最初で最後の花束を -中幕続-

警察が俺のことを追い始めてから今日でちょうど二年目になった…


最近は俺のことを追う物好きな刑事も減ってきたのか、意外と事件を起こしても証拠を残してさえいなければ町中を歩いていてもある程度ごまかせるようだ…


「昔の刑事共は俺のことを真剣に追ってくるもんだったからめんどくさかったな…今でも俺のことを追ってる刑事はいるらしいけど…どうなんだろうな?」


俺は現在あの路地裏から離れて、他の路地裏にいる…ここは元々人がいたようだが今は席を外しているらしい…


「どうするべきか…また一人殺すか?今日で二日目だしな…ここらで一人殺したほうが良いかもな…」


俺は今日、一人犠牲者を増やすことを決意した…俺が今回殺すのは小学六年生の女子と男子を誘拐した後、それは惨たらしく殺した男だ…この男は真性のサディストだろう…痛めつけるのが好きだが、その分痛みに弱いかもしれない…


「確か事件自体は8年前だったよな…ちょっと遠いだろうけど狩りに行くか…」


俺は電車やバスを使って結構な距離を移動した…これでまた一人この世から犯罪者を消すことができる…!!


「さ〜て…着いたは良いものの、結構暗くなってきちゃってんな…もう少し暗くなってから動くか…」


俺がいつも人を殺している時間帯は大抵深夜…そして俺が殺す人間は大抵その時間も起きている…


「…見つけた!!あのサディストの顔を歪ませるのが楽しみだな!!」


俺は現在逃亡中の犯人を殺して回っているという性質上、結構警戒されているらしい…最近なんかは護衛がいるのが当たり前みたいになっているからめんどくさいんだよな…


「…護衛はいるな…というか楽しんでるな?恐らくあの事件と同じように今もやってるんじゃないか?」


俺がなんで逃亡中の犯人を殺して回っているのかなんて覚えていない…ただこの行いは正義であり、決して悪にならないことだけは知っている…


「あんたは…真性のサディストであってるかな?」


「私のことを呼びましたか?そこのあなたは?」


「俺は殺人鬼だよ…ニュースで度々紹介されているさ!!」


「3日に一回くらいのペースで人を殺している化け物め!!お前ら仕事しろよ!!」


「分かっていまっせ…もらった分の仕事はしまっすよ!!」


俺に向かってナイフを構えて突撃してくる…だが…


「甘い…ナイフはこう使うんだよ!!」


俺はナイフを取り出し、突き出しているナイフの根本に向かってナイフを振り下ろした…ナイフは根本から折れてしまった…


「この程度で砕けるナイフなんて使い物になんねぇよ…さっさと死にな!!」


俺は拳銃を取り出し打ち込む…弾は最低限しか持ち歩いていないが、警察共はこの発砲音をどこからともなく聞きつけてくるから気をつけないといけないんだよな…


「なんで私を狙うんだ!!私はただただ好きなことをしているだけだ!!」


「お前のやっていることはな!!買い与えられたおもちゃを壊して遊ぶような子供だよ!!8年前だったかな?お前のせいで、当時小学六年生の男子と女子が死んだ…惨たらしくな!!」


「あの時の男子が邪魔しなければよかったんですよ?女子だけで良いかと思っていたのに…抵抗してこの私に傷をつけたんですからね…殺されても文句は言えないはずです…」


「まぁいいや…お前も死んどけ…クズなのがわかったしさ?」


俺は拳銃のトリガーを引いた…2発の弾は腹部と頭部に命中した…


「ぐふ…殺人鬼め…」


「俺を恨むのは構わないし、元々地獄に行く予定だからな…お前らみたいな犯罪者と地獄で合う覚悟はできてる」


「くそ…クソ!!私の研究していたものにさわるな!!私の永遠の生命の源にさわるな!!」


俺は黙らせるために更にもう1発打ち込んだ…これで喋ることはないだろう…


「永遠の生命ね…そんな物は破棄してしまおう…こんな物は世の中のためにならない…」


俺はこの研究資料を火でもやした…研究資料的には非常に価値のあるものだったのだろう…だが、研究過程が悲惨すぎるため絶対に世の中に出すことは出来ない…それにこんなクソみたいな研究のために、何人もの小学生が犠牲になってきたなんて…


「これで取り敢えずまた一人世の中から犯罪者を消すことが出来た…さっさと帰るとするか…」


俺がこの場を立ち去ろうとすると、なんと警察のサイレン音が聞こえた…俺は全然効かなかったサイレンが唐突になったことにびっくりした…


「随分と急になるな…というか外に止まっているし…めんどくさいな…」


俺は警察車両から誰が降りてくるのかを知るため見ることにした…


「ちっ…森泉のババアか…だるいな…あいつの捜査の腕は今も衰えない…俺が最初に殺人を犯してからずっと追ってきている人間の一人だな…クソっ…」


ここから逃げるにも今から移動していたら、足音が聞こえてしまうだろう…かと言ってこの部屋にずっといたらバレてしまうだろう…森泉のババアは証拠を集めることが非常に上手いのだ…下手に動くとやられる…


「くそっ…せめてアイツに一泡吹かせてやりてぇな…でも今アイツと戦っても無理だろうな…恐らく…」


森泉のババアと最初にあったのは俺が10件目の殺人を犯したときだった…その時森泉のババアは拳銃を即座に抜いて俺の腕や足に向かって撃ってきたんだ…当たると結構めんどくさいことになりそうだったから銃撃を避けてやった…その時のアイツの驚愕に染まった顔は見ものだったな…


「アイツの射撃能力はマジで高いから俺でも気を抜いたら当てられちまうぞ…流石は警視庁の『エリート』様だぜ…本当に…」


ここ最近は俺の事を追ってきてる感じがしなかったからついに諦めたのかと思ったが、全然そんなことはなかった…


「ちっ…どう逃げるかだな…」


俺が逃げようとして窓を開けてみた所、俺がいる部屋のドアが開いた…


「動くな!!警視庁捜査一課に所属している天音だ!!」


俺は大人しく両手を上げて窓の外を見る…ここは二階だから正直降りてもあまり怪我はしない…


「そこにある武器を全て床に置け!!さもなくば撃つぞ!!」


「本当に警察の人はうるさいなぁ…わかったよ…俺が持ってるのはナイフ2本だけさ!!」


「床においてこっちに蹴れ!!」


「はぁ…ドラマの見過ぎなんじゃない?そんな簡単にさ…武器を全部手放すわけ無いじゃん?土手っ腹に一発食らう?」


俺は急速に近づき、拳銃を天音とやらの腹に押し当てる…


「近寄るな!!」


「その拳銃はいただくぜ…っと…」


正直ここのタイミングで、森泉のババアが率いる部隊が入ってきたら終わりだった…まぁその時はその時でどうにかしただろうけど…


「その拳銃は私のよ!!返して!!」


「…お前さ…自分の立場わかってる?」


俺は威嚇射撃の意味を含めて拳銃を天井に向かって撃つ…その音にびっくりしたのか天音とやらはその場に崩れ落ちる…


「いいか?俺に生殺与奪の権を握られているんだぞ?俺のタイミングでお前は死ぬ…死にたくなかったら従ってもらおう…」


「私は警察よ!!誰が殺人鬼なんかの言う事を!!」


「はぁ…むかつくな…」


俺はなるべく臓器に当たらないように工夫して拳銃を撃った…


「カハッ…ウッ…」


「臓器に当たらないようにわざわざ調整してやったんだ…感謝してほしいぜ…」


俺は頭を踏みつけながら、ドアの向こうを睨みつけつつ話しかける…


「おい!!森泉のババア出てこい!!其処にいるのはとっくに知っているんだぞ!!」


「…久しいな…お前とこうしてあったのは実に数カ月ぶりじゃないか?」


「そうだな…あの時は俺に拳銃を一発撃ち込みやがって…本当にあれ痛いんだからな?」


「あのね…犯罪者…中でもトップクラスに危険なやつにためらって銃を撃てないんじゃあんたを殺すことは出来ないよ…」


「この子は俺のことを捕らえようとしてきたんだけどさ…どうする?警察お得意の交渉でもするか?」


「そうね…彼女を開放して頂戴?」


「タダで開放する訳はないだろう?対価をもらおうじゃないか…」


「何がほしいの?」


「そうだな…拳銃用の銃弾を2マガジン分くれたら開放してやるよ…ただしすべての武器を俺の前に見せてからだけどな…」


「それなら今あげるわ…これでいいでしょ?」


「…確かにいただきました…準備が良いですよね…本当に…俺のことをよく理解していますね?」


「伊達に人生の二年をあんたに注いでるからね…あんたの情報は色々と知っているよ?」


「…約束通り開放します…俺はここから逃げさせてもらうので…」


「逃げれるとお思い?」


「逆に俺が逃げれないと思ってますか?俺が今までどうやって逃げてきたのかも歳のせいでお忘れですかな?」


「はぁ…取り敢えず一度署に戻るわよ…それにこの子の治療もお願いね!!」


俺はその場から逃げた…まぁあの死体は全部警察共が片付けてくれるだろう…流石に片付けなかったらドン引きだけど…



俺はまた三日以内にあの警察たちと合うかもしれないな…


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