河畔の葬儀
藤宮史(ふじみや ふひと)
第1話
私は、重い荷物を駅のコインロッカーに預けようと思うが、駅にも、駅前にもそれらしい所はない。それどころか開いている
私は、旅のまえに、あらかじめ地図で葬儀会場をしらべていたので、半分
この眼前の風景は、私の、今の気持ちを代弁しているような風景で、これから寝不足の
歩いて、
私は、建物に入るまえに、白いコートをぬぎ、ハンチング帽子をとった。コートの下は喪服である。喪服で町なかをうろうろすることもなかろうとコートを着ていたが、ほんとうは黒いコートがなく、あれば急いで非礼の白いコートをぬぐこともない。
建物の入口で、葬儀会社の
会場の雰囲気に戸惑っていると、
所在なく
定刻になって葬儀はしずかに始まった。葬儀会社の司会者の手慣れたアナウンスの声で、葬儀は粛々と進行してゆく。僧侶が二人入場し、霊前に坐す。そして、ゆっくりと読経をはじめた。
僧侶は読経しながら、時折
棺を親族が数人で
火葬場は園部の小山の中腹にある。人里はなれていない。もっとも、園部の町が華やかな京都市内から遠くはなれた
火葬が終り、骨をひろう。焼き台は、いまだ高熱を発して、手をかざすと熱い。火葬場の職員からやけどの注意をうけ、焼き台を気にしながら骨をひとつ、ふたつと拾ってゆく。
今の火葬は技術が進歩したものか、昔のものと比べて骨の焼き残りの状態がいい気がする。
西日本では、
骨壺を火葬場近くの
葬儀、及び初七日の法要は午後三時半にすべて終わり、私は一番下の
香典返しを葬儀の当日に手渡すと
私は叔父の車を降り、親族との通り一遍の挨拶。それから車は無情に、なんの感慨もなく走り去り、ひとりきり、ぽつんと無人の駅前に、多すぎる荷物を
園部駅の東口には、駅から随分はなれたところに一軒だけコンビニがあった。私は、そこの露天の駐車場に荷物をおろし、屋外で
あらかじめ、寝不足で、疲れきって動けないだろうと予想して、園部にホテルを予約していた。このビジネスホテルのチェックインは午後四時である。コンビニで荷物の発送の手続きをしていると四時近くになった。
疲れと
私に、受付は無人だと話しかけてくる人は、泊り客であるのか設備工が着る作業服で
深夜一時すぎ、ベッドに
河畔の葬儀 藤宮史(ふじみや ふひと) @g-kuroneko
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