烈火の灯火
瑞浪 毬藻
第1話 亡命と、光と、創造
川岸にいた。
向こうで誰かが俺を呼んでいる。
鼓動が聞こえる。
薄れゆく意識の中で...
だんだん鼓動が遅くなる。
これは俺?それとも...
〜現実世界・東京〜
仮想世界で遊ぶことのできる体感型ゲーム「DEAMON WORLD」が作られた。
5つの世界を、世界中の人と冒険できるネットゲームらしい。
俺、「
5回目の応募だが、今回も購入券抽選に当たらなかったので、
ベッドの上で、旧式の携帯ゲーム機で遊んでいる。
一人暮らしを始めてから1ヶ月が経ち、
俺は、とっくにゲーム廃人になっていた。
まぁ、どうでもいいんだけど...
元々人付き合いが得意ではないので、
仕事はゲーム作成をリモートで手伝うという仕事をやっており、
対人はそれか、ネトゲだけだ。
しばらくして、ため息を付いたとき、
ものすごい回数のチャイムが鳴った。
出たくねぇ...
ものすごく出たくねぇ...
とりあえず、外だけ覗いたところ、
誰もおらず、ダンボールが置かれている。
俺は、用心深くそのダンボールを家に入れ、素早く戸を閉めた。
目を疑った。
「DEAMON WORLD」だ...
本物の欲しかったものが目の前にある。
一心不乱に包装を解き、電源を入れ、ゴーグル型のゲーム機を被った。
電源がつかない。
充電してなかったわ...
説明書を読みながら、充電を待った。
どうやら神経を錯覚させ、5感を再現するようだ。
最近の技術はすげーなと、改めて実感する。
説明書を読み終わると同時に、ゴーグルを被った。
どうやら、充電しながらプレイできるらしい。
俺は、その日から、絶望の旅に出る。
意識がゲームに吸われる。
このあと、多くの人の死を見ることを知らずに...
目を開けると、視界に妖精(?)が居る。
「ウェルカム・WORLD!」
喋った、説明画面か?
「私はナビゲーターの、アンドロマリウスです。
今から貴方には、自分自身の名前や姿を決めてもらいます。」
めんどくせぇ...
そういうのこだわり無いんだよな。
「めんどくさいという方は、貴方自身をそのまま、キャラとして召喚できます」
心読まれた?
「あ、じゃあそれで。」
「それでは、レン様、貴方のエレメントを選んでください。
エレメントとは、属性のことです。」
すると、目の前に絵の具のパレットのような画面が表示され、
それぞれに属性を表すイラストが書いてある。
「闇かな?」
ほとんどのゲームで闇属性を使っているから、という単純な思考だった。
俺は、黒がかった紫のタイルをタップした。
「闇属性でよろしいですか?」
俺はYesをタップした。
これが、絶望をさらに深めるなんて思っていなかった。
「それでは、メインスキルを抽選します。
スキルとは、貴方の能力で、強力かつ、一種類しか覚えられないメインスキルと、
複数の種類を覚えられるサブスキルがあります。」
能力はランダムで決まるのか...
運ゲーは最も嫌いなゲームの分野だ、運が無いからな。
言葉が書かれたスロットが回りだす。
やがて減速し停止した。
「決定しました。」
「貴方の能力は、
レイジニスト?
英語苦手なんだよな...
「この能力は、あらゆる戦的状況を発生することができる能力です。」
ん?
頭の中では、ハテナが渦巻く。
「と、言うと?」
「例えば、相手を魔法で凍らせた場合、この時、凍らせたという戦的状況が、
発生しています。このような戦的状況を、好きなように発生させれる、
排出率0.0003%の能力です。」
激強のSSRやん...
まじかよ、まじでチートレベルの能力やん。
「次に、武器の選択です。」
武器か...
「武器の種類を選んだあと、その武器の中から、
一種類がランダムに選択されます。」
ガチャかよ、もうさっきSSR出ちゃってるから終わりですね。
とりあえず、剣を選択。
「それではガチャを開始します。」
その瞬間、目の前に剣が降ってきた?!
死ぬかと思った...
俺は剣を引き抜く。
軽い...
反りがない日本刀に見える。
色はとても深い漆黒。
「これは?」
「
最高強度と、高い鋭さを誇り、とても軽い剣で、
重さは、350gです。」
軽!?
ペットボトルより軽いんだけど...
「排出率は?」
「1.5%です」
微妙に低い...
SRと言ったところか。
なんかすごい運が良くて、今後の人生が不安...
「それでは説明に移ります。」
お、きた。
「まず、このゲームには、5つの世界があります。
街が発展しており、自然豊かで、これからあなた達が住む世界『魔界』
大陸の上空にある、神の暮らす場所『天界』
荒廃した街、機械や、魔物が暮らす『新世界』
魔術が使えない人間が居る、あなた達の世界『人間界』
罪人の罪を償わせる、悪魔や鬼が住む世界『地獄』があります。
これからあなた達は、魔界に送られます。」
世界観がちゃんとしてるのは、神ゲーの鉄則だな。
「この5つの世界で、貴方は自由に冒険できます。
モンスターを倒すもよし、農業など、スローライフに励むもよし、
貴方の第2の人生と思って楽しんでください!
それでは...」
すると目の前が、まばゆい光を放ち、
俺は何処かに吸い込まれていると感じた。
冒険が始まった。
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