49 案内任務1
今日は荷馬車が使われていて借りられない。なので(緑の草原)はお休みの日である。キルは1人で行動する。
受付のケイトさんがキルを見つけると声をかけて来た。
「キルさん、今日は1人ですか?もし何でしたらギルドから指名依頼を出してもよろしいでしょうか?」
「はい。何でしょう?基本的には受けたいと思っていますけれど。」キルが答える。
「実はこの前、ゴブリンの大きな群れがあると報告してくれた件なんですが、ギルドで討伐依頼を出してるんですね。その案内をキルさんにお願いできたらと思いまして。キルさんは案内だけでもゴブリンを狩ってくれてもどちらでも良いんですけれど、案内料1万カーネルと、あとは耳1つにつき1000カーネル、魔石はご自由にして良いですよ。もし上位種がいた時には、それなりの価格の報酬を出しますよ。良い話でしょう?」
「わかりました。その依頼引き受けます。」キルは二つ返事で引き受ける。
「それでは依頼の冒険者が集まるまでここでお待ち下さい。」ケイトさんが指示を出す。キルがギルドの片隅で待っていると続々と冒険者があてまって来た。
「ケイトさんに言われたんだがアンタがゴブリン集団の討伐隊の案内人だって?」
キルに声を掛けてくるものがいる。
「はい。案内人のキルです。よろしくお願いします。」
「俺たちはCランクパーティーのバーミリオンだ。俺がリーダーのガス、剣士だ。」
「槍使いのダクだ。よろしく。」
「盾使いのバズ。よろしく。」
「俺たちは全員Cランク冒険者だ、ゴブリン如きは瞬殺だが上位種がいるかもしれないからという事らしく指名依頼を受けている。アンタは?」とガス。
「Dランク、スクロール職人です。先日ゴブリン討伐依頼の時に100を超えるゴブリン集団を発見した関係で案内人を指名依頼されました。」キルが事情を説明する。
別の冒険者パーティーもやって来て名乗りをあげる。
「ライガーの牙、Dランクパーティーだ。リーダーで槍使いのボブ、これが剣士のゼク、盾使いのケセタ、よろしく頼む。」
「ボアハング、Dランクパーティーだ、リーダーのタキ剣士だ。ヤン、クエ、イゴ3人は槍使いだ。よろしく頼むぜ。」
ケイトがやって来て全員に向かって話し出す。
「えーと、こちらキルさん、道案内役です。キルさん本人は戦闘については本人の自由になってます。Cランクパーティーのバーミリオンさん3人、Dランクパーティーのライガーの牙さん3人、Dランクパーティーのボアハングさん4人の以上10人です。揃っている様なので出発して下さい。」
「バーミリオンのリーダーガスだ。よろしく。俺のパーティーがランクが最上位なので指揮を取らせてもらう。わかったな。」
「「「オーケイ」」」全員が了解の声を上げた。
「キル、先頭に立って道案内を頼む。」
「了解。ついて来て下さい。」キルは索敵を働かせながらゴブリンの大きな群れを見つけた方向に全員を導いていく。
キルは森の中を歩きながらゴブリンの小さな群れは鎌鼬で倒しながら進んで行く。
7〜8匹の群れは近づきながら速度を緩める必要もなく殺しながら進んでいく。もちろん魔石と耳は回収しながらだ。
5つの群れ38匹を倒したところで声がかかる。
「俺たちにも倒させてくれよ。」ライガーの牙のボブだ。
「わかりました。次見つけたら俺は攻撃をする前にガスに指示を頼む事にするよ。」
「頼んだぜ。」
キルは森の奥に暫く進みながら突然立ち止まってガスに告げた。
「30mくらい先にゴブリン8匹の群れです。」と方向を指差した。
「ライガーの牙とボアハングは30m先のゴブリン8匹を狩ってくれ。残りはついて行って援護。
ガスはすぐさま指示を出す。
「30m先にゴブリンが居るって?本当か?」タキが半信半疑で進んでいく。
30m先でゴブリンと接触して乱戦になるライガーの牙とボアハング。
Dランク冒険者はゴブリン如きはものとのしない。すぐに8匹のゴブリンを殲滅した。
「本当に居たぜ。たいしたもんだな。キルはよくわかるな。」イゴがキルのことを褒める。
「見つけました。100匹位の集団です。あちら、30m先に10匹、その先30mくらいで100匹位の集団がいます。」キルが索敵の成果を全員に伝えた。
「30m先に10匹、その先30mに100匹位だと。」ボブが聞き返す。
「30m先の10匹はライガーの牙とボアハングに任せて良いか?」とガス。
「「おうよ」」
「その後の100匹は、その時に作戦を立てよう。」ガスが真剣な面持ちで言う。
そして全員獲物に接近して行く。
ライガーの牙とボアハングは10匹ゴブリンをあっさり片付けて100匹の群れに対する作戦を立て始めた。
「しかし、実際100匹もの群れに出会うとは思わなかったな。」ガス。
「イエ、100以上の群れを複数確認していますので間違いなく案内できると思っていましたよ。」とキル。
「複数だって!」ボブが驚いて聞き返した。
「上位種の可能性を匂わされたが、それじゃあ居ると思っていた方がいいなあ。」とガス。バーミリオンはその為に指名依頼をされているに違いない。
「上位種は俺たちの依頼には入っていないぜ!」ボブ。
「ビビってるのか?ライガーの牙さんよう。」とボアハングのヤンが挑発する。
「ビビってる訳ねーだろう。俺たちはやる時はやるぜ!」とボブ。
「大丈夫だ。上位種はCランクの俺達バーミリオンに任せておけ。それにしても100対10だからな。みんなの戦力を知っておきたい。この中で強化系のアーツを持っているものは?」
バーミリオンとキル、ライガーの牙のケセタ、ボアハングのタキ、ヤン、イゴが手を挙げる。
「遠距離攻撃系のアーツを持っている者は?」続けて聞くガス。
キル、バーミリオンのダグ、ボアハングのクエが手を挙げた。
「遠距離攻撃ができるのは3人か、、、。キルは勿論攻撃に参加してくれるよなあ?」
「別にどちらでも構いませんよ。」
「さっきの様子を見せてもらうにキルの遠距離攻撃は絶対必要だ。戦ってくれよ。」
「わかりました。俺、スクロール職人なんでヒールのスクロールとかハイヒールのスクロールを持ってますんで多少の傷なら治ると思いますよ。」
「それはありがたい。もしもの時は使わせて貰おう。」とガス。
「作戦は至ってシンプルで普通のものだ。まずは遠距離攻撃で敵の数を減らし接敵したら全員でそれに当たる。上位種が出て来たらバーミリオンが相手をする。以上だ。行くぞ!」ガスが作戦を告げ全員動き出した。
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