流星景色と逢着

月見トモ

第1話 天使



 青く雫のような瞳で私を見下ろすその人は、天界ではヌビリと呼ばれた。

 天界で最も偉く、全てを創造するその神は、白い光の差し込む十字路で、私の背中の羽を寸断した。

 背中に通っていた神経がゆっくりと死んでいくのを、私はどうにも止められない。

「痛いっ……痛い、痛い、痛い痛い痛い……」

 背中から止まることなく溢れ出す鮮血は赤く美しく床に垂れる。次第に私の両手は青白くなっていき、ふとヌビリの顔を見上げると、ヌビリは満面の笑みで一言、囁いた。

「さよなら、天使の子よ」

 そしてその瞬間、私は高所から突き落とされ、暗闇が私を包み込んだ。


 天使である私は、今日、天使の役目を終えた。

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