第3話
どうやら、おっさん貴族になったらしい。。
さっきからおっさんじゃないおっさんの
ゴブリンが歩きながら説明をしてくれる。
緑色のぐちゃっとしたやつのことを
ゴブリンというらしい。
なんか、魔王さまが魔都に一軒屋敷をくれるということで案内してもらっている。
魔都とは魔王国の首都のことだ。
どんな屋敷かなー。
おっさん就職してからいままでワンルームでしか
暮らしたことがない。
毎日地獄のような仕事を終えて寝に帰る
だけの部屋だった。
そうじもなかなかできなくて、
しだいにごみがたまって、
カビが生えた食器とかあったなー。
むしろカビ生えるまで使って、生えたら洗うという。。
繰り返し。
トイレもトイレットペーパーの芯だらけで。。
髪があちこちに落ちて。
ぴこん。。
(うげえ、です)
ぐすん。。
くそが。
課長殺す、課長殺す。
ふ~~~。
ぴこん。。
(おっさんは愉快ですねー)
何言ってんだナビ。
初めての一軒家だぞ。
お前にその喜びがわかるのか?
まったくナビはおっさんの悲哀が分かってないな。
そのゴブリンによると、魔王国では
貴族は以下のとおりで、
魔王が一番偉くて、
騎士爵が一番下っ端らしい。
大魔王(空位)
魔王
公爵
侯爵
伯爵
子爵
男爵
準男爵
騎士爵
やっぱりほとんど、大恋愛エロ漫画と
同じシステムだな。
「うん? 大魔王とは」
おっさんはゴブリンに聞いてみた。
「大魔王とはですな、オーサン卿」
「魔王国を統べるもののことですな」
「魔王国を統べる? それって魔王さまのことじゃ?」
「オーサン卿、魔王国とて人間の国と同じで一つではありません」
「複数あるのです」
「そのすべてを統べるものが大魔王です」
「ですが、いまは空位ですな」
「各国の力が拮抗しているということです」
「なるほどー」
「そういえば、この国の名前は?」
「えっ?」
「オーサン卿、まさか?」
「ええ、知りません」
だって、おっさん。。。
転移後10分で戦場行き決定だぞ。
国の名前なんか分かるかい。
ぴこん。。
(悲しいおっさんですね)
ナビ~~~~。
ぴこん。。
(……)
くそが。
ゴブリンがジローって見てくる。
「仕方ないですな」
「というより、すごいですな」
ゴブリンがすげーって顔してくる。
「すごい?」
「と申しますのも、卿」
「国の名前も知らないのに、もう準男爵ですよ」
「……」
ぴこん。。
(大出世ですね。さすがおっさんです)
(ナビもびっくりです)
(人間を吹き飛ばしたかいがありましたね)
「おお、ここですな。着きましたよ」
「おおお~~~~~~~~~~~~~」
おっさんはびっくりしてしまった。
すっごい豪邸だったのだ。
ウサギ小屋から総合公園だよ。。。
総合公園の中に超豪邸がたってるんだぞ。。
ぴこん。。
(おっさん、語彙貧弱ですね)
うっせいわい。
おっさんがすげーってなっていると、
「ようこそ、魔王国パンデモニウムへ」
ゴブリンがにちゃっとした顔でおっさんを
超豪邸へ招き入れてくれた。。
◇◇◇◇◇◇
「ああ、忘れるところでした」
「これを」
ん? ゴブリンが何かかばんから取り出したぞ。
おっさんに白い袋を渡してきた。
ガチャ。。ずしり。
けっこう、重量がある。
こ、これは。。
もしかして、、
「これは?」
おっさんは生つばをごくりと聞いた。
「魔王様は今回のオーサン卿の働きを大変お喜びです」
「ざっと、100億ごるどはあるはずです」
「100億ごるど?」
どれくらいだ?
「はい」
「パンひとつは?」
「妙なことを聞きますね。まあ、いいでしょう」
「パンひとつはだいだい、100ごるどからです」
ごくり。。
おっさんは目が飛び出たぞ。
びっくり仰天。。
パン何個買えるんだ?
ぴこん。。
(おっさん( ;∀;))
「オーサン卿、、」
ゴブリンがおっさんの目をを鋭く覗いてきた。
「今回、オーサン卿は領土こそもらえませんでしたが、、」
「この褒美は破格です」
「魔王様の期待の大きさだと思ってください」
何かを窺うようなまなざしだ。
「それでは私はここで」
ゴブリンはおっさんに白い重い袋を
渡すと、
また、にちゃっとした顔をして、帰っていった。
「うむ、ごくろう」
おっさんは聞こえないようにつぶやく。
これ、やってみたかったんだ。
これ、やってみたかったんだ。
ぴこん。。
(おっさん。かわいそうに)
(長年課長にこき使われて壊れちゃった)
うっせいやい。
おっさんだってこれくらいやっていいだろう。
それと、課長しねー。
「それよりもだ、ナビ」
ぴこん。。
(はい)
この屋敷どうするんだ?
ぴこん。。
(どうとは?)
この屋敷どうやって維持するんだ?
ぴこん。。
(ナビはおっさんの話相手、魔法の補助はできますが、この世界の常識を知っているわけではありませんよ)
(ですが、、)
ん? 何かあるのか?
ぴこん。。
(おっさんが大好きな騎士と姫様の大恋愛エロ漫画に従うと、)
従うと?
ぴこん。。
(この世界には奴隷なるものがありそうですよ)
「おお~~~」
おっさんは歓喜に震えた。
だって、あの奴隷だぞ。
大恋愛エロ漫画の定番中の定番。。
騎士が姫様と逢瀬をしつつ、
奴隷の側妃を囲い込みいちゃいちゃする。
確かにこの世界ならあるかもしれない。
そんな夢物語が。。
ぴこん。。
(おっさん……)
そうと決まれば。
「行くぞ、ナビ~~~~~~~~~~~」
ぴこん。。
(仕方ないですねー)
次回。
おっさん、奴隷を買う。
こうご期待。
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