サンドイッチに挟まれて

睡眠欲求

サンドイッチに挟まれて

サンドイッチに挟まれて



意思っていうのは一人につきひとつしかないはずなのに、僕は二つある気がする。最初はひとつだったんだけど二つになったんだ。



最初に言っておくが、ここから先はフィクションでもノンフィクションでもないんだな。ただ文字が羅列していくだけだから正直言って飽きる気がする。僕だったらもう三文字目で飽きてると思うし、そんな読み続ける根性なんてものはない。いつも小説を読もうと思っても大体二十ページが最大だ。おもしろけりゃ話は別だけど。ここでひとつ紹介したいのがお気に入りの店の話なんだけど、いつも学校へ向かいながらそこでサンドイッチを二つ買っていくのが日課みたいなもんだ。でも母親が弁当を作ってくれる時もあるけど、大体はサンドイッチをそこで買ってく。習慣にしてしまうと意外と他のところでは食べれないもので、これもひとつ、意思が二つの問題かもしんない。学校へ向かって歩けば、色んな人とすれ違うわけでそれを楽しんでる自分もいるんだなこれが。どんな服を着ていたりだとか、どんな顔をしていたりだとか、色々見てしまうんだな。それが意外と楽しいし、飽きない。学校へつけば席に座ればいいんだけど、これがちょっと難しいんだな。なんでかって言えば、意思が二つあるからさ。なんで意思が二つの話をしたかって言えばこれがあるからなんだな。だって俺は座りたいのにうまく座れないんだよ。そこにいる君は二重人格の話だと思ったかな。だが違う。それは違うんだよ。二重人格なんかじゃないんだな。バッグを置こうとしてもこれがなかなか置けないんだな。自分の意思に反して、気に食わないってなるんだなあ。気に食わなくて何回も置かなきゃいけなくなって、でも自分ではやりたくないって思ってるんだな。おかしいだろ。君は今そう思ったはずだ。理解できなくても何か思うことはないんだ。僕だって自分でわかってないんだから。しょうがないんだな。

「おはよ」

意外と僕って気さくなんだよ。こやって挨拶だってできちゃう。

「おはよう」

彼女は僕に返したんだ。声調的には僕と同じくらいかな。多分それくらいだ。

「今日もサンドイッチ?」

彼女は僕を軽蔑するように言いやがったんだ。僕だって、毎日食べたくて食べてる訳じゃないんだな。しょうがないから食べてるんだ。あそこの店のこのサンドイッチを食べなきゃ悪いことが起こりそうな気がしてさ。そりゃあ、冷静にはいられないくらいさ。

「うん、好きだから」

そんな誰でも見破れそうな嘘だって、彼女は騙されちまうんだ。そのうち詐欺にでも遭うんだろうな。

「今日は午前中だけだね」

今日は午前中だけ授業があるから午後からはなんにもなくて最高な日だった。何をしようか。授業は案外早く終わった。まぁ受けてる時は長いなってずっと思ってたけど、振り返ってみれば意外と早かったなっていう感じだったんだな。じゃあここまで付き合ってくれた君たちに今の僕の状況をわかりやすく説明しようと思う。そこに座って欲しい。ありがとう。じゃあここに一つのサンドイッチがあるだろう。これを分けようとすると三つに分かれるんだ。パンと具材とパン。まず意思をパンだとしよう。これが今の状況だ。意思が二つある。じゃあこの具材っていうのは何になるんだろう。意思に挟まれたこのものはなんだろうか。これが問題だ。いくら考えてもこれが何かわからないんだな。となると残ってるのは行動になるんだ。パンが意思でそれに挟まれている具材が行動になるとすれば、わかりやすいんじゃないかな。でもこれだと気持ち悪いって思うんだよな。行動が意思に挟まれてるって気持ち悪いんと思うんだ。大体具材によってパンが変わったりすると思うんだけどな。例えば具材が野菜とかハムとかならサンドイッチ用のパンだろうけど、長いソーセージだったら、あれはなんていうかわからないけどホットドックのパンになるわけで。いわゆる具材が意思でなければ気持ち悪いんだ。おかしい気がするんだよ。これじゃ、自由意志がないみたいだ。


人よりは自分を病んでいると思う時があるんだな、と言うかみんなそう思って生きてるんだろうけど自分が一番の可哀想だって思っちゃう生き物なんだと思う。だって某SNSを見たって、死にたいだの生きたくないだのそんな言葉で溢れてる。辛い、死にたい、消えたい、だるい、OD、そんな言葉しかないけど、どうせ必要だって言ってもらいたくて言ってるんだ。

「君は必要だよ」

って言われたくて言われたくて嘆いてるって思うんだな。なんでそんなことを言うかって言うと自分がそうだからなんだな。捻くれてたって死にたいって思うし同時に生きたいと思う。そんな矛盾が重なって一人の人間ができてると思うと、案外人間ってすごいんだなって思うんだな。どうしたって人付き合いが苦手だし、それも一つの個性だって言う人もいるけどそんなん個性じゃないし欠点だって思うし、どうしたってそれは治らない不治の病ってやつかもしんない。少し話がズレてきたから戻そうと思う。さっきは自殺のことなど言って悪かったって思うんだな。でも救済の言葉なんてかけられるわけがないし、それが逆効果ってなったらそりゃもう責任を取らなきゃいけなくなる。そんなのごめんだ。さて、今はいつもの道を帰ってるわけだが、今日は午前中授業なんだ。つまり午後はないってこと。でも家に帰ればこのサンドイッチの差はどんどん広がって自分でも行動が制御できなくなる。挙句に過呼吸を起こして収集がつかなくなっちまう。それくらいこれは自分にとって重大なことなんだ。まだ朝起きて毒虫になってた方がマシな朝だってある。結局この小説で何を言いたいんだって君らは思ってるだろう。ただ頭の中をのぞいてもらっただけなんだ。少しでも理解してもらいたかったんだ。それがこの文章を書いてる一つの理由さ。まず一番に知って欲しいのはサンドイッチのこと。それを知ってくれればこの文章を書いた意味があったって思える気がするから。例えば君がこのサンドイッチを抱えてる時、それに挟まれるものは何なるのだろうか。君にとってサンドイッチになっているものはなんだろうか。君にとって……生きるとはどう言うことなのだろう。

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