第13話雪舟

隆は群馬県伊勢崎市の出身だ。大人になって弁護士になってからも地元では頼りにされていて、伊勢崎市には頻繁に帰っていた。


とある日のこと。村の古い庄屋の家を建て替えるために取り壊すという話になった。みなは、

「古い家だから調べたらなにか出てくるかもしれない。取り壊す前に家探ししてみよう」ということになった。


ある者が、屋根裏からアブラガミに包まれた古い水墨画を発見した。水墨画には「雪舟」とサインがある。まさかと思い古物商に持っていくと、

「3000万で引き取りましょう」と言われたそうです。


たしかに伊勢崎市の歴史を調べると、雪舟がこの辺りを訪れたという記録がある。おそらく、雪舟は庄屋の家に泊まり、一宿一飯の恩義を返すため、この水墨画を描いたのではないかというのが隆の推測である。

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