ゲリラ豪ウ

ヒノワ馨

天候 : 晴 時々 豪ウ

『今日は全国的に晴れ、猛暑日が続きます。山間部ではゲリラ豪ウにご注意ください』



「あんたー、傘と安全帽忘れたあかんよー」



今日も蒸し暑い。

ただでさえ億劫な登校なのに、天気予報がさらに気分を盛り下げる。


「わかってるって…」

リビングからの母の声を受け流しながら、身支度をする。


確かに、傘を忘れたら最悪だ。



「行ってきまーす」


学校まで徒歩20分。

夏場は地獄だ。

田舎の学校なのでバスもない。


自転車で行きたいところだが、

ゲリラ豪ウの予報が出ているのであればそうもいかない。



本当に、あれほど嫌なものはない。


降られたらずぶ濡れどころでは済まない。

そのまま授業を受けることを考えると最低な気分になる。

傘がなかったら死んだも同然だ。



ポツ――――



最悪だ、もう降ってきた。

私は傘を広げ、安全帽をかぶる。



前回はウナギだった。

お母さんが喜んで調理してたっけ。



メシャッ――――



私の目の前に白い塊が降ってくる。




「……今日はウサギか」


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