303 オークイルダンジョン 2
「おつかれさまでした。3班に分かれてダンジョン攻略を成し遂げる事も余裕でできそうですね」キルがロムに話しかけた。
「そうじゃな。この先には魔物の気配はほとんど感じんし、いつものように後はダンジョンコアとミミックじゃろうな」
「帰りもロム班だけで戦うんですか?」
「シミュレーションとしてはそうした方が良いのじゃろうな」
「そこまで厳密にやらなくても良いんじゃないか?」グラが話に加わる。
「俺もそう思いますよ」キルが言った。
「帰りの時のエンシェントドラゴン2匹は私達に戦わせて欲しいわね。少しは戦いたいもの」とサキが言った。
「かまわんぞ」とロム。
「それじゃあ、帰りは俺達が戦うよ。それで良いよね」とグラ。
皆んなが頷いた。
翌日ダンジョンコアを確認して宝箱を開けエリクサーをゲットした。ついでにミミックは倒しておく。とって返してエンシェントドラゴン2匹を相手にグラ、サキ、モレノ、ルキアが戦い無事倒す事に成功した。
「こんなもんでしょう!」得意げに言うモレノをルキアがジト目で睨む。いつもの事だ。
ルキアが先頭になって帰りの道を進み始めた。ルキアは盾を構えて戦いに備える。
現れたレッドドラゴンを4人は蹴散らしていく。
グラとサキはややおさえぎみに戦っているのがわかるが、それはモレノとルキアに好きにやらせるためだ。モレノとルキアは楽しそうに伸び伸びと戦っていた。此処まで戦えずに我慢してきたのだろう。どんどん出口に向かって突き進み第12階層で野営、翌日第6階層まで進んで野営し次の日にはダンジョンを脱出した。キルとクリス、ケーナは一度も戦う事なくこのダンジョンを出た事になるが、なぜかユミカの方が不満顔だ。もっと戦いたかったようだ。
オーキルの街で1泊して次の予定を相談する予定だが、外部環境の変化も気にかけなければならない。
獣人達との関係がどうなっているのか気にかかった。
晩飯を3班に分かれて情報収集しながら済ませて得た情報によるとやはり獣人軍とロマリア王国との戦争は避けられそうもない状況のようだった。
「これは一旦ベルゲン王国、ルビーノガルツに引き返しておいた方が良さそうだな」グラがロムに言うとロムも頷いた。
「一度緑山泊に立ち寄って話をしておいた方が良いじゃろうな」
「そうね、ジルベルトさんの予想を聞いておいた方が何かと判断の足しになりそうよね」とサキ。
クリスは心配そうに俯いている。ロマリア王国が敗れれば次はベルゲン王国との戦争は避けられなさそうだ。できればロマリア王国で獣人軍を撃退して欲しいものだが望みは小さそうだ。
ベルゲン王国との戦争ともなればルビーノガルツ侯爵家としても兵を出さない事はあり得ない。また領民が戦火に巻き込まれると言う事になるのだ。キルはそういうクリスの思いもわかる。できれば戦場はロマリアまででおさえたいな……とキルも思った。
「ロマリア王国軍に援軍として加わった方が良いかもしれませんね」キルが言った。
グラもサキも驚いた顔でキルを見た。
「なぜ、ロマリア王国を助けにゃならんのじゃ?」ロムが眉根を寄せた。
「ロマリア王国のことなんて関係ないじゃない。滅んだ方がいい国だわ」サキも憤慨して言った。俺達はロマリア王国にあまりいい思いは持っていない。どうしてロマリアのために自分達が戦わなくてはならないのだろうか?そう思うのは当然だ。
「そうですよね……」キルは小さな声で言った。
「明日は緑山泊を目指して出発しよう。まずはそれからだね!」グラが方向性を決めた。
「ジルベルトさんも獣人軍の動きについてはわかっているはずだから、きっと良い作戦を立ててくれるに違いないさ」と笑っていうグラ。
確かにそうすることが一番良いかもしれないと思うキル達だった。
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