第11話 大きな大きなお客様

-side アクシア-




「大変です!大変です!」

「んーー?よく寝た!」



 翌朝、何やら城がざわざわしていたので、目が覚めた。昨日はエリックに、神獣様のお話を聞いてたら、興奮しすぎて、夜眠れなくなってしまったのだ。

 無理だろうけれど、いつか、俺も一緒に冒険してみたいな……、と想像してみたら、そりゃ眠れなくなっちゃうよね。ロマンだもん。



 それにしても、まだ外はお日様が登ったばかりっぽい。起きるにはまだ早い時間だ。

 うーーーん!昨日もあんまり眠れなかったし、また寝ようかな?むにゃむにゃ……。



 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「アクシア様……、アクシア様!起きてください!」

「むにゃ!」



 どれくらい眠ちゃったのだろうか?

 な、なにーー?エリック。なんの用?



「青龍様がっ!アクシア様の事を、青龍様がお呼びです!」

「むにゃっ!?」



 青龍様って、四神獣の一頭?

 昨日話してたやつ?

 お眠な頭が一気に冴えていく。



「と、とにかく、その格好でも良いので、お越しください!」

「分かった!」



 今の俺の格好はママが買ってくれた、可愛い寅さん耳が付いたフードが付いたパジャマだ。正直、人前に出る用の格好ではないけど、貴族とはいえ、子供だから多めに見てくれるだろうし、大丈夫だよね。



 お外に出ると、沢山の兵士がいた。

 緊急事態っぽいから、我が家の私兵総動員っぽい。

 大きなお山も見える。綺麗な、青いお山なんてあるんだな。流石異世界。



「アクシア様!通りまーーす!」



 俺を案内してくれるエリックが声をかけると、厳つい格好をした兵隊さん達が道をあけてくれる。

 エリックは、まっすぐ小山の方へと歩いて行った。



「む?来たか」



 地響きのような大きな声が鳴り響く。



「ふぇ!?」



 びっくりしたー!怖くて思わず、涙がちょっと出て来た。



「おお……、すまぬ。怖がらせたな。この姿ではどうもな……、ふむ、小型化するか」



 大きなお山さんは、そう言って、まばゆい光を出した。眩しっ!

 光が静まると、そこには、青色の竜がいた。もしかして、さっきで山だと思っていたのは、青龍様?



「ふぁぁぁ!かっこいい!」



 真っ青な体は、うっすら体が発光していて、神々しいまでに美しい。目の前にいるドラゴンさんは小さいが、ドラゴンという名に相応しい異彩を放っている。



「うむ!そうだろうそうだろう!我も、毎日鱗をメンテナンスしているのでな」

「ほへーー!」



 そうなんだ!落ちた鱗とか、欲しいな!

 ドラゴンの体から落ちた素材を取るとか、一攫千金の夢だよね!



「ところで、早速本題に入りたいのだが?」

「うん!分かった!」



 青龍様が俺になんのようだろう?

 気になる!



「突然だが、我と旅に出ないか?」

「ふぇ!?」



 まさかのお誘い!ドラゴンさんと冒険!

 行きたい!めっちゃ行きたい!

 だけど、現実的に考えて、俺まだ2歳。

 急に素に戻る。



「どうだ?」

「うーーとね。もう少し大きくならないとだめかな?まだ、俺2歳だし」



 ようやく最近、ちょっと走れるようになったばかりなのだ。冒険者として、戦うなんて、まだ絶対無理。



「むむ。確かにそうだな。では、アクシア、もしお主が、7歳になった時、戦えるようになってから、冒険するのはどうだ?」

「それなら、行きたいかも!」



 今も魔法は、初級魔法を全て使えるし、あと、5年もすれば、かなりの属性の中級魔法が扱える、魔法使いになれるだろう。



「決まりだな。では、我はそれまでここで住み着くとしよう」

「えっ……、えーー!」



 周りのみんなもざわついている。

 青龍様はここに住み着くって、本当に言ってるのーー!?



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