教室で、恋に落ちた瞬間まで

Rotten flower

第1話

「ねぇ、俺と付き合ってみない?」

たまたま日直だった男が言ってきた。脈なしということ、これからフラれるということをわかって告白してきているのか。それとも、完全にふざけて言っているのか。

「ねぇ、返事は?」

彼から圧がかけられると同時に私が日直欄に書くために持っていたチョークには同じ、またはそれよりも高いぐらいの圧力がかかっていた。

私は、チョークを粉受に置くと口を開こうとした。それと同時に私の口には彼の手が添えられていた。

「ありがとう。」

自惚れているのか何か知らないが彼の腕に手を伸ばし抵抗をする。徐々に教室の隅に押し付けられていっている気がする。彼の笑顔は徐々に不穏なように見えてくる。

いつも通り、ガラガラと音を立てながら教室のドアが開いた。その後、足音がコツコツ鳴ると、黒板に当たったのか大きな音が鳴り、不安定に置かれていたチョークが落ちて割れた。

「何してんだ?」

私に一方的な告白をしていた男が振り向くとそこには、この男より一回り大きい男が立っていた。

「何って見えないの?イチャイチャしてたの。」

男が嘘をついた。私は少しの角度だか首を横に振った。

「そう?嫌がってるみたいだけど。」

ちゃんと伝わった。私の気持ちが。

「目が悪いんじゃないの?眼科行く?」

男が煽る。それと同時に男の背中は汗のせいか少しずつ濡れていくのが一目見てよくわかった。

「そうか。俺には「こいつ」が首を振ってるように見えてな。」

大丈夫、あなたが見えている世界は正しい。まぁ、私を「こいつ」と言ったところはイラついてしまうが。

「そんなわけないじゃ………

男が振り向いてこちらを見ると同時に彼はその男の頭を殴った。男がその場で倒れると彼は胸ぐらを掴みこう言った。

「人の物件、取るんじゃねぇ。」

本物のヤンキーってこういうものなんだ。それにしても、助けてもらえて良かったし、かっこよく見えたな…

……………物件………?

「ったく、計画立ててたのに…」

彼がそう呟くと私が何かのリアクションをする前に私の唇を奪った。

その瞬間、私たちの周りは静寂になった。

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