はじまりのラピスラズリ

キチノ

第1巻 はじまりの村の娘、旅に出る

プロローグ

#1


「これは、遠い昔のお話。

長いとんがり帽子の魔法使いと、

柔らかな長いドレスに身を包んだお姫様、

荒くれ者で筋骨隆々な武闘家、

そして白金の鎧に身を包んだ勇者は、

世界を危機に陥れた魔王を倒すため、

旅をしていました」


私は村の広場の端にある大きな木の根っこの、

地面から飛び出ている部分に腰掛け、

子供達に絵本の読み聞かせをしていた。

子供達は目を輝かせ、おはなしを聞いている。


「勇者たちは、

ごつごつとした険しい岩山や

水の豊かな森、

砂漠や氷に閉ざされた街をめぐり、色とりどり、

鮮やかに光る7つの石を集めていました。

魔王に立ち向かう剣を作るためです。

魔王もまた、自身の糧とするため、

それらの石を血眼になって探していました。

それはそれは厳しい旅でした」


頁をめくると、

暗闇の中を進む勇者一行の絵が出てくる。

子供達は、ごくりと唾を飲んだ。


「勇者たちは魔王の城の在り処をつきとめました。

いよいよ、決戦の時です。

勇者の手には、7つのすべての宝石がはめ込まれた

大剣が握られています」


次の頁は、白い光に包まれ

大きく裂けた口を歪ませて苦しそうな様子の魔王と、

剣を真上に掲げてその白い光を放つ

勇者が描かれている。

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