【完結】強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となっていた!
7話。王女にプロポーズしたと勘違いされて惚れられる
7話。王女にプロポーズしたと勘違いされて惚れられる
【ヴァイス視点】
「ちょ、待って! いきなりで、よくわからないんだけど、王妃様を黒幕呼ばわりって、本気!? って、証拠はあるの!?」
案の定、セリカは思い切り動転していた。
ゲームシナリオでは、約1ヶ月後にヴァイスはセリカによって退学に追い込まれる。
逆恨みに燃えたヴァイスは、魔族の最高幹部である
つまり、今ここが第2の勝負どころだ。
俺の破滅を回避するには、セリカとずっと一緒にいられる立場、王女の従者に取り立ててもらうことだ。
絶世の美少女である大魔族ジゼルのユニークスキル【
ゲームでは、勇者アレンは信頼関係を結んだセリカの協力によって、ジゼルの精神支配を跳ね除けて、ジゼルを倒した。
聖女セリカは、回復魔法のスペシャリスト。【聖女】スキルを持つ者にしか、邪悪な力を打ち払う解呪魔法は習得できないし、女性は【
セリカこそ、俺の破滅を回避するためのキーとなる人物だ。
「証拠はありません。ですが、心当たりはお有りではありませんか?」
「うっ、そ、それはあるわ……」
セリカは顔をうつむかせて答えた。
彼女が、王妃を母親毒殺の犯人だと疑っていることは、ゲームシナリオからわかっていた。
セリカは王妃の罪を暴き、母の仇を討ちたいと考えている。
だから、この話を持ち出せば、俺の無茶な要求を通しやすくなると考えた。
「王妃様は大魔族ジゼルと内通しています。王妃様が、ジゼルを手引きしてガロンを魔族化させ、セリカ様を襲わせたというのが、今回の事件のあらましです。王妃様を放置すれば、この国はやがて未曾有の危機に見舞われます」
「ほ、ホントなの!?」
セリカは度肝を抜かれた様子だった。
「はい。王妃様は、亡くなった実子が継ぐハズだった王位を、セリカ様が継ぐことが我慢ならないのです。王妃様は、セリカ様の御母上のことを、今でも陰で『泥棒猫』と呼んで罵倒していますでしょう?」
「そ、その通りよ」
「俺は王妃様が怪しいと考えて、独自にずっと調査を続けて参りました。そのおかげで、今日のガロンの襲撃を知り得たんです」
王妃が黒幕なのは真実だが、ゲーム知識が情報源だとは言えないので、俺は調査をしたと嘘をついた。
「ずっと、王妃様を調査……!?」
セリカは衝撃を受けて立ち尽くしていたが、やがてその瞳に理解の色が閃いた。
「ま、まさか、ヴァイス君は……後宮勤めの女官の屋敷に忍び込んで、ムチ打ちの刑を受けていたけど、それはすべて王国のため?」
「へっ……?」
「王妃様は学園の理事! もしかしてヴァイス君の変態行為は、バカを演じて調査を悟られないためのカモフラージュだったの!?」
なにやら、セリカが興奮気味に詰め寄ってきた。
「あっ、だから、実力も隠していたのね!? 学年最下位の変態なら、敵からノーマークになるわ!」
「……あっ、いや、まぁ、そんなところです」
何か勘違いされてしまったようだが、ここは話を合わせておいた方が良いだろう。
しかし、クズヴァイスの外道ぶりは、常軌を逸しているな。
記憶を掘り返すと、ここ最近のヴァイスは後宮の美姫たちの下着が欲しくて、泥棒に入っていただけだ。
「う、嘘! 感激だわ! ハッ! ごめんなさい! まさか、そんな深い事情があるなんて知らなくて。私、ヴァイス君のことを誤解していたわ! さすがはエレナのお兄様ね!」
セリカは俺の両手を握って、瞳を輝かせた。
うぉっ。手がすんげぇ柔らかい上に、かわいい顔が近いんですけど!
「まあ、俺がドクズだったのは確かなので、仕方がないですね」
「ありがとう! ありがとう! これでお母様の仇を討てるわ! ねっ、何か証拠とかないの!?」
無論、調査などしていないので、証拠はない。だが真実を知っている俺は、王妃を疑うに足る根拠を示せる。
「えっーと。残念ながら、何も。ですが、6年前に、セリカ王女の御母上を毒殺したのは、王妃様以外にあり得ません。王妃様はセリカ様のことも憎んでおられます」
まず、これが動機。
「部外者が立ち入れない後宮の支配者なら、大魔族ジゼルを招き入れて匿うこともできますし、学園の理事ならガロンに復学を匂わせて、ジゼルと引き合わせることも可能です。エレナが護衛につき、セリカ様も毒殺を警戒しておられる状況では、魔族と手を組まなければセリカ様の抹殺は叶わないと考えたのでしょう」
「状況証拠は十分という訳ね! それだけでも、心強いわ!」
セリカは屈託のない顔で笑った。
「ジゼルの狙いもセリカ様のお命です。ヤツのユニークスキル【
「なるほど。王妃様と【傾国】のジゼルの利害が一致したという訳ね。でも、そんなことをすれば、この国そのものが無くなってしまいかねないのに、王妃様は何を考えているのかしら? そ、そんなにも私が憎い?」
王妃はセリカが女王となるくらいなら、こんな国など滅んでしまって良いと考えている。
だが、そんなことを口に出して、わざわざセリカを追い詰める必要は無いだろう。
「……今後、王妃様からの攻撃は、さらに激化していくでしょう。だかこそ、俺をお側に置いて欲しいんです!」
俺は懸命に頭を下げて頼み込んだ。
おそらくゲームシナリオ通りに、ジゼルは俺を魔族化させようと近づいてくるだろう。
ジゼルは俺のユニークスキル【超重量】の真の力を見抜いて、俺を配下に欲しがる。これを俺1人の力で覆すことは、かなり難しい。
何しろ、ジゼルは目を合わせた男性を操り人形にしてしまうようなヤツだ。
「セリカ様のことは何があっても俺が守り抜くと誓います! そのためにもっと強くなります!」
「何があっても、私を守り抜く……! そんなにも私のことを!」
セリカは何か感銘を受けたように唇を震わせた。
「で、でも。いろいろ段階を飛ばして、私と(恋人として)一緒に暮らすとなると。お父様だけじゃなくて周囲にも認めてもらう必要があると思うな……魔族を倒しただけじゃ、やっぱりちょっと難しいかも? 最低でも
……ふむ。
王女の従者になるなら、学業成績も良くないといけないということか?
考えてみれば、当たり前のことだな。
「
騎士学園での俺の評判は最悪。セリカとの関係を改善しても、退学にさせられる危険は大いにある。
なにしろ
もし退学なんてことになれば、当然、セリカの従者もクビだ。一緒にいられることはできなくなる。
だけど、
「わ、わかったわ。本気なんだね!?」
へっ……? なにか、セリカのテンションがおかしいような。
「はい、もちろんです」
だけど、このチャンスを逃す手はない。俺は戸惑いながらも、頷いた。
「じゃあ誓ってちょうだい。私を守り抜くだけじゃなくて、一緒に王妃様を倒してくれると! それが、あなたの想いを受け入れる条件よ!」
「元より、その覚悟です。必ずセリカ様をお助けして王妃様を倒すと誓います。
俺の実家は、国王陛下の右腕となっている名家だ。信憑性を高めるために、その名を持ち出して誓いを立てた。
「うぁあああっ、う、うれしい! あなたのような人が現れてくれるなんて! 今日は人生最良の日だわ、お母様ぁ!」
セリカは歓喜を爆発させて、全身を震わせた。
これまで王妃が怪しいと感じていても、その腹の内を誰にも開かせずに、1人で苦しんできたのだろうな。
「……じゃ、じゃあ、これからは敬語は無しで、私のことはセリカと呼んでよね」
セリカは顔を上気させて、よくわからないことを告げた。
「えっ? なぜですか?」
「そんなの(一緒に暮らす恋人なら)当然でしょう? それにさっきも私のことを呼び捨てにしたじゃない」
当然なのか……?
いくらなんでも従者が王女にタメ口なんて、非常識な気がするけど。
「むっ? もしかして嫌なの? 私と一緒にいたいのに?」
セリカは頬を膨らませてむくれてしまった。
まずい。破滅回避のために、ここはセリカの機嫌を取っておかなくちゃな。
「それで、セリカと(従者として)一緒にいられるなら願ってもないことだ。それじゃ、報奨として俺をセリカの従者にしてもらえるように、国王陛下に頼んでくれないか?」
「うん! まずは従者という立場だね。それなら、すぐに一緒にいられるし。ヴァイス君が近くにいてくれたら、心強いわ!」
セリカは飛び上がんばかりに喜んだ。
よし、やったぞ。
うまく従者になることを承諾してもらった。
勇者アレンの入学イベントも完全にぶっ壊したし、最高の結果だ。
首尾良く
セリカは
女の子にモテないことにかけては自信のある俺は、変な夢など見ないのだ。
目的を達成したら、すぐに身を引こう。それで、バッチリだ。
よし。これで破滅回避にまた大きく一歩前進したぞ。
「う、う〜ん……」
「あっ、エレナ!?」
その時、気絶していたエレナが頭を振って身を起こした。
俺はすぐさまエレナに近寄って、声をかける。
「エレナ、身体はまだ痛むか?」
「ひゃあっ、だ、誰ですか……!? その声、ま、まさかヴァイス兄様!?」
エレナは口をパクパクさせらせて、俺を見つめる。
一瞬、俺が誰だかわからなかったようで、彼女は思い切り身体を仰け反らせた。
「あっ、驚かせて悪い。実は俺は【超重量】が使いこなせるようになって。そのおかげで、体重が一気に落ちたんだ」
「な、なるほど! びっくりしました。あ、あの先ほどは助けていただき、ありがとうございました兄様!」
エレナは食い入るように俺を見つめた。
「あの時のヴァイス兄様は、とても素敵でカッコ良かったです!」
「そ、そうか……?」
リアルに降臨した美少女ヒロインから、面と向かってカッコいいとか言われると、ドキっとしてしまう。
思わず照れ臭くて、頰をかいた。
「うん、そうよね。あのガロン君に立ち向かって行ったのは、カッコ良かったわよね!」
「はい、一生忘れられないほどの感激でした! あっ!? それで今の状況は……? 魔族化したガロン先輩はどうなったのですか!?」
エレナが真剣な顔つきになった。
「もし逃げたのだとしたら、一大事です! 国王陛下に報告して、
「エレナ、安心して! ガロンはヴァイス君が、やっつけちゃたわ!」
ガバっと、歓喜したセリカがエレナに抱き着いた。
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