149 天剣のキラメキとキル 7
王級魔法ギガザンダー、、、マキシマサンダーの上位互換で有る。
より強い麻痺力と攻撃力を有する魔法をキルはスキルスクロールで身に付ける。
進化によるステータスの上昇でマキシマサンダー自体の威力も爆発的に上がっているはずだがなお強い攻撃力を必要と判断したのだ。
それと王宮火魔法アトミックボム、王級風魔法ブラックホール、も身に付ける。
準備は着々と進む。
準備が整って3階層へ続く階段の調査を始めるために降り始めるキル達。
空間が狭くなって来ればその影響で通れずにいると言う仮説が当たりかもしれない。
だがその兆候はまだ見られない。
そして索敵で敵を感知した。
リザードマンだった。
ロムの仮説が当たっていたのかもしれない。
これは良い方の状況と言って良い。
5人が戦闘態勢になりながら階段を降りて行く。
先頭はやはりキルで有る。
3階層に入ると2階層と同じような感じでリザードマンが現れる。かなりの数のリザードマンが2階層より広いダンジョンに蠢いていた。
キルがマキシマサンダーを放つと一撃で多数のリザードマンが魔石に変わった。
強力になっているのだ。
「「ほーーーう」」
後ろから声が飛ぶ。
「私も試したいわ。」
サキはそう言うとサイクロンカッターを放ち多くのリザードマンにダメージを加えたが一撃必殺という訳にはいかなかった。
「あら残念。」そう言いながら2発目のサイクロンカッターを撃ち放つとリザードマン達は魔石に代わっていた。
「さっきよりはかなり威力が上がってるのは間違いないけど〜」
サキはチョット不満げに言った。
「キル君は王級だから同じと言う訳にはいかないだろう。」
グラがサキを慰める。
気遣いのできる男グラで有る。伊達にリーダーをやっている訳ではない。
「ワシらも腕試しと行こうかのう。」
ロムが乱戦を望みグラとホドも同意のようだ。
キルも剣を抜き近接戦闘の腕試しだ。
4人がリザードマンの群れに突っ込んでいき近接戦闘で次々とリザードマンを魔石へと変えていった。
サキはエアカッターを唱えて仲間に被害が及ばないようにコントロールしながら遠距離攻撃をし続けた。
キルも魔力を込めたミスリルの剣の切れ味を楽しんでいる。
良いな、ミスルルの剣。帰ったら取り寄せをしよう。
そんなことを考えながらキルは豆腐を切るようにリザードマンを切り刻み魔石に変えていった。
ミスリルの剣は魔力を込めれば込めるほど切れ味を増す。
魔力の利用効率の高い金属なのだ。
聖級に進化した4人は気持ちが良いほどに暴れ回った。
中級精霊が魔石を回収して廻りストレージに収納した。
腕試しも充分にできた頃またキルがマキシマサンダーを使って遠くまでのリザードマンを一掃し、近くのリザードマンを4人が倒す事によって近くに敵がいなくなり4人は戦闘を終える。
キルだけが遠距離魔法攻撃で敵を薙ぎ払う通常モードにもどったのだった。
5人はそのまま先へ先へと進んでいった。
倒したリザードマンは全部で600を超えていた。
そしてまた索敵でブルードラゴンがいるのがわかる。
この階層のボスもブルードラゴンで決まりだろう。
ロムの仮説が当たりのようだった。
少し気が楽になるキルで有る。
そしてリザードマンの掃討作業は続いた。
キルのMPは王級への進化で100万MP増えていた。
MP切れの心配は全く無い。攻撃力も何倍にも上がっている。
ブルードラゴン戦に死角はない、、、と思う。
ブルードラゴンに近づくにつれておかしなことに気づく。
下の階層に続く道が有るのは判るのだがそこで⭐︎4レベル魔物が戦っているように感じることがあるのだ。
もしや下の階から溢れてきているのか?
嫌な予感が走った。
グラもそれに気づいて難しい顔をしているようだ。
「チョット攻撃を一時やめてくれ。」
グラがキルに攻撃の手を止めるように指示をした。
「一旦後退する。」
グラが後退を指示して全員で来た方向に走り出した。
キルは追ってくるリザードマンを魔法攻撃しながら追撃を断ち切った。
今はまだ余裕でリザードマンを掃討していた訳であるがこの突然の撤退にロムもサキもホドも疑問を感じていないのは皆んなが状況を把握しているのか?あるいはグラに対する信頼の現れなのかはわからない。
ただキルには、この撤退が最深部で起きているであろう事にどう対処するかを相談する時間を稼ぐ為で有ることは想像できたのだった。
リザードマンの追撃がない地点まで離れるとグラが話し始めた。
「最深部にブルードラゴンが居たのは皆んな気づいていたかな。」
全員が頷いた。
「それと下の階層から強い魔物が溢れているようだった事には気づいたかかな。」
「そうだったのね。」
サキが撤退の原因はそれか、、と言う顔で言った。
サキはそこまでの索敵能力はなかったらしい。
だがグラの判断には信頼をしていたと言う事だ。
「ブルードラゴンとリザードマンがそいつと戦っておるようじゃったな。」
ロムは気づいていたようだ。
ホドは無言だ。
「さて、問題はこれから如何するべきかと言う事なんだが、、、、」
グラが眉間に皺を寄せる。
「ブルードラゴンが下からくる魔物を押さえ込んでいるうちは安全と言えないことも無かろうがのう、、、。」
「さっきは下から出てきた魔物は1匹でしたからブルードラゴンが撃退するのは間違いないでしょうが、、、、」
キルも眉間に皺を寄せる。
「4〜5匹1度に登ってこられたらブルードラゴンが逃げ出さないとも言えないな。」
グラがダンジョンの中で天を仰ぐ。
「地形的に一度には出てこられない可能性もあるんじゃない?」
⭐︎4クラスの魔物でもそのサイズは様々だ。
鎧竜ならサイズ的に1度にたくさんは通れないだろうが、、、、
「たぶん、、、、今までもあのブルードラゴンが下からの魔物を排除してきたのでしょう。 だからあのブルードラゴンを倒さずにいた方が良いかもしれない。」
希望的観測だとキルは思うがではあのブルードラゴンを倒してその下の層の魔物も自分たちで掃討すると言うのは厳しい作業と言わざるを得ない。
⭐︎4の魔物にボスは通常⭐︎6だ。王級の魔物を死者を出さずに倒せる自信はない。
希望的観測に流れたくもなると言うものだ。
現実的な判断というものか?
ここまでリザードマンを減らしてきたのだから暫くは地上までは出てこないかもしれない。
キルも自分の実力を鑑みてここで撤退するのが妥当だと判断する。
冒険者は冒険をするべきではないのだ。
グラがここから地上に戻ると宣言してパーティーは撤退を始めるのだった。
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