波打ち際幻想

肥後妙子

第1話 幻想の始まり

 私にとって子供の頃、夏休みに連れて行ってもらう海水浴は非日常だった。住んでいる街が海から遠く離れていたから。

 大人になってからもやはり同じ。泳ぎたいとは思わないけれど、私はやはり海の無い街に住んでいるから、海は身近な別世界なのだ。


 でも私は最近、疑問に思う事がある。それが高じて私の住む街が何処かに海を隠し持っているとしか思えなくなってしまった。


 私の住む街のどこかに海があるのかもしれない。

 私はそう思う。だから仮説をたてて根拠を少しづつ整頓していこうと思う。

 

 きっかけは立夏の頃に吹く夜風だった。

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