給湯室にて2

Danzig

第1話


とあるファミレス

店の奥の目立たない場所


斎藤:土田先輩って、口が軽いんですね


土田:斎藤君、ごめん、ホントごめん・・


斎藤:しかも、私から誘ったとか・・

斎藤:嘘つき


土田:いやでもさ、あの時は、もう、そう言うしか・・


斎藤:まぁ、それは分からなくも、ないですけどね


土田:でしょ、そうなんだよ。

土田:もう、凄いプレッシャーでさ

土田:仕方なかったんだよ・・

土田:ごめん、ホントごめん


斎藤:それにしたって

斎藤:最後まで行ったなんて、言わなきゃよかったんですよ

斎藤:知らばっくれてりゃ、どうせバレや、しないんですから


土田:それは、そうだけどさ・・

土田:でも、美和子が怒ると怖いんだって

土田:たから、つい、正直にさ


斎藤:デートくらいで、目くじら立てるなんてねぇ・・

斎藤:まぁ、私はバレても、よかったんですけどね。

斎藤:どうせ、仕返しだったし・・


斎藤:でも、土田先輩が正直に言っちゃうから、

斎藤:美和子先輩と、やりあう羽目になっちゃいましたけどね


土田:だから、ゴメンて


斎藤:結局、祐樹(ゆうき)にも、バレる事になっちゃいましたよね

斎藤:あぁーあ、あいつが、いつ気付くのか、試したかったんだけどなぁ


土田:まぁ、まぁ・・・

土田:でも、桜井君も酷いよね、斎藤君がいるのに浮気なんて


斎藤:でも、そのおかげで、いい思いをしたのは、土田先輩じゃないですか


土田:まぁ、そうなんだけどね・・

土田:齋藤君に感謝しなきゃかなw


斎藤:感謝?!


土田:いやいや、冗談だって


斎藤:はぁ(ため息)


土田:俺、フリードリンク取ってくるよ、斎藤君もいる?


斎藤:じゃぁ、私、コーヒーお願いしてもいいですか?


土田:OK、じゃぁ行ってくるよ



とあるファミレス

店の手前の目立たない場所


美和子:桜井君、どういう事よ、

美和子:斎藤さんにバレてたじゃない


桜井:すいません、美和子(みわこ)先輩

桜井:まさか詩織(しおり)にバレてるんて・・


美和子:女って、匂いとか、ちょっとした変化とかに敏感なのよ

美和子:もう、不用意すぎるわよ


桜井:ごめんなさい


美和子:あなたが「絶対大丈夫だから」っていうから、行ってあげたのに

美和子:その後で彼女を部屋に入れるなんて・・


桜井:ホント、すいません


美和子:こんな事なら、ホテルにすればよかったわ


桜井:僕、あの時、お金あんまり持ってなくて・・


美和子:もう・・そんな理由だったんなら、言ってくれればよかったのに


桜井:いや・・でも・・


美和子:私、斎藤さんを呼び出して、叱りつけるつもりだったのに

美和子:言い返せなくなって、恥かいちゃったじゃない


桜井:すいません


美和子:まぁ、あの子には、もう仕事、教えてあげないから、いいけどね


桜井:でも、美和子先輩

桜井:どうして、詩織がいるの知ってたのに、

桜井:僕の誘いに乗ってくれたんですか?


美和子:そりゃ・・まぁ・・

美和子:あなたは新人の頃から、素直で可愛い後輩だったし・・

美和子:それに


桜井:それに?


美和子:あんなこと聞かされたらねぇ・・

美和子:女として、やっぱりねぇ


桜井:そうだったんですか


美和子:でも、もうバレちゃったし

美和子:私には和也(かずや)がいるから、

美和子:もう、これっきりよ、いいわね


桜井:はい・・分かりました・・

桜井:じゃぁ・・もし美和子先輩が土田さんと別れたら?


美和子:そういう事は、聞かないの。

美和子:それに、貴方には斎藤さんがいるでしょ


桜井:そうなんですけど・・

桜井:もう詩織とは、ダメになっちゃうような気がして


美和子:それで私?

美和子:イヤよ、そんなの


桜井:そうですよね・・


美和子:私、飲み物取ってくるわ

美和子:桜井君は何がいい?


桜井:じゃぁ、コーラで


美和子:OK



フリードリンクコーナー


土田:コーヒー、コーヒーっと


コーヒーカープを持って振りかえる


土田:っとすみません・・って、あれ?


美和子:和也(かずや)!


土田:み、み、美和子・・


土田をじっと見る美和子


美和子:ねぇ、和也?


土田:な、何?


美和子:一つ、聞いてもいいかしら?


土田:な、な、何?


美和子:どうして、コーヒーを2つ持ってるのかな?


土田:えっと・・こ、これは・・



4人が相席になる

美和子:で、なんで二人が一緒にいるのかしら?


斎藤:反省会ですよ


美和子:なんの反省会よ


斎藤:美和子先輩こそ、どうして祐樹(ゆうき)と一緒にいるんですか?


美和子:そりゃ、いろいろあるのよ


斎藤:じゃぁ、私もいろいろな反省会という事で


美和子:まぁ、ホント生意気ね


土田:まぁ、まぁ、二人とも落ち着いて


斎藤:別に、私は落ち着いてますよ


土田:そうかもしれないけど・・


美和子:和也(かずや)は余計な事を言わなくていいのよ


土田:・・はぁ・・


美和子:で、二人はまだ続いているのかしら?


斎藤:それは、先輩次第じゃないですかね


美和子:どういう意味よ


斎藤:そういう意味ですよ


美和子:まぁ


斎藤:だいたい、美和子先輩の方が先ですよね


美和子:そうだけど?


斎藤:美和子先輩が祐樹を寝取らなきゃ、私と土田先輩ともなかった訳ですから


美和子:和也、あなた知ってたの?


土田:うん・・

土田:斎藤君に教えられたんだよ、美和子と桜井君が浮気してるって・・


美和子:それで、斎藤さんを誘ったの?


土田:誘ったというか・・そういう雰囲気だったというか・・


美和子:呆れた


斎藤:呆れるのは美和子先輩ですよ。

斎藤:人の彼氏を寝取っておいて、自分の彼氏の浮気を許さないなんて


美和子:私が呆れたって言ったのは、あなたの事よ


斎藤:どうしてですか


美和子:どうせ和也が誘うように、あなたが仕向けたんでしょ


斎藤:さぁ、それはどうでしょうね


美和子:ホント呆れるわね

美和子:まぁいいわ、どうせ仕返しか何かのつもりだったんでしょうから


斎藤:まぁ、そうですけど


美和子:でしょうね

美和子:自分が浮気されたのを、人のせいにして、仕返しするような人だもの

美和子:何したって驚(おどろ)かないわよ

美和子:まぁ、和也には同情しないけどね


土田:美和子・・


斎藤:人のせいってどういう意味ですか


美和子:そういう意味よ


斎藤:くっ・・

斎藤:祐樹(ゆうき)、あなたも、何か言いなさいよ


桜井:いや・・それは・・


美和子:言ってあげれば?


桜井:いや、美和子先輩・・


斎藤:何よ、何かあるなら、言ってごらんなさいよ


桜井:いや・・いいって・・ごめん・・


斎藤:ったく


美和子:言ってあげればいいじゃない、私を誘った理由を


斎藤:何?

斎藤:祐樹(ゆうき)が誘ったの?


桜井:いや・・あの・・


美和子:そんなのどっちだっていいじゃない


斎藤:よくありませんよ!


美和子:あなたと和也の場合と同じかもよ

美和子:私が誘うように仕向けたかもしれないでしょ?


斎藤:それは・・


美和子:桜井君も、言ってあげればいいんじゃないの?

美和子:「もう貧乳には飽きた」って


斎藤:なっ!


桜井:先輩、僕、そんな事言ってないじゃないですか

桜井:詩織(しおり)が誤解するようなことは・・


美和子:あら、同じじゃない


桜井:違いますって・・


斎藤:じゃぁ、なんて言ったのよ


桜井:いや・・なんにも・・


斎藤:言いなさいよ


桜井:え・・

桜井:・・・

桜井:飽きたとか、そんなんじゃなくて

桜井:い・・一度でいいから、大きい胸を触ってみたいって・・


斎藤:同じじゃない!


美和子:ほらね


桜井:違いますって・・


斎藤:もう・・だからって、よりにもよって、こんな年増の色気に中(あ)てられるなんて


美和子:年増!


土田:まぁ、まぁ・・斎藤君も落ち着いて

土田:美和子も、もうやめろって


美和子:ふん


斎藤:土田先輩だって、私に言った事、

斎藤:美和子先輩に言ってあげればいいじゃないですか


土田:斎藤君・・


美和子:まぁ、それは聞きたいわね


土田:美和子も!


斎藤:いいじゃないですか、本人が聞きたいって言ってるんですから

斎藤:土田先輩、いいましたよね?

斎藤:「ハリのない肌は、もう飽きたって」


美和子:なっ!


桜井:土田さん・・それは・・


土田:そんな事、言ってないじゃん!


斎藤:同じですよ


土田:違うって・・


美和子:もういいわ

美和子:どうせ、そこの清楚(せいそ)ビッチに言わされたんでしょ


斎藤:ビッチは余計です


美和子:どうだか


桜井:詩織も、美和子先輩も・・もうやめてください

桜井:僕が全部悪いんですから


斎藤:そりゃそうでしょ


桜井:悪かったよ、詩織・・


美和子:はぁ(ため息)

美和子:まぁ、そこから先は、二人でやって頂戴


席を立つ美和子

斎藤:どこ行くんですか!


美和子:もう帰るのよ。

美和子:ここに居ても仕方ないから。


美和子:和也、ここの支払いお願いね


土田:美和子・・


美和子:和也も、せいぜい気をつけなさい

美和子:じゃぁね


立ち去る美和子

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