告白

あぼべば

告白

中学卒業記念に買ってもらったスマートフォンがけたたましい騒音で私を叩き起す。こんな夜中にアラームなど設定しているはずもない。つまりお電話だ。

蒸し暑い、寝苦しい夜だった。そんな私を覚醒させるには十分過ぎる程うるさくその直方体は鳴り響く。頭が回らず考えもまとまらない。とりあえず文句の一つでも言ってやろう。湧いて出た苛立ちを原動力に寝転がったまま騒音の正体の在処を探すため手を蠢かせた。あまりに強い光。目が眩む。

こんな深夜に掛けてくるモラルの無いような奴と表記上の『ともだち』になった覚えは、、、まあある。私とて花の女子高生。一度も話したことのないやつもクラスのグループから掛けてこれてしまう。私は電話が嫌いだ。相手の顔が見えない。相手がどんな感情かわかりにくい。よっぽど仲いいやつからの電話しか出ないがそもそも仲のいいやつはそのことを知っているからあまり電話してこない。つまり今この電話は話したこともないような興味のない奴らがふざけてかけてきたか、もしくは仲いいやつのおふざけであると、全くもって意味のない思考を巡らせた。

目がなれてきた。

表示される時間は4:34、4:44まであと10分じゃん、惜しいなんて考えていた。

煌々と輝くモラルなし野郎のお名前は『茜』

THEお嬢様みたいな整った顔立ち。ほんで持ってお父さんはお医者さんでお金持ち。でっかい一軒家に住む。更には頭までもいいとかいうもう欠点が見当たらない淑女である。

高校では私が頭が弱すぎて別になってしまったが、中学で一緒だった大がつくレベルの親友だ。数少ないよくチャットをする仲でもある。

とはいえそれはそれ、これはこれである。

「もしもし」

ブスッとした不満満々の声で言ってやった

「ねえ」

この子はいつもこっちの考えなんてすべてわかってると言わんばかりの透き通った声で被せ気味に言ってきた。

「私、人、殺しちゃった」


日常が瓦解していく音が聞こえた気がした。

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