第25話 風の精霊

 箒で飛んでいると、色々なものが見えてくる。時には、見たくないものでさえも。だから人は徒歩も好きだったりする。

 魔力をあまり消費しなくて済むし、動きやすい。検問に引っかかることもない。けれど私は飛ぶのが好き。

 下で何か、小火騒ぎがあってもスルーできるから。


 …だったはずなんだけどなぁ…

「くっ…全然弓が当たらないぞ…」

「なんて速さだ…」

 いや、飛行中の魔女に弓撃つとかマジ?普通に当たったら大怪我または死ぬんですけど??いや、当たらないけどさ。

 でもさすが風の精霊…当たりはしないものの、普通に急所を狙ってくる。見たところ外傷もなさそうだし、元気すぎるくらいだ。

 でも早く降りたいんだけどね、こんなに敵対されてたら降りれるもんも降りれないじゃないか…

 一旦、バリアを張りつつ下がるしかなさそうかな…面倒すぎる。


「よ…っと。こんにちは〜風の精霊の皆さん。」

「!?紫の髪に緑の瞳…まさか、ティーナ・エフェクター様!?ご無礼をお許しください…」

「別にいいよ〜当たってないし。まぁ元気そうだね?他精霊は滅んでるのに」

 そういうと、風の精霊はざわざわし始めた。申し訳ない、だとかそんな言葉ばかりが聞こえてくる。うるさいので一旦長と話をつけることにした。

「わたくし共も、襲われこそしました…ですが、我々は風の民。風属性は、雷を起こせますので他精霊の子供らをこちらで保護しております。」

「…やっぱりね。つまり、今回の一連の犯人は…」

「ええ、そうでございます…」

「「水の精霊」」

  最初からそうなのではと思ってバリアを張ってきてよかった。コリンが張ったバリアは外部からの攻撃を防ぐ単純なもの。ただ私の施した強化というのは、内側から誰も出られなく、攻撃を出せなくなるものだ。

 反転魔力式バリア。随分前に自己流で編み出したものだけど、こんなところで上手く使えるとは思ってもなかった。

「じゃ、風の精霊さんたち着いてきてくれる?今の所、水の精霊に敵うのは君らだけだから。ここにはバリア張るから、実力者かき集めてきて」

 そういうと、沢山の足音と共にデカイ奴らがやってきた。風の精霊は見た目とは違って弓とナイフ、風に雷を使うので前線で戦うのは恐らく私だ。

 覚悟していかないといけないだろう。




「う…ん…ここは?」

「あっ、コリンさん。気づきましたか?もう熱も下がりましたよ…」

「アイツは?」

「ティーナさんですか?今、お一人で…」

「…は?待て、…ごめん、行くわ」

「あっ、コリンさん!!」

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