247 第2聖騎士団軍キューリー
宗教国家スタインブルクの侵攻はベルゲン王国の二つの都市を同時に攻めるというものであった。
ベルゲン王国四天王ナックル、スリザリンの2将軍はスタインブルクと領地が接するマークキス子爵ノンシルクと共にスタインブルク軍の侵攻に備えていた。
最もスタインブルク領から近いマークキスが最初の戦場になりやすいからだ。
だがスタインブルク軍の攻撃目標はマークキスの東のダミア子爵ヒンメルとアムテル男爵テルラムの領地ダミアとアムテルだった。
「ナックル将軍、スタインブルク軍がマークキスの北を東に向けて移動中だそうだ。その数およそ2万。奴らの狙いはマークキスではなくその先のダミアかもしれない」
スリザリンが眉根を寄せてナックルに言った。
「ダミアにはどれほどの兵がいるのかな?ダミア子爵ヒンメル はどれだけの騎士を抱えている?知っているか?」
ナックルがスリザリンにに聞く。
「抱えている騎士は数百、冒険者を雇い民兵を募ってもダミアの兵力はおそらく3000〜4000というところだろうな」
スリザリンの表情は厳しい。
「とにかく急いでダミアに向かった方が良さそうだな」
ダミアの兵数を聞いたナックルはすぐさま行動に移すのだった。
ナックル、スリザリンの2軍2万はマークキスの南東で軍事演習を行なっていたがスタインブルク軍がマークキスの東に向けて行軍中の報を受けてダミア、アムテル方面に向かった。
「報告!先ほどのスタインブルク軍の他にさらにもう一軍が東に向かっているとの事です。その数2万」
「なんだと〜!敵軍の合計は4万だというのか」ナックルが眉根を寄せた。
「王都に援軍を求める。急げ!」ナックルは王都に援軍の要請をして自軍はダミアに急ぐのだった。
王都では再編された第1第2王国直轄軍と緊急招集された冒険者と合わせて5000ずつの1万の兵がマークキス方面に向かって出発した。
マークキス、ダミア、アムテルでは貴族軍と冒険者、民兵が総動員されそれぞれ4000、3500、3500の兵がそれぞれの都市の守りを固めた。
近隣の貴族が出兵しベルクレスト軍2500、ベルゲンケルト軍2500、ルビーノガルツ侯爵軍1200、パリス侯爵メレンハイトの軍1300もマークキスの南東に集合しようとしている。
スタインブルク第2聖騎士団軍はダミア、第3聖騎士団軍はアムテルに向け移動している。これらは聖騎士200、聖職師200を中核に信者兵(歩兵)が付き従っている。
1聖騎士が100人隊を作ってそれが200あるという構成で一軍が出来上がっていた。
ダミアに到着した第2聖騎士団軍はダミアに攻撃を開始した。
「まずはダミアの城壁の弱点を調べろ。城壁のどこが弱いのか調べるんだ」
第2聖騎士団軍団長キューリー将軍の指示に副官が動き出した。
ダミアは平地に有る都市のため地形的には東に接する川側から攻撃は行いづらいという特徴を持つ。山に守られた箇所は無い。
「東は川が流れているため攻めづらいと思われます。城門の大きさは南門が一番大きく防衛拠点も強いようです。狙うなら西門か北門がよろしいかと思われます!」
「よし、北門に集中攻撃だ!」
副官の報告を聞いた第2聖騎士団軍団長キューリー将軍が攻撃目標を決めた。
キューリー率いる第2聖騎士団軍2万がダミアの城壁に攻撃を開始した。
城壁ではダミアの兵3500が北門中心に守りを固める。
ヒンメル子爵自らが防衛の指揮をとっている。
「撃て!」
両軍弓の撃ち合いが続く。
スタインブルク軍は投石機も持ち出している。
「撃てー!」
激しい撃ち合いが日が暮れるまで続いた。
「よく守るな……」
キューリーが眉間に皺を寄せながら独り言を呟いた。
「報告します!南から王国軍2万が近づいています」
「もう来たか!早いな。近くで待ち構えていたか」
くそ、明日の朝に西門に攻撃を仕掛けるつもりだったが中止だな。
キューリー将軍は腕を組んでしばらく考えたのち兵を下げさせる指示を出した。
明日は守りの手薄になった西門を一気に突き破る予定だったが上手く門を破れなかった時には、挟撃される形になる。そうなれば我が軍は大きな損害を出す事になるのだ。
キューリーはまず野戦で駆けつけた王国軍を叩く作戦に切りかえる事にした。
スタインブルク第2聖騎士団軍は北に移動してダミダナル平原に陣取ったのだった。
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