222 ヤオタ対ホド

ヤオタは怒っていた。


「情けない奴らだ!!」

四天王達を睨みつける。


四天王達は俯いて目を合わせることができない。


「まあ良い!この俺が此処から3人を倒して見せれば良いのだからな。これぞ勝ち抜き戦の醍醐味というものよ!」

1人で納得するヤオタだった。


ヤオタは前に進み出てホドと向き合った。


「フン!お前もなかなかやるようだがあきらめろ!この俺を相手にしたのが間違いだったのだ。運が悪かったな」


ヤオタの挑発に無口なホドは腕を組んで口の端を釣り上げた。


ヤオタは身体強化系のバフをかけまくっているのがわかる。

身体が何度も光に包まれるからだ。


ホドも同様に身体強化系のバフをかけまくる。


ヤオタはバフをかけ終わり攻撃段階に入ったのか遠距離攻撃系のアーツを使ってきた。


「鎌鼬!」


斬撃がホドを襲った。


「フン!」


ホドも遠距離系の斬撃を繰り出しヤオタの攻撃を相殺した。


「ははは、なかなかやるな!それでは近接戦闘で勝負をつけようじゃないか」

ヤオタがダッシュして間合いを詰めた。ホドも近接戦闘に備える。


ヤオタの剣撃をホドの剣が受けまくる。

ホドは防戦一方だがヤオタの剣でダメージを受ける様子は見られない。

完璧に防いでいた。


一旦距離を取り息を整えようとするヤオタ。

此処ぞとばかりホドが攻撃に転じた。

今度はヤオタが受けにまわった。


ホドの攻撃を受けながら大きく距離を取ろうとするヤオタ。


2人はまた離れて間合いを測りあった。


ジリジリと移動する2人。


「我が必殺の豪剣受けてみよ!!一の太刀!!」


物凄い剣圧を帯びた一刀がホドを襲う。大上段からの切り下ろしだ!


ホドは刀で受けようとはせず身を翻して一の太刀を躱した。

剣で受けていたら剣ごと切られていただろう。


ニヤリと笑うヤオタ。


「一の太刀!!」


躱わすホド。


「一の太刀!!」


ホドは躱わす。


「一の太刀!!一の太刀!!一の太刀!!」


躱わす躱わす躱わす。


「一の太刀!!一の太刀!!一の太刀!!一の太刀!!一の太刀!!」


躱わす躱わす躱わす躱わす躱わす。


「クソ〜」とヤオタ。


「もう疲れたか?」

無口なホドがヤオタを挑発した。


「なんだと〜、喰らえ!一の太刀!!」


躱わすホド。


「フッ!」ヤオタを嘲笑うホド。


ホドの挑発に激昂するヤオタ。

「喰らえ!一の太刀!!…一の太刀」


躱わすホド、そしてホドは次の一の太刀にカウンターでヤオタの腕を狙った。


ヤオタの右腕が血飛沫をあげた。


「ウグ!」唸るヤオタ。


防御力の高さに腕を切り飛ばすことまではできなかったようだが、この一撃はヤオタにかなりの深傷を負わせていた。


ヤオタの右腕がだらりと垂れる。

だが左手に剣を持ったヤオタの目にはさっき以上の闘志がこもっていた。


「勝負は此処からだ!」叫ぶヤオタ。

確かに油断のならない気魄だ。


気魄に押されて距離を取るホド。


ホドは遠距離から剣撃を飛ばして攻撃をした。

無数の剣撃がヤオタを襲う。


ヤオタは左腕一本でその無数の剣撃を叩きふせる……が防ぎきれなかった剣撃によって体から血飛沫が飛んだ。


「お前の負けだ!」ホドが降参を促すがヤオタは無視をして逆に剣撃を飛ばしてきた。


ホドは剣撃を叩き落とし逆に剣撃を飛ばす。


それからはホドが遠距離攻撃を打ち続けた。


ヤオタは左手一本で躱し続けるが体の傷は増え続ける。


全身血まみれになったヤオタにホドがまた降伏をすすめた。

「お前の負けだ……負けを認めろ」


「まだまだやれるぞ!」

ヤオタがまた遠距離攻撃を打った。


ホドはまた剣撃を飛ばしてヤオタの攻撃もろとも包み込んだ。


無数の剣撃に切り刻まれるヤオタ。


「これ以上続ければ死ぬぞ、負けを認めろ!」


「死んでも認めん」

ヤオタがまた剣撃を飛ばす。


ホドはもう一度攻撃を繰り返した。

「もうあきらめろ、おまえのまけだ」


立ち尽くすヤオタから返事は無かった。

ヤオタは立ったまま死んでいたのだった。


審判がヤオタに近づいてその死を確かめる。


「勝負あり!勝者、ホド!」


戦いは相手が負けを認めるか、戦闘できなくなるまで続けるのが決まりだった。

とは言えホドにとっては苦い勝利となったのだった。


相手が死んでも罪に問われる事はない。

負けを認めず続けたヤオタに責任があるのだ。

それが試合=死合いだった。互いに殺し合ったのだから仕方のない事だ。


ゼペック爺さんが一言呟く。

「敵ながら天晴れだったのう」

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