バインランドの悲しき仮面
第37話 月の下
真夜中。
小さな影と大きな影が月明かりに照らされ、長く伸び揺らいでいる。
ゆっくりと歩いている二つの影は手をつなぎ、どこかに向かっているようだ。
町の建物は月明かりに照らされ白く輝き、影をいっそう黒く染めている。
「ねえ、終わったらわたしのおうちに来てくれるのでしょう?」
「そうだわ、それがいいわ」
「お父さまもお母さまも、お兄さまも、きっと喜んでくれるはずよ」
「うふふ。またそんな顔をして。心配いらないわ。そう。なにも心配をしなくてもいいの。わたしがあなたを守ってあげる」
小さな影は大きな影に一生懸命に話しかけている。
大きな影は返事をすることもなく、ただ小さな影と手をつなぎ、ゆっくりと歩いている。
「だからお願い。わたしとなかよくして。ね!」
二つの影は手をつなぎ歩き続ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます