第四話
本当の
話し終わってうつむいている私に、
「なるほど、イジメか……。分かった。俺も
すると翔真は、右手を元気よく上げて宣言した。翔真も私をイジメない。もし私ががイジメられてたら、翔真が
「え?」と少し戸惑った私に、宗一郎は説明した。翔真も
そして宗一郎の考えだと、今の時期に大海にくるということは、四月はイジメに耐えたけど五月の連休があって学校を休んで、それから学校に行けなくなったんじゃないかと。
私はその通りだったので、思わずうつむいた。
「うん……」
「そうか、でも安心しろ。翔真は、お前がイジメられてたら護ってくれるそうだ。良かったな、こいつはウソは言わないから」
私が見ると翔真は、笑顔で右胸を
「
すると宗一郎が右こぶしを前に出して、せかした。
「ほら、お前も、こぶしを出せよ」
私と翔真は、右のこぶしを前に出した。三つのこぶしが
「今から俺たちは、大海の五年生の仲間だ! 俺たちは、協力しあうぞ! おー!」
私も翔真も、叫んだ。
「おー!」
「おー!」
そして私は二人を見つめて、
すると翔真は、
私はちょっとイラっとしたが、宗一郎は続けた。
「ま、そういうことだ。取りあえずこの、『こぶしの
宗一郎はこの誓を今、六年生の
私は授業が終わって、宗一郎と話していた子を思い出した。そうか。あの人は六年生で、鮫島さんていうのか。
宗一郎は、説明を続けた。宗一郎は去年、四年生の時に鮫島さんに、この誓をしてもらった。おかげで今まで、大海でイジメられたことは無い。それどころか鮫島さんたちに、親切にしてもらっていると。そして鮫島さんもやはり、学校でイジメられたそうだ。大海には、そうして学校に居場所が無くなってここにきた子がほとんどだ。中には家にも居場所が無い子もいる。だからせめて大海だけでもイジメが無い安心な場所にするために、『こぶしの誓』が考えられたらしい。
それにウワサだと、この大海にきた最初の生徒が考えたらしいが本当のところは分からない。ただ、大海を安全な場所にするために、新入生がきたら今でもこの誓は行われる。さらにウワサでは大海の代表の
宗一郎の説明が終わった後も、私の
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