好きの先へ
ユア
第1話 知らない感情
私は約300人も満たない田舎の高校の生徒の1人だ。
狭い体育館の中に紛れて正座座りの姿勢で体育館ステージに長々と空っぽな話をしている校長先生を内心苛々しながら見ている。
(はあ、長いなあ、、もう誰も聞いてないんだから
早く終わらせてよ)と頭の中で思う
だんだんと眠気が私を襲いひたすら我慢する。
学校は正直心から楽しいなんて思わない。家にいるよりはマシだと思う。誰かに心を開くのは苦手だ。
ありのままの自分を曝け出してそれが否定されたら
怖いから。だからそれなりに猫を被ってある程度グループの中に溶け込む。わざわざ人に合わせる事も苦手だ。それなりに仲良くなって同じグループの他愛のない話は別に嫌いじゃない。それを聞いて聞き流す事は多々ある。人間が嫌いなわけではない。ただ、完全に溶け込む事は苦手だ。心から友達って思える友達が欲しいとは思う。でも、時々思う友達ってなんだろうと
だからこのままでいいやーってなる。
そんな事を考えながら校長先生を見ている。
話が全く入ってこないまま始業式が終わる。
なんだかんで高校2年生になった。
解散となり後ろからいつもつるんでいる子に
名前を呼ばれて行こうって言ってくれた。
そして、また同じグループの子と集まった。
私が入ってるグループは今は5人となった。
一年の時は7人だった。他の2人はそれぞれ違う
グループに移った。ただ、それだけだ。
同じグループの子達の事は何処の枠に入れたら
いいのか正直分からない。友達って呼んでもいい
のだろうかと時々思う。枠が決まらないまま
2年になった。人の思考はそれぞれだある人は
一度や2度だけでもう友達って決める人もいる。
だけど私そんな簡単に決められない。相手の考えが
どうしても邪魔をしてしまうからだ。私は友達って
思ってたとしても、相手は違うと思っていたら
ただの勘違いだったらと思うと友達っていう枠には
そう簡単には決められない自分がいる。
自分でもわかっている深く考え過ぎていると
それでも自分の考えは簡単には変える事なんて
できないのだ。
みんなが揃うと体育館の出口へと向かった。
様々な会話が体育館に飛び交う中、
私はある声に気を取られた。
元の主語が無いその言葉が耳や脳内へと
深く刻み込まれた。
「だって女の子だもん」という言葉だった
その声の主をすぐに視界に入った。
とても不思議だった。その言葉だけが耳に捉えられたのと、すぐにその声の主を見つけられた事にも驚く。
だが、その子はすぐに出口へと向かっていく大勢の生徒に溶け込み視界から消えた。
一瞬の出来事でまるで幻のようだった。
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