134 生産者ギルドがなんか凄いんですけど。
予定通りフクラダンジョンに来ている。
もう此処に来るのも何度目だろうか?此処での狩りももう慣れたものである。
キルが第3階層、残りのメンバーが第2階層で魔物を倒し魔石を集める。
フロアボスは第1階層は行き帰りにいれば狩るが居なければスルーである。
第2階層のフロアボスは魔石を使いたいので6時間置きの復活に合わせてキルが狩りをする。夜の間は余った魔力分だけのスクロールを作製する。
いつもの様にキル達は7日が経つったその朝にダンジョンを出てパリスに戻って来た。
今回のダンジョン攻略は前回よりも深くにいっていないので特に無理をしていないため余裕を持ってこなすことができた。
要するに第3階層のフロアボスと戦わなかったということだ。
クリス、ケーナ、ユミカの3人はこのダンジョン遠征の間にスクロールを買って特級に進化していた。
3人はレベルを上げるために多くの魔物を倒そうと必死に戦ったのもあるが、そうでなくともクリスの言っていた通りこの遠征中に経験値が基準を満たしていたのである。
次のフクラダンジョン遠征では第二階層のフロアボスを3人に任せてみても良いかもしれない。
パリスでは冒険者ギルドに顔を出して最近の情報を仕入れる。
と言っても変わった事はなかったが。
ただレスキューハンズの名前がこの前のサイクロプスの件以来そこそこ知られ出している様に感じた。
クランのホームに帰ってからクッキーの作ってくれた昼飯を食い、キルは生産者ギルドに向かった。
生産者ギルドのオッサンがキルを見るなり食いついてきた。
「おい、キル遅いじゃないか、7日後の約束だろう。今日はもう8日目だぞ。」
「すみません。チョット冒険者ギルドから指名依頼が入ってしまって予定がずれ込んでしまったのです。本当にすみません。」
キルは平謝りに謝る。
「もしかして例のサイクロプスの大量発生か?」
「あ、はい。それです。」
「そうか、、、、そういうこともあるよな。お前そんなに強い冒険者だったんだな。
だがもう冒険者をするよりスクロール職人一本でやって行った方が良くはないか?」
「、、、、、」
「俺としては貴重な腕利スクロール職人が間違って死んじまう様な事にはなってほしくないんだよ。」オッサンがマジな顔で言った。
確かにスクロールを作っていれば十分以上に稼げるイメージだ。
命の危険という意味では確かにオッサンの言う事は的をいている。
「考えて見ますけれど、、、色々有りますから、、すぐには何事も変えられませんよ。
ところで今日は何を買ってもらえるんですか?」
オッサンが思い出した様にスクロールの注文を語り出した。
「そうだそうだ、今日は凄いぞ。⭐︎3のジョブスクロールから言うぞ。聖騎士を30、剣士が20、魔術師が10、槍使いが10、騎兵が20欲しいな。⭐︎2は聖騎士1000、剣士1000、魔術師1000、騎兵1000、盾、槍、弓使いが500欲しい。どうだ有るか?」
キルはにこやかな営業スマイルで答える。
「ハイ。もっとたくさんでも有りますよ。」
そう言うとキルは奥の部屋に行こうと指で合図をした。
「そうだった、そうだった。奥の部屋に移動しよう。」
オッサンがそう言うとキルを引き連れて奥の部屋に入って行く。
キルは奥の部屋のテーブルの上にさっき言われたスクロールを並べ出した。
「⭐︎3が全部で90、⭐︎2が全部で5500枚になります。」
オッサンが代金の計算をして金塊の準備を始めた。175億8000万カーネル。
金塊175個と金板8枚。運ぶだけで一苦労だ。
金塊は10個ごとに積まれ17の山とバラで5個、金板が8枚。
一目で判るように綺麗に並べられている。
オッサンが額の汗を右手で拭った。運ぶくらいそんなに大変じゃあないだろうに。
キルはストレージに一瞬で収納した。
それこそアット言う間に消える金塊。
オッサンが何故か寂しそうな顔をしている。何故だろうか?わかりかねる。
「それにしても良くこれほどのスクロールを買う客が居ますよね?」
キルは思わず疑問を口にした。
オッサンの顔がニンマリとして、得意になって語り出した。
「まあな。太い客を見つけたからな。聖騎士のジョブスクロールは教会が欲しがり、その他のジョブスクロールはいくつかの王家や貴族がたくさん欲しがるのさ。特に王家は国を強くするためにいくらでも欲しがるぞ。隣国より強くなりたがるからなあ。その隣国やその隣の国の王家にも売れるしなあ。」
何か戦争でも起きそうで怖くなるキルである。
「あの、それ・・・大丈夫なんですか?
この国が侵略される様なことにはなりませんか?」
オッサンが笑いながら答える。
「大丈夫!大丈夫! この国が1番強くなる様に売る数は調整してるから。
どの国が勝つかは、俺様がどの国にどれだけ売るかで決まると言えるからなあ。
そこは自分の都合の悪い様にはしないさ。」
なんかこのオッサン、世界の命運を握ってないかい?と思うキルであった。
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