裏社会にも恋はある!

晴下雲

プロローグ

「おい、その腐った耳かっぽじってよく聞いとけ。」


 世界に裏表があるのは、均衡を保つため。


「お前らの進めてきた計画は私達が貰う。」


 互いが互いを見張り合って、平和の天秤の釣り合いを取っている。


「何だ、ヤクの全国供給だっけか?売人の準備も済んでたみたいで助かるよ。」


 そして、それが自分の立場を正当化するためにあると、人々は考えようとしない。


「てめえらなんかじゃっ、この社会は回せねえよっ······!」


 都合の良い解釈に逃げ、自らの生を楽なものにしようと努力を続ける。


「崇高な理念がっ、ねえお前にはっ······!」


 そんな中、人と愛を紡ぎ、社会ではない何かのための正義、努力を見つけようとする。


「与えることもっ!奪うこともっ!出来ねえんだよ!!」


 果たしてそれは、逃げなのだろうか。


「······あっそ。」

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