ホホエムカノジョ。
晴時々やませ
願いを叶える桜。
俺には幼馴染の女の子がいる。
彼女は生まれつき体が弱く、とある病気のせいで長い時間を病院のベッドで過ごしていた。
しかも、おそらく彼女はもう長くはない。
それでも彼女はいつも笑顔だった。ただひたすらに優しい笑みを浮かべていた。
昔、彼女がまだ幾分か元気だった頃に、こんなことを言っていた。
『この町の桜にはね、願い事をすると、花が咲いている間だけその願いを叶えてくれるっていう言い伝えがあるんだよ』
俺の住んでいる町には、昔からあるいくつかの言い伝えがあった。
その中の一つにこんなのがある。
願いを叶える桜。
桜に願い事をすると、つぼみが開いて散るまでの、ほんの一瞬だけ願いが叶う。そんなおとぎ話のような言い伝え。
花が散れば願いは消える。儚い言い伝えだ。
ほんのわずかな間だけ叶う願い。まるで夢の中のようだ。
それでも人は無意識に願ってしまうのだ。
人の心は複雑で、だけどすごく単純なものなのだから。
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