なんか俺の思ってた異世界と違うんですけど...!?〜チートスキルを持ったのにこれじゃあ意味無いじゃん!!〜

@ke1_

プロローグ



俺、雨宮 太一(17歳)は今、とても変わった場所に居る。


どう変わってるかと言うと、上下を見ても真っ白、前後を見ても真っ白、左右を見ても真っ白。

どこまで行っても真っ白な世界に、ちょこんと座っている。


そんな俺の前に白髭を生やした、古代ギリシャ人みたいなおじいさんが立っていた。

そのおじいさんの話を、上機嫌で聞いているのが、俺の今の状況だ。


なんで機嫌が良いのかって??

仕方ないなぁ。

じゃあどうして俺が機嫌がいいのか! そんなに気になるなら教えてあげよう!!


これは聞くも涙、語るも涙な俺の青春高校ストーリーから始まるって、え?

「お前が話し始めたんだから早く話せよ、ウザイな」だって...?


シャーーーラップ!!!!!


何事も出だしが肝心なんでしょうが!!!

ここで読者の気持ちを掴めるかどうかに掛かってるんでしょうが!!!


「その出だしをミスってるんだよ」って?


あーあー! もうわかったわかった。

話すよ。話しますよ!! 話せばいいんでしょう!!!


話は30分程前に遡る。


俺は都立の高校に通う、ごく普通の高校生だった。

今日も授業が終わって家路に着こうと、いつもの通学路を歩いていたんだ。


時刻は17:00。

夕焼けが眩しい中、住宅街を歩く俺。

そんな俺の真上をカラスが数羽飛んでいた。

どうして夕方になると、カラスが活発になるんだろうな。

頭上でカラスがカーカーカーカーめっちゃ鳴いてる。

うるさいなぁ。餌なんて持ってないからどこか行ってくれよ...と思ったその時だった!!


カラスのお尻から白い何かが出て、俺の方を目掛けて落ちて来たのだ!!!


ヤバい!! カラスの糞じゃん!!!

運動神経抜群な訳でも無いのに、危機を感じた俺の身体は、とんでも無い反応速度で退避行動をしていた。


ステップを踏む感覚で、カラスの糞をサッと横に避けたのだ。


でもそれが俺の運の尽きだった。う〇こだけに。


避けた先は普通に車道だった。

カラスの糞に全神経を尖らせてた俺は、前方から来る車に気が付かなかったんだ。


そしてそのまま車に轢かれ、無事死亡。


気が付くと、今居るここ。天界に、1人ポツンと座り込んで居た。

最初は状況が掴めなかったよね。

え、何ここ? ってなったよね。


そんなアタフタしてた俺に、話し掛けて来たのが今目の前に居るおじいさん。


自称、神様だ。


大事な事だからもう1回言うぞ? 自称!!神様だ。


まあ正直、超胡散臭いよね。

いかにもって感じの見た目が逆に怪しさを醸し出してるんだもん。


それでも、宛が無かった俺はとりあえず神様の話を聞いてみる事にしたんだ。


すると....



「雨宮 太一君だね。残念じゃが、君は不慮の事故により亡くなってしまったのじゃ」


「やっぱりあれ夢じゃなかったんですね。というかその髭は付け髭ですか?」


「付け髭ではないよ。自前の髭じゃ。どうじゃ、触ってみるかね?」


「いや、遠慮しておきます。汚そうなので」


「...え、なんじゃこの子。めっちゃ正直に言うじゃん。ワシ、メンタルブレイクしちゃいそうっ」


「あー、そういうの間に合ってるんで。それで、事故で亡くなった結果。天界に来て今に至るって事ですかね?」


「まあそういう事になるのぉ。それでじゃ。太一君さえ良ければなんじゃが、異世界に転生してみる気は無いかのぉ?」


「異世界転生ですか!!!!」


「おぉ、随分と食い付きがいいのぉ。」


「そりゃあそうでしょ!! 異世界転生出来るって言われてワクワクしない人なんか居ませんよ!! します!! 異世界転生します!!! というかむしろさせて下さい!!」


「ふふふ、そうじゃろう。そう言うてくれると思うたわい。転生先は選べんが、代わりに好きなスキルを3つまで選ばせてやろう」


キタキタキターーーーー!!!!

異世界転生もの恒例のチートスキルゲット!!!


「えっと! 選ぶのにちょっと時間貰って良いですか!!」


「あぁ、時間は好きなだけある。よく考えると良い」



という訳で今に至ると!


ね? 俺がご機嫌な理由がわかったでしょう??


こんなのご機嫌にならない方が無理あるじゃん!? 異世界転生出来てチートスキルまで貰えるんだから!!


しかも3つも!! 某少年漫画のポ〇ンガかよって思ったよね!!!

あ、それは願い事か!


うーん、でも悩むよなぁ。

どんなスキルにしようか。


「ねぇ神様。転生先の異世界ってどんな世界なの?」


「ふむ、そうじゃのぉ。よくある剣と魔法の世界じゃな。腕っ節が重要と言っても過言じゃないのぉ。まぁ、ちょっと問題もあるが...」


ん? なんか最後の方ボソッと何か言ってなかったか??


「え、最後の方よく聞き取れなかったんですが」


「あぁ!! なんでもないぞ! 気にするな気にするな!! ははははは」


なんだ、気の所為だったか。

んー、剣と魔法の世界か。

腕っ節が重要っていうなら...


「よし、決めました! この3つのスキルでお願いします!!」


「おぉ、これで行くのか!」


俺が決めたスキルはこの3つだ!



1つ目は【魔法神】というスキルで、魔力が無限になり、全ての魔法を使える。

これだけでも充分チートなんだけど、なんとこのスキル。

新しく魔法を創造する事も出来るらしい!!

いやー...バランス崩壊もいい所ですわこれ。

この1つで充分すぎる気がするが、3つも貰えるんだから存分に活用させて貰おう!


2つ目は【武闘神】というスキルだ。

このスキルはどんな武器、武術でも見ただけですぐ使えるようになるという、武術家泣かせのスキルだ。

これさえあれば、まず肉弾戦で負ける事は無いだろう。


3つ目は【全知全能】というスキル。

全ステータスをMAXまで持っていけるという、昔流行ったコード〇リーク、プロア〇ションリ〇レイさながらのスキルだ!



うーん、我ながら頭おかしいと思うわ。こんなの誰が勝てるんだよ...

張り切り過ぎてしまった気がするけど、妥協するより良いだろう!


「どうじゃ? 異世界に行く準備はいいかのぉ?」


「はい! いつでも大丈夫ですよ!!」


「わかった。お主はこれからラルド王国のヴェルハーヴァ家という貴族の子として転生する。まあ、色々あるとは思うが頑張っておくれ。それじゃあ、また何かあったら心の中でワシを呼んでくれればいつでも相談に乗るからのぉ。頑張るんじゃぞぉ〜」


神様の声がどんどん遠くなり、そのまま俺の意識は薄れて消えた。

そして気が付くと。


「おぎゃあ!!! おぎゃあ!!!」


「あらぁ!! 可愛い元気な男の子ですよぉ!!」


俺は、産まれ変わっていた。

メイドさんであろう、女性に抱えられた俺は、そのまま母であろう白髪の女性に手渡される。


うわぁ、めっちゃ美人。

彫刻かよって言いたくなるくらい綺麗だ。


「あなた...私たちの子よ」


美人がそう言うと、その隣に座っていた恐らく父であろう男が答える。


「あぁ!! よく頑張ったぞスフィア!」


「ふふ、ありがとう。それで、この子の名前はどうするのかしら?」


「もう決めてあるんだ。この子の名前は...リオンだ。リオン・ヴェルハーヴァ。俺たちの子だ」


こうして、俺。

リオン・ヴェルハーヴァはチートスキルを手にして産まれ落ちたのだった。


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