19 進化の系譜 ──監視サイド その8──
招かれてもないのに現れた不審者が2回に渡ってT氏宅に現れ、そして本日も現れる何者か……
水道局の人間?……でも、普通は計測だけして去って行くよねぇ……?
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──招かれず客人3──
「Tさーん、いらっしゃいますかぁー?」
カチカチ……
「何だこりゃ……鳴らねーじゃねーか……」
「Tさーん、いらっしゃいますかぁー?」
どんどんどん!
「Tさーん?」
どんどんどん!
「……はい。
……ドアをノックし続けていたらあの子が玄関から返事をしている。ようだが、小さくて聞き取り辛い。恐らく、電気も止めているからドアノッカーを押しても鳴らないから物理的ノックに切り替えた……が、そのノック音に小声聞き取り難いのでノックを続けているんだろう。
「Tさぁーん!」
どんどんどん!
とんとん……
「お?……あぁ居たんですね?……居るなら居るって声出して下さいよ! えーと、水道局の者ですがきちんと水……使ってますか?」
ふむ?……先日の物盗り連中や誘拐犯ではないようだね。使用量が減っているから安否確認かい?……でも、普通は電話で……ってそーいやこの家、電話も契約切ってたか……
「先月の上水道の利用量が30㎡もないんですが?……下水道の利用量なんて……何と0㎡!……これって異常じゃないですか? ひょっとして……旅行かなんかで留守……って訳はないですよねぇ……。上水道は少しだけ使っていますし……」
あの子が何も喋らないので一方的に自称水道局員がべらべら喋り倒している……何も喋らないからってちょーっとこれは、ねぇ……
「えと… その……」
矢張り、答えに困っている。
「……何をしてる?」
水道局員の背後に影が現れる……ってあれ?……あいつ何処かで見たような……って、旦那ぁっ!?
「え?……おお、関係者ですかな?」
「いや……町内の者だが……この子に何か?」
と、旦那が水道局員(自称)と話し合いを始めてしまう……。仕事ほっぽって何してんのやら……
「あぁ、それならこの家のトイレは壊れてるのでうちで用を足してるのですよ。飲食もね?」
と説明していた。そしてあの子にウインクを……何若い子に色目使ってやがんだ!
「では……この上水道の使用量は?」
「そりゃあ……水を飲むことを禁止する訳にはいかないだろう?」
「あー……そりゃそうですね。いや、大変失礼しました……」
まぁ、妥当なやり取りではあるけどさ……。自分で私に依頼しておいて……何か腑に落ちん!
「じゃあ……また困ったことがあったらここに来なさい」
と、紙の切れ端を渡している。拡大すると、我が家までの道順を記した地図が描かれていた。
(そういや住所も場所も知らせてなかったっけ……)
電話で連絡できればいっかと、ガラホを貸与しておいたけど、前みたいに侵入者が現れた時点で手元にガラホが無い何てこともあるし……。取り敢えず、今回のアレは見て見ぬ振りをしておいてやろう……
だが!……2度は無いからな?
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