214 ニコゴンダンジョン 2

「ケーナ、ゼペックさんとクッキーは危なくなったりしなかったかい?」

キルは小声でケーナに聞いた。


「大丈夫だったすよ。ゼペックさんもクッキーちゃんも討伐に参加してたっす。特にゼペックさんはノリノリっす」

ケーナがキルに耳打ちした。


安心するキル。


「ケーナは第3階層で物足りなくなかったかい?」


「そうっすね。次は第4階層で狩りをしたいっす」


「だよね。ダンジョン出たら皆んなのミスリル製武器を買いに行かないとだね。」


「そうっすね。王都の大商会か、鍛治師の街ドワーデンに行けば良いんっすかね?」


キルはケーナの口からドワーデンの名が出たことに驚いた。

ケーナって結構物知りなんだな、見直した……


「ドワーデンってここから遠いんですか?」

鍛治師の街ドワーデンの事がエリスの興味を引いたようだ。


エリスやユリアはそろそろミスリルの剣とかが欲しいだろうな…相手が硬くなってきているし、今使っている剣もかなり使ったから新しくしたいだろう。


「ドワーデンはユフリンよりもっと西だね」

グラがザックりとした方向を教えてくれた。


「其処って腕の良い鍛治師がたくさんいるんですか?」


「そうだね。ロマリア王国では武器の生産量1位の街だからね。職人も多いし当然その質も高い。昔からの鍛治工房が多く受け継がれた技が集積しているんだろうね」


「そうなんですね!早く良い武器欲しいな〜」「うん。うん」


「ワタシも〜」モレノも良い武器が欲しいらしい。

多分皆んなそういう気持ちなのだとキルは思った。


食事の準備が整って皆んなが食べ始める。


「何これ、美味しい!クッキーちゃんこれ初めて作ったね?」「うん。うん」


「あ、はい。この前作るための道具を買い揃えたので作ってみましたモーモウ肉のカツです」


「これは美味しいっすよ。また作って欲しいっす。」


「美味!であるな」


「とても美味しいですわ」


この前揚げ物をする為の調理器具やパン粉用のパンを買っていたのを思い出すキル。

あれはこの料理のためだったのか……


クッキーは新作料理を褒められて満面の笑顔だ。

皆んなも美味しい料理を食べられて大満足という感じだった。



翌日はまたグループで別れて狩りに向かう。


第6階層の狩りと探索でキルは宝箱を発見してマジックバッグを手に入れた。


これは良い物を手に入れたな。

そういえば毎回食事の準備のためにストレージから出し入れしているのも面倒だ。

クッキーに料理関係の物をこれに入れておいて貰えば面倒がなくていいぞ。

これはクッキーに預けよう。


そういえばこの前ケーナがマジックバッグがいっぱいになると言っていたな。

クリスとマリカならMPも余っているしストレージの魔法を覚えておいてもらうと良いかもしれない……余っているしな。


その晩キルはマジックバッグとストレージのスキルスクロールで3人に収納ができるようになってもらうのだった。



その後もニコゴンダンジョンでの狩りは続けられてその間にクッキーはおにぎりやカレーやハンバーガーや天ぷらなど新作の料理を作ってくれたのだった。


クッキーの美味しい料理のおかげでニコゴンダンジョンでの狩りは予定より長く10日間続けてからユフリンに帰ることになった。


ユフリンではまた温泉に浸かって疲れを癒すのだった。

キルはこのダンジョンアタックで神級に進化する事ができていた。


エンシェントドラゴンの魔石も35個ゲットしていたので4つ消費して15の戦闘職の神級ジョブスクロールを作り進化したのだ。


精霊達の討伐経験値もキルの経験値となりしかも経験値が10倍もらえるユニークスキルのおかげでここまで早く進化できたのだった。


グラ達の経験値が溜まってきた時に使うぶんの⭐︎7魔石も十分に余っている(32個)。

経験値が貯まるのはまだまだ先の話だろうけれど。


数日ユフリンの温泉を楽しんだら今度は皆んなの武器を調達しにドワーデンに旅立とう…と思うキル達だった。


キル達がニコゴンダンジョンに潜っている間にユフリンギルドにキル達のことをロマリア王家の手のものが調べにきていたそうだ。


ギルドの受付のお姉さんが密かに教えてくれた。

何かいやーな感じだ。


別にロマリア王国内では犯罪も犯していないしスクロールも売ってはいない。

調べられる理由って………やはり俺のせいだよな……と思うキルだった。

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