隣でそばにいる幼馴染
二髪ハル
第1話「そう、ハグして欲しい!」
寒い風を運んでくる12月10日。
高校入学してから半年になるアパートの部屋。
「……ふむ」
よくあるターンバトル式のアクションゲームやっていて裏ボスと戦っていた。
次のターン相手の攻撃を食らったらおしまい。10分の1というHPをずっと眺めていた。
このターンで回復と攻撃力を上げて次のターンに回したいが、削れるところは削らないとターン次第で強制的に最大ダメージを相手が攻撃してきて終了するといったギリギリな戦いをしていた。
俺の布団の上でゴロゴロと自分の漫画を持ってきて読んでいた幼馴染の
「隼人~」
俺の名前を呼ぶと同時に後ろに回り込み抱き付いてきた。
「ぬへっ」
蛍の顎があれの頭のてっぺんに当ててきて地味にダメージを食らった。
……あったか。
頭の後ろには蛍の胸の感触があったがいつも通りで蛍も俺もそんなには気にしてなかった。
「はやと~お願いがあるんだけど?」
「なに蛍ちゃん?」
蛍が俺の頬を摘み引っ張ってきた。
「後ろからハグして欲しい」
「…………今回もハグですか蛍さま」
「そう、ハグして欲しい!」
予想はついついている。今手元に持っている漫画をみて。そういったハグとかのシーンを見て俺に真似して欲しいとお願いだ。
と、いってもやってるのはハグと手繋いでデートとかしたりぐらいだ。
「ハグ、ハグ!」
蛍が俺の前の無理やり割り込んで、その場にしゃがみ。蛍の尻が足に当たってきた。
「蛍、お尻少し浮かせて」
「ほいほい」
蛍の尻を叩き、浮かせて空間を作り。蛍がそのまま腰を下ろし俺の胸に寄りかかってきた。
コントローラーを置いて、俺は蛍のお腹を優しくポンポンと撫でていた。
……こうして密着している冬場だとめちゃくちゃ温かく湯たんぽみたいだった。
「蛍ってそういったハグとか好きだよな。俺も嬉しいけど」
「人の肌とか触れたらストレス軽減とかできるんだって」
「へぇ……」
めちゃくちゃ温かくて気持ち的に癒されるからこうゆうことなのかも知れない……。
「温か……」
「……うん。隼人も温かい」
蛍も小さく頷いていた。
「…………ねぇ隼人?」
「なに、蛍」
「隼人ってさ恋人っていないんだよね?」
「えっ? 恋人」
「うん。恋人……いる?」
「いないな」
「そっか良かった……」
良かった?
蛍が安堵していた。
「そのさ。思い切っていうけどクリスマスに告白しようと思ったけど、隼人。私と恋人にならない?」
「……え?」
恋人……?
そう蛍は言った。
「恋人……」
「うん」
蛍は小さく頷く。
「小さい頃から、隼人のこと大好きだよ。だからこうしていつまでもハグとかして欲しい……。でももう高校生だからくっつくのとか離れちゃうから。恋人だったらいつまでもハグとか出来るし。隼人とキスとかも興味あるから。クリスマスに告白しようと思ったけど……今もやっぱり大好きだからクリスマス前に恋人にして欲しい、です……」
「……」
自分の顔を触ると熱くなっているのがわかった。
蛍のことを異性、恋愛感情としてみていたことはあった……。
けど、やっぱりいつもと変わらずくっついてくるから恋愛感情があったら。蛍が嫌がるようなことをしてしまいそうで少し怖いと思っていた。
だからいつしか恋愛感情ではなく兄妹みたいな感情でずっと接していたけど。
「……すぅ」
蛍から好きと言われて恋人になりたい……そう思ったら全身が熱くなっていた。
「………蛍」
「っ!!」
俺はそのまま蛍にしがみつくと今更ながら一回り小さい蛍の体がビクッと動いていた。
「……俺で良いのか? 恋人」
「うん。いいよ小さい頃からの願いだから……。サンタさんにお願いするなら隼人と恋人になれますようにって今でも思っているよ……」
蛍が頷きながら俺の手に重ねて握りしめてきた。
意識をすると小さい手のひらたが物凄くあったかった。
「……蛍。好きだ恋人になろう」
「―――っ!! うん、うん私も大好きだよ……恋人としてこれからもお願いします」
蛍が二つ返事で頷いた。
「―――っ!」
横顔の方を見ると蛍も顔を真っ赤になっていて耳まで真っ赤になっていた。
「幸せにするから」
「……私も同じ気持ち」
こうして蛍と恋人になった。
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