大きな戦いが終わった。魔物達の総大将である魔王が敗れ、勇者も死に絶えた。そんな大戦争を、魔物の一体である白狼の目線から語るファンタジー作品。自らの言語を語る人間と魔物の王に言葉を与えられた魔物(モンストロ)との戦いが厳かな雰囲気で描かれます。確かな文章力に裏打ちされた粛々と進む作品の雰囲気が本当に心地良い。悲哀に満ちた白狼の最期を多くの読者に見届けてほしい。
連なる英雄譚の一節のような物語。強いものが終わるときの、いいしれない寂寞感が良いです。