第8話 学院内での生活

「おーい。アレス飯食いに行こうぜ。」


 学院での初めての授業がだいたい終わって今は、昼休憩の時間だ。

 

 このリーデル帝国学院では敷地内に食堂があり、普通ではありえないほどの安さで提供しているため生徒の間ではかなり人気がある。


「そうだな。かなり腹減ってきたし。」



 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「この席が空いてるな。」


 そう告げて俺はレオンとともに手にもったお盆をテーブルに置き、椅子へ腰かける。


「しっかし今日の授業疲れたな。特に魔術学だよ。レイラ先生見た目の割にはかなりハードの授業するんだな。」


 確かにレイラ先生の授業は難しかった。今までの魔術への考え方がゴロっと変わった気がする。

 大変ではあったが確実に自身の成長につながるものであっただろう。


 そんな感じで他愛もない会話をしていると近くから同じ学年の生徒と思わしき人たちがやってくる。


「いやーミリエル先輩かっこよかったよな。遠目から見ても噂に恥じぬ雰囲気というか。いやーぜひともお近づきになりたいもんだぜ。」

「そうだよな。何せ1年にとっては憧れの人だからな。」


 なにやら興味深い話が聞こえてきたな。


「な、なぁレオン。ミリエル先輩ってもしかして二年の……」

「おお!よく知ってるな。そのミリエル先輩であってるぞ。すごいよな。学年1位の実力を持っていてかつ、学院内でもTOP3には入るほどの実力者だとか。」


 ミリー先輩ってそんなにすごかったのか。

 確かに迫力はあったもののそこまでとは思わなかった。


「TOP3ってことは他にもあと2人いるってことだろ?だれなんだ?」

「2人とも三年の先輩だな。詳しくはあまり知らないんだが、確かそのうちの一人はすでに帝国直属の騎士団への入団が決まっているんだとか。」

「へえーすごいじゃん。」


 騎士団って入るだけでエリートが確定するほどの超難関で有名なあの騎士団か。

 学院でもかなりの人数がその道に進もうとするが入団の条件が厳しすぎてだいたいのやつが諦めるらしい。


 そんな場所である騎士団を学生の間ですでにスカウトを受けているとはかなりの実力者なのだろう。

 

 「あ、ミリエル先輩も受けてるらしいぜ。騎士団へのスカウト。」


 そ、そうなのか。

 ミリー先輩もなかなかやるらしい。


 「って結構話し込んじゃったな。次の授業って確か剣術指導だったよな。」

 「ああ、訓練所に各自で移動のはずだ。急がないとな。」


 俺はそう告げ、レオンとともに次の授業が行われる訓練所へと向かう……。




 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 


 「えー俺がC組の剣術の授業を担当する。ジェラル・マッケイブだ。よろしくな。」


 額におおきな傷を持った強面のがガチムチのマッチョな男性が俺らの剣術指導の担当らしい。


 クラスのやつらの半分は最悪だといいたそうな顔をしてうつむいていた。

 恐れくそいつらは魔術を得意とし剣術などの経験をあまりしてこなかったのだろう。


 うん。気持ちはわからんでもない。


 「一応帝国騎士団の元団員ではあるから経験とか技術とかそういうのはそこら辺にいる冒険者よりは自身がある。まぁケガで引退した身だがな。」

 

 その言葉を聞いたからか、周りのやつらが感嘆の声をあげる。


 「よし。おしゃべりはここまでだ。とりあえず二人一組でペアになって軽く立ち会ってみろ。流派などは問わん。それなりに剣の扱いを学んでいるやつもいると思うがひとまずその実力を俺に示せ。木剣が壁にかかっているからそれを使え。では各自好きなタイミングで始めろ。」


 その言葉を聞いた瞬間各々がペアを組んで剣を振りあう。


 よし。俺はレオンを誘おう。


 「なあ。レオン俺といっしょに……。」


 俺がすぐそばにいるレオンへと声をかけた瞬間、背後から肩をトントン優しくとたたかれる。

 なんだと思い後ろを振り返ると


 「ねえあなた、アレス・クリフォードよね?よかったら私と手合わせお願いできるかな。」


 そこにいたのはわれら1年C組が誇る秀才である、長い金色の髪を持つエルフ族の少女だった。

 

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