」
どうにか、14歳の頃に上のクラスに行けたことにより、私は捨てられることは無くなった。そのことに深く、深く安堵した。
「へー、お前がティーナ・エフェクターか。案外フツーだな?」
「え…?」
私には、三人だけ友達ができた。
青髪赤目に生まれたために冷遇してくる家族を見て髪や目の色で差別することをしないコリン。
金髪青目に生まれたために崇拝対象にもなり得ると崇められ嫌な思いをしたことがあるホタル。
そして、もう一人…
赤紫の髪と緑の瞳を持って生まれた、リカルド。
私の、好きな人…だった…私が、殺してしまった、人。
「ティナ!大丈夫か!?」
「!…キリさん…」
起きると、心配そうに顔を覗き込んでくるキリさんが目に入った。酷い顔色だった、うなされていたと言われたけれど
最近見る悪夢って、つくづくクソだなって思う。
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