第12話 初めてのお友達
-side アクシア-
「青龍様、ここに住むって、本当ですか?」
「なに?お主は嫌なのか?」
「う、ううん……」
必死に首を振る。なんとなくだけど、ここで拒否ったらまずいと本能が告げていた。
「そうか。なら良かった。我の世話なら心配いらん。食わなくても生きていけるし、住むところも結界魔法でなんとかする」
「ほえーー、意外と手がかからないから、楽で良いかも?」
「うむ。そうだろう、そうだろう」
でもでも!どうせなら、お家くらい作ってあげたいよね!俺の部屋でも良いけれど、ドラゴンさんといえば、洞窟に住んでいるイメージが合っているから、できれば、それっぽい雰囲気のところがあれば良いなあ。
「話は終わりましたか?」
後ろに控えていたエリックが声をかける。
いけない、途中から周りの人のことを考えずに会話をしていた。そもそも、青龍様が一緒に住むと言うだけで一大事。後ろにいるパパも頭を抱えていた。
「パッパ!お家!青龍様のお家作りたい!」
「そうだな。青龍様、我が家へようこそ。私は、この家の主であるルイス=シュタインと申します。この子はアクシア」
「うむ。ルイス、アクシア。これからよろしく頼む」
良かった!なんだかんだ、うまくいきそう!というか、パパは本当は断りたかったかもしれないけれど、こうする以外の選択肢がなかったから、こうなったのかな?
「それで青龍様。家ができるまでは、とりあえず、しばらくはアクシアと一緒に行動していただけませんか?一人で歩いたら、他のみんなが、驚くと思うので」
「うむ。分かった。色々と面倒をかけて、すまぬな」
「い、いえ!全然大丈夫です!精一杯頑張りますので」
「ふむ。我がここにいる限り、軍事面で、協力することは約束しよう。無論、身の程わきまえない奴は容赦しないが」
「はっ!ありがたきお言葉!肝に銘じます!」
「うむ。良き良き」
普段厳つくて怖いパパも、流石の青龍様の前だと、縮こまっている。大人の話は、なんとなくしか分からないけど、おもろっ!
「そういえば、青龍様」
「なんだ?」
「青龍様の鱗って貰えないの?余ってるやつでも良いんだけど」
「ちょっ……!アクシア……」
パパが焦った顔をして、俺を止める。
だけど、別にこれくらいほしいって言っても、良いと思うんだよね。どうせ、家に泊まるんだったら、ちょっとくらい大袈裟に要求しても良いくらいだ。
「ふむ。生え変わりかけの鱗が幾つかあるな。くれてやろう」
青龍様はぱぱっと鱗を落とす。
体は小さくなっているのに、鱗はかなり大きい!どうなっているんだろう?
まあ、いっか!それよりも鱗!
「わーー!ありがと!!はい、パパ!あげる!」
「えっ……!?あっ……、ああ。ありがとう。青龍様!家宝にいたします!」
「うむ。この子の安全のためにでも、使ってくれ」
「はっ!では、そのように」
パパは、若干引いた様子で答えた。
もう、ビビりすぎなんだよ、パパは。
「青龍さん、良い人!大丈夫!」
俺はパパを安心させようと、青龍さんを撫でる。ひんやりとした鱗がとても気持ちがいい。
「ひっ……!こ、こらっ……!す、すみません!うちの者が!」
「別にかまわぬ。アクシアは我の友人なのだからな!」
「おおおおお!!」
友達、初めてのお友達だ!
「友達、ありがとう!よろしく!」
「ああ。これからよろしくな。アクシア」
これから、賑やかになるといいなと思った1日でした。
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