僕の黄金の姫君

@mizukiuka

第1話

「どう?うまくできた?」

幼い彼からは独特の塩素のにおい。

一瞬険しい顔を見せたのも束の間、とびきりの笑顔で頷く。

「うまくできた!でもね、瀬戸くんっていう男の子の方がずっと上手だった」

「そっか、でも自分でがんばったって言えるならそれでいいんだよ」

お母さんの言葉がうれしくなったのか車内で飛び跳ねようとする彼に

「じゃあ今日は頑張ったのでアイスを買って帰ろうと思いまーす!」

「え、本当に!やったああああ」


でも彼らが家に着くことはなかった。アイスを買うことさえも。

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