154 天剣のキラメキとレスキューハンズ 3
夕刻まで鎧竜を狩り続けたキルと天剣のキラメキの4人は3階に続く階段の手前で落ち合った。
もうすでにツインヘッドシルバーウルフはキルが倒していたのであとは3層でレスキューハンズの8人を探して合流するだけである。
「キル君、俺達宝箱を見つけたよ。」
グラが宝箱の件をキルに告げる。
「凄いですね。見つけたなんて初めて聞きました。
もう皆んな先人に見つけられてしまったと思っていましたが残っているものもまだ有るんですね。俺もこれからは探してみようかな。」
「何が入っていたと思う?」
「わかりませんよ。」
「マジックバックだ。」
グラは嬉しそうに教えてくれた。
「良かったですね。便利ですよ、マジックバック。」
「売って借金を返せとか、、言わないんだな。」
「言いませんよ。別にそんなことしなくてもすぐに返してもらえると思ってますし。フクラダンジョンですぐ稼ぐでしょう。あの位の金額。」
キルの信頼にグラは安心した。
3階層で残りの8人に合流して食事と野営の準備を始める。
これだけの大人数の野営なら3階層でも安心だ。
食事をしながら天剣とレスキューのメンバーの話ははずみ仲良くなっていった。
特にサキはレスキューの8人から慕われて女性冒険者としての様々な質問をされていた。
彼女はその問いに真摯に答えるていたのでいつの間にかサキは彼女達の中でボス的な立ち位置になっていた。
皆んなサキの事を先輩冒険者として尊敬しているようである。
女性冒険者としての質問には男子に聞かせづらいもの、男子が聞くには憚れて座を外そうとしてしまうものも有り自然話の輪が女性と男性の2つできるようになっていた。
キルは別に気にしなかったけれども少し寂しい気もするのだった。
その分グラやロム、ホドと話をする。
「4階層のフロアボスですけれど、かなり強そうな気配ですね。」
とキル。
「そうか、、、で勝てそうか?」
「どう思うのじゃ?キル殿の分析を聞かせてくれぬか?」
「、、、、。」
「おそらく王級の魔物。多分ドラゴン系。」
「そうだろうなあ。で?」
「聖級精霊4体と俺、聖級のグラさん達4人がこちらの戦力。聖級9人分の戦力が王級に通じるかという事ですね。」
「なるほどのう、、、。」
「、、、、、。」
「いけるとは思いますけれど、、、、。」
「いけるだろうね。」
「ワシもそう思う。」
「、、、、、」ホドも頷く。
「明日行きますか?」
キルが3人の顔を見渡した。
「急ぐ事はないよ。」
「そうじゃのう。」
「、、、、、、」
「暫く待ちますか?」
「王級レベルのドラゴンとなると、、、、」
「レッド、、、ドラゴンか。」
「強いんですか?」
「強ーーー、実は戦った事はない。」
「そういうことじゃな。」
「、、、、、、」
「そうですか。初めては大変ですものね。」
「この前ブルードラゴンと戦ったからあの感じが強くなったと思えば、、まあまあ。」
「参考にせんほうが良いな。 レベルが違うんじゃ。」
「、、、、、、、、、、、、」
「まだレッドドラゴンと決まった訳では有りませんしね。」
「、、、、、」
「、、、、、」
「、、、、、」
3人が考え込む。
「ミスリルの鎧竜がおるという話もあるな。」とロム。
「変異種、、、ですか?」
「そうだね。ミスリルの鎧竜は魔力が尽きるまでほぼ傷つかないらしいよ。」
身体を覆うミスリルに魔力を込めて防御力を上げるという事か?と想像するキル。
とんでもない長期戦になりそうだ。
ミスリルの盾とミスリルの剣、、、どっちが強い?みたいな矛盾みたいな話になりそうだ。
「フーーーー」
気が重くなるキルであった。
「色々なドラゴンがいるんですね。エンシェントドラゴンは神級ですよね?」
「そうだ。」
エンシェントドラゴンは古代竜とも呼ばれる最強の竜種と言われている。
「それよりは弱かろう。そう思えば気が楽じゃな。」
気休めにもなっていないロムの一言だった。
「ミスリルの鎧竜なら斬り続ければ良いし、レッドドラゴンならブレスを気をつけて切り続けるだけだ。」珍しく口を開くホド。
彼によればとにかく斬り続けるだけらしい。
確かにそうかもしれないしそう思うとなんだか気が楽になった気がした。
まあキルの場合はブレスを吐こうとした時にそのブレスの邪魔をする事は大切な役割になるだろうが。
考えようによっては9人が攻撃し続けるのだから案外早くダメージを貯めてこちらが勝つかもしれないなと思う。
ブルードラゴンの時は麻痺させることによってこちらが攻撃し続ける展開に持ち込んだ。そうできればこっちのものである。
数日間鎧竜の魔石を集めたらフロアボスと戦ってみようと思うキルであった。
「グラさん、俺たちが一緒に戦える時に一度フロアボスと戦ってみたいですね。
一緒でないと勝ち目がなさそうですから。」
キルのこの意見にグラも頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます