鳥はなぜ飛ぶのか
清瀬 六朗
第1話 講演会の後に
「それでは、
と、
寺中先生というらしい男の先生は、机に両手をついて、うん、うんとうなずく。
「ご
けれども、講演を聴いていた
あんまり力の入っていない拍手が「体育館を包んだ」と感じたのも、この体育館の壁が何の工夫もなく音をはね返してしまう仕様だからだ。
音楽演奏のときには困るのかも知れないが、いまはそれでこの先生も満足してくれたのだから、いいか、と思う。
「文学講演会」のはずだ。
それなのに、この先生が話したのは、半分以上が自分の思い出話と自慢話、そしてその残りは「いまどきの若い者は」というお説教だった。
そんなのを話して、いまどきの高校生が感動してくれると思っているならば、おめでたい話だと思う。
たぶん、実際に、おめでたいのだろう。
ちなみに、去年の同じ講演会では、もっと歳上の人のよさそうな先生が「よだかの星」については話をしてくれた。ちょっと難しかったけど、おもしろかったのだが。
今年はぜんぜんだ。
退場はクラスごとに、などとは言われなかったので、
「まったくもう!」と吐き捨てるように言いたいのをがまんして体育館の下足場に来る。
早足で歩いてきたのに下足場は混んでいる。自分と同じように、早く帰りたい、早くここから出たい、という子が多いのかな、と朝穂は思う。
今日は
履いてすぐ外に出ようとすると、すぐ前に同じ部の子がいた。
「
と声をかける。
この子のばあい、顔色が少し青白く見えるのが美少女っぽいポイントなのかもね。
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