理不尽な暴力に見舞われた弱虫な陰キャ高校生の僕が死を覚悟した時、悪者共への無双が始まるのには訳がある~喧嘩も強くてハイスペックな俺の覚醒無双伝~
こまの ととと
第1話 理不尽が蹂躙される日
今日は、僕の高校生活の始まりの日。入学式だった。
中学の頃まで女子は愚か男子にすら遠巻きにされてるような行けてない男子だった僕。それでも心機一転すれば、こんな僕にも輝けるチャンスがあるんじゃないか。
そう思っていたのに。
「おら! お前みたいな暗いやつだ目障りなんだよ!
「チビの分際で、何様のつもりで俺と同じクラスに通ってんだ? チビは大人しく一生小学校にでも通ってりゃいいんだよ!!」
「かわいそうだからサンドバッグにしてやるよ。嬉しいだろ? 人様の役に立てるんだからな!」
「や、やめ……」
「おいおい今何か聞こえたか?」
「い~や、まさかサンドバッグがしゃべるわけないし、なァ!!」
ここは学校の屋上。不良に目をつけられた僕は、複数人に無理やり担がれて。ここまで運ばれてしまった。
ただ人を傷つけたいから、それだけのために僕は選ばれてしまったんだ。
あまりにも理不尽だ。
顔から足まで、全身を殴られ蹴られ。腫れてないところなんてもうない。
どうして、どうして僕ばっかりこんな目に。
うぅ……! い、痛いよぉ……。
「おうおう、よく耐えてるじゃねえか。これなら俺も楽しめそうだよなぁ?」
「もちろんですよ先輩。お前も上級生に可愛がってもらえるんだから本当に幸せもんだよ。げっへっへっへ!」
立つ気力もない僕は無理やり、両脇を抱えられて、身構えることもできずに顔面を思いっきり殴られた。
「!? ッがは! ぁああ!? っ……」
「おいおいこいつ吐きやがったぜ!」
「サンドバッグの分際でいっちょ前に人間様の振りかぁ?」
耐えきれず屋上の地面に胃液をぶちまける。
鼻からは血が流れて、目から涙が流れて。
僕の顔は腫れもありぐちゃぐちゃになっていた。
「さてと、そろそろ勤勉な学生らしく教室に戻らないと行けねえよな」
「さすがっす先輩。いや、まさに学生の鏡ですねぇ。へへ」
「お前も見習わないといけないんじゃねえのか? 手本を見せてくれてありがとうございますって言ってみろよ」
不良たちがゲラゲラと笑いながら理不尽なことを僕に言って来る。
どうして? どうして僕が? もう嫌だ。中学でもいいことは何もなかったのに、高校に入ったらもっと悪いことが起こるなんて。こんなのもう生きていても仕方ないじゃないか!
「おい、お前はこのまま学校フケろよ? そんな見た目で人前に出られちゃ、もしかしたら俺たちが怪しまれるかもしれねえじゃねえか」
「俺たちかわいそう。こんなやつのせいで怪しまれるなんて、こんな理不尽な話も無いよなぁ」
「全くだぜ! ひゃっひゃっひゃ!!」
僕には生きる価値がないらしい。どうせここで逃げてもすぐに捕まるだろう。だったらもう抵抗するだけ無駄なんだ。
それに、僕はもう疲れたんだ。
だから、もう諦めよう。
僕はそのまま意識を失った。
――――――
――――
――
おいおいそうじゃないだろ?
誰? どこからか声が聞こえてくる。
僕は今夢を見てるんだ。だから変な声が聞こえてくる。
そうじゃないだろって言ってんだろうが!
うわああ! だ、誰!?
夢の中まで怒られるなんて、僕はなんてツイてないんだ。
ああもうめんどくせぇ!! いちいち言ったってどうせ聞きゃしないんだ、後は好き勝手やらせてもらうぜ!
誰か知らないけど一体何を言ってるんだろう?
しばらくすると、暗い世界に光が差してきた。
――
――――
――――――
「気絶しちゃったか? 仕方ねえ野郎だな」
「そんなやつ適当にロッカーにでも押し込んでとっとと行きましょうよ」
「そろそろ怪しまれちまいますよ。こんなやつのせいでね」
「こんな奴ってなぁ、俺の事かウジ虫共?」
ああ、僕はきっとまだ夢を見てるんだ。
夢の中にしてはリアルな風景だな、さっきまで僕を殴ってた人達が目の前にいる。
そして僕の考えとは別に、勝手に口が動いているんだ。これが夢じゃなかったら何なんだろう。
でも、悪くないかな。夢の中でも言い返すことが出来てるんだから。
「聞こえなかったかノータリンのウジ虫共が。人のことをよってたかって袋にしやがって。大人しくしてりゃあツケ上がりやがってよォ!!」
「テメェ誰に向かって言ってんだ? 急に強気になってよ、殴られすぎて頭でもイカれちまったか? あああん!!」
「俺の頭は殴られなきゃイカれないのかも知れねぇが、テメェの頭は生まれた時からイカれっぱなしみてえだな。まあテメェの場合、頭どころか顔までひでぇありさまだ。同情するぜ、お前を産んじまった母親にはなぁ」
「なんだとテメェ!!? おい、やっちまえお前ら!!!」
勝手に動く僕の口が、一番偉そうな人を挑発している。
その人はものすごく怒って、他の不良仲間に命令して僕を囲んでしまった。
これからどうなるんだろう? 我が夢ながら、これから先の展開が気になった。
どうせ夢だしきっと痛くないだろうし。
「もう謝ったって許さねえからな! 二度と学校に来られないようにしてやるよ!!」
「頭の程度を感じる安い挑発だな。だがテメェのレベルに合わせてそっくりそのまま返してやるよ、二度と学校に来られないようにしてやる」
「ッッ!!!? やっちまえェェ!!!!」
その一番偉そうな人の号令で周りを取り囲んでいた不良仲間が一斉に動き出した。
怖い、やっぱり殴られるのは嫌だよ。
「とろくせぇんだよ」
「ぶげっ!?」
「なっ!? いつの間に! ……っ!?」
「だからとろいって言ってんだろ。それともてめぇは鶏か? いや違うな、鶏は卵を産めるがてめぇが出せるもんつったらせいぜいクソぐらいだからな」
「こ、このガキィ……!」
夢の中の僕は、まるで映画に出てくるヒーローみたいに不良たちを圧倒していた。
後ろから殴りかかられて、でもそれを背中に目があるかのように避けてみせる。
そしてその殴りかかってきた人の鼻を殴りつけて他の不良に投げ飛ばした。
すごい、本当に強い!
「な! お、お前ら!!? テメェ、もう謝ったって許さねえぞ!!!」
「いつ誰がテメェに許して欲しいなんて言った? しかしなんだな、テメェのその不細工なツラを見るのはいい加減飽きた。だからこれで……」
「このクソったれがああああ!!!!」
仲間たちを倒され、その上挑発されて、1人残った一番偉そうな人は僕に向かって勢いよく殴りかかってきた。
「終わりだタコスケ」
「ごォうぇぇエエ!!!!!?」
殴りかかってくるその勢いを利用して、その人の首元に向かって右手の指を全部ピンと立てて突き出した。
そしたら相手の人はものすごく苦しんで、口から泡を出して気を失ってしまった。
「あぁ弱すぎる。こんなんじゃ準備運動にもならねぇよ。テメェらみてぇなのが”俺”をいじめてくれやがって、身の程をわきまえろってんだ」
勝手に動く僕の口はそれだけ言うと、倒れてしまったその人に向かって唾を吐きかけていた。
ちょ、ちょっとやりすぎじゃない。
いくら夢の中でも、そこまでやっていいのかな?
そこまで考えて、僕の意識はまた落ちていった。
……………………手間ァかけさせやがって。まあいい、今は好きに寝てろ。
[あとがき]
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