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凪街

第1話 あいつの到来

 扇風機だけじゃ暑く、エアコンをつけようか迷う7月後半のこの時期。人類にとって最大の敵といても過言ではないあいつがこの世にはいた。


そいつは明るい場所を好み、どんなに狭い場所でも抜けて出てきて、ステータスはスピード特化、使えるスキルは潜伏、飛行、増殖を取得しているあいつだ。


ここまで書けばこれを読んでいるみんなもあいつが誰だかわかっただろう。そうあいつとはG(ご・・り)だ。名前も呼びたくないのでここではGと呼ぶことにさせてもらう。


 これは僕とGの戦いの記録を記した物語だ。


 僕はいつものように自分の部屋でpcを開き、イヤホンをしてゲームをしていた。


「あっつい・・・けどゲームはやめられねぇ・・・」


僕は汗が額からズボンへとおちるぐらいの暑さの中、扇風機一台とキンキンに冷えたクラフトコーラを装備し、ゲームをしていた。


「ごはんだよ、にぃ」


妹が階段の下から呼ぶ声がした。


「今行く」


僕は実家暮らしで家には両親、妹、ミニチュアダックスフンドのきなこがいた。


 僕はpcをスリープ状態にし御飯が用意されているリビングへと向かった。


今思えばこの時すでにあいつは二階にいたのかもしれない。であるならば僕は下に降りるとき部屋のン微熱がこもるというデメリットはあるが、扉を閉めておくべきだったかもしれない。


「いただきます」


ご飯は焼肉だった。牛肉や豚肉が6パック。うまかった。これを食べた僕はこれから何が起きても動じないくらいの精神力が身についた気がしていた。


 そして僕はご飯を食べ終えまた二階へと向かった。


二階へ行くために階段を上っている最中は地獄だった。気のせいかもしれないが二回に近づくたびに暑さが増しているような感覚がしたからだ。


「なんでこんな暑いんだ、マジ早く秋になってくれ・・・あいつが出る前にも」


幸いなことに今年はまだあいつが出ていなかった。だから安心していたというのもあるのかもしれない。


「よし!ゲームするか!」


ゾワッ・・・・


一瞬にして血の気が引いたのを理解した。


「うそだろ、なんで僕の部屋におまえがいるんだよ」


僕が部屋に入り、電気をつけpcの目の前に行こうとしたとき、下を見ると2本の触覚が生え、あのみるだけでぞっとする黒い甲殻を持つあいつがいた。


「まずいまずい、あいつを倒す兵器「ゴキジェット」はリビング・・・取りに行きたいけど今動いたらGがどこに行くかもわからない、僕のあしにでも上ってきたら負け確定のくそげーコース一直線、しかもここは僕の部屋、命より大事な推しのフィギュアやポスターもある・・・そんなところにGが乗ったら最悪だ、最善策を考えろ・・・」


僕は必死に考えた。その時


 ササッ・・・


あいつがステータスを最大限に生かした速さで動きはじめた。


「おぉい!俺がまだ考えてる途中なのに動くな!」


僕はあいつに言葉が通じることがないのは承知だが交渉を持ち掛けようとしていた。あいつはいるだけで人を混乱させる本当に危ない奴だ・・・


あいつは聞く耳も持たずにあたりを歩き始める。そして向かった先は廊下だった。そう、あいつは僕の部屋から出たのだ。今しかないと思った。


ドドドッ・・・・急いで階段を降り、対G兵器を取りに行った。


「どこだ・・・あった!」



 見つけた、あいつに吹きかければあいつは少しすればひっくり返り、「まいりました」といわんばかりに足を曲げ動かなくなる兵器「ゴキジェット」


僕は兵器を装備し、急いであいつがいた場所に向かった。


また階段を上った。階段を上っている最中感じたのはさっきの地獄に近づくような暑さではなく、ゲームでラスボスにあと一撃加えれば勝てるという状況の時の緊張感だった。


「くそ!あいつスキル使いやがった・・・潜伏か?どこに隠れやがった!」


あいつの姿は見えなくなっていた。


僕は探した必死に探した。そして。


 ササッ・・・


あいつが姿を現した。あいつはまた僕の部屋にいた。そして最悪の戦場、タンスの近くを要求するかのようにタンス裏へと隠れた。


タンスの近くは下手に兵器を使えば服にかかってしまう危険性や、場合によればタンスの中にGを送り込んで市今う場合があるため最善の注意を払って戦わなければならない場所だった。


どうするか、考えてる時間は無限ではない、さっきみたいに長い時間考えていればあいつがまた別の場所へ移動する場合だって考えられる。


「よし!」


 僕は作戦が決まった。タンス裏へ兵器の先端を差し込み上から下へまんべんなく当たるように打ち込み、出てきたところを被害が少なくなるようになるべく相手と距離が近くなるように打ち込む。これを実践できればあいつとの勝負は確実に勝てる・・・


そして作戦を決行した。


最初にタンス裏へ兵器の先端を差し込み、打ち込んだ。すると狙い通りGは出てきた。だが予想外なことが起きた。Gは僕の足へと向かって歩いてきたのだ。しかも今までより早い速度で・・・


普段の僕なら逃げているだろう。だが今日の僕は一味違う。なぜかというと肉を食っているからだ。


 そして僕は兵器を相手に近づけ相手に向かい発射した。


「二度と来るなよ・・・二度とな・・・・」


勝利した。あいつが死んだのを確認し、ゴム手袋をし、トイレットペーパーであいつをつかみ、トイレへ投げ捨てた。


ジャー


「ふぅ・・・・」


終わった、怖かった。だが勝利した。人間の知恵の勝ちだ。










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