恋人ごっこから始まる恋愛
ユア
第1話 どうしてこうなった?
「んっ、、、ま、まって」
「うるさい。黙って」
「んっ、、んっ、、」
あたしは見えない相手に冷たい声で言われて
言われるがままに再びキスで口を塞がれる。
あたし、鈴木紅葉は何故か今まで喋った事が無い
斉藤蒼の部屋に目隠しされ、両手までも拘束されている状態で彼女にキスをされている。
遡って約5時間前の事だった。
休み時間いつも通り仲良い友達と喋っていたら
背後から肩をぽんぽんと叩かれて、振り向くと
同じクラスではあるもののおそらく喋ったことのない
人物が立っていた。すぐに名前が出てこなくて、
あっちから先に口を開いた。
「鈴木さん、ちょっと話があるんだけどいい?」
「えっ?あたし?」
驚きを隠せなかった。話を聞いていた友達も驚いていた。
「うん、すぐ終わるから付いてきて?」
「わ、わかった。ちょっといってくる」
友達に言ってから彼女に着いて行った。
こちらに振り向く事なくスタスタと歩いていく彼女の後ろにひたすら付いて行く。
連れて来られたのは体育館倉庫の中だった。
あたしが先入ってきて後から入ってきた彼女はドアを
閉めて鍵をかけた。あたしの目の前に来て、携帯を取り出しあるメッセージのやり取りを見せてきた。
あたしはそれを見て固まった。
「ど、どうしてあなたがそれを持ってるの?」
困惑しながら彼女に尋ねる。
「鈴木さんとやり取りしていた相手が私だからだよ」
「お、お願い!誰にも言わないで!全部ちゃんと
消すから」
「その前にまずパパ活しょうとした理由を教えて」
冷ややかな目で彼女が問う。
「親が学費を払ってくれなくて、2ヶ月分滞納してて
それですぐにお金が欲しくて、調べたらおじさんと
一緒にご飯一回行くだけで5千円以上貰えるって
検索でてきたから滞納金が集まったら辞めるつもり
だった。来月からもバイト代でちゃんと支払うつも
りだった。もうしないから。滞納分も先生に相談し
て少し待ってもらうから誰にも言わないで」
「わかった、言わない」
「ありがとう!斉藤さんが良い人で良かった!」
突然彼女の名前を思い出し口にする
「ただし条件がある」
「わかった!あたしに出来る事ならなんでもする
よ!」
「私と付き合って」
「いいよ、いいよ、何処に行きたいの?」
「そっちの意味じゃなくて恋人として付き合ってとい
う意味」
すると斉藤さんは溜息を吐き言葉を訂正した。
「うん?うっ?恋人って冗談だよね?」
笑いながら斉藤さんに尋ねる
すると斉藤さんは真剣な表情で答えた。
「本気だよ。もし断ったら貴方の秘密をみんな
にばらすから」
「斉藤さんって女の子が好きなの?」
「どちらもいけるよ」
「そうなんだね。そういうのに対して
偏見とかは無いけどあたしの恋愛対象は
男性だから難しいよ。斉藤さん美人だから
男女関係なく告白とか受けてるんじゃないの?」
「断るんだね、わかった、みんなにバラす」
とても低い声でそう言い残し体育館倉庫から出て行こうとした。慌てて斉藤さんの手首を掴んで引き留める
「離して」
斉藤さんは振り向き傷ついたような顔で静かに言う。
「そんな事をみんなに知られたらこの学校にいられない」
「じゃあ私と付き合ってよ」
まるで縋るような目でこちらを見る
「でもあたし彼氏いるよ?」
「知ってる。本気で付き合ってとは言ってない
恋人ごっこよ」低い声が返ってくる
「ごっこって、それ浮気に入らない?」
「入らない。恋愛対象男性なんでしょう?」
「うーん、そうなんだけどねー」
「あと誰にも言わないから。早く決めて
その2択だけだから」
「うっ、、わ、わかった。
本当に誰にもいないでよね」
「言わない」
「わかった。斉藤さんの恋人ごっこを付き合うよ」
「それと鈴木さんはバイトしなくていいから。
バイトに費やす時間は私にちょうだい?
その分お金を支払うから。会う度に1万円
支払うよ。これは決定事項だから」
「うっ、で、でも1万円って高くない?」
「全然高くない。むしろ少なければ2倍でも
良いよ?」
「わ、わかった。い、一万でお願いします」
諦めて最初に提示された金額をのむ
「電話番号教えて?」
斉藤さんに電話番号を教える。
「それじゃあ後から連絡する。また放課後」
斉藤さんはそう言い残し、体育館倉庫から出て行った。あたしは困惑しながら斉藤さんを見送った。
恋人ごっこから始まる恋愛 ユア @nakaakari3
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