第10話 他の国へ旅行(?)へ行ってみた - 後編
「もしかして料理、ヘタ?」
「えっ!?そ、そんなあ。」
僕らは昨日路面で飲食店を開いてみようと言う話になったので今日は申請したりその他色々な書類を書いていた。
「...これで良いですかね?」
「...はい!申請は完了しました!出店場所は23番です!お間違えのないように〜」
出店場所はなかなかにいい場所だった。すぐそこに海が見える良いロケーション。これから開く店には丁度いい。そして出店場所で借りたテントを広げて備え付けの調理器具を確認して、2人で作ったほうが効率が良いと、ヒカルに料理を教えようとした結果がこの有様だ。
「いっでぇ!また包丁で切っちまった!」
「おいおい、お前意外と器用かと思ってたけど結構料理は出来ないんだな。」
「しょうがないじゃないですかー!転生したときから一度も自分で作ったこと無いし、転生する前もカップ麺位しか作ったこと無いし!」
流石に難しい事をやらせちゃったかなと思った。意外と器用なのかと思ってたけど、僕の想像に過ぎなかった。しょうがない。こんなこともある...ということでお金の計算を任せることにしてみた。これなら多少経験はあるだろう。
「じゃあ、商品を渡したり会計をやってよ。つくるのは僕がやるから。」
「は...はい!お金の計算なら前々から得意ですよ!」
「じゃあなんで君は『あの時』国のお金の計算を引き受けてくれなかったのかなぁ?それくらい出来そうだけどなぁ...?」
「え、あ、それは...国のお金を扱うのはぁ...怖いじゃあ無いですか...」
もしかして、彼は警備以外何も出来ない?いやいや、もともと王の幹部だったのだから、少しくらいは信じてあげよう。それにしてもうまく引っかかってくれたな。
それはそれとして、今日のメニューは昨日じっくり考えて決めた厳選された品だ。寿司を売ることにしたのだ!寿司という大枠で見れば一種類だし少ないように見えるが、中身を覗くと色々な「ネタ」があるのだ。僕はそのコスパの良さに気づいたのだ。よくわかっていないが。
魚はここの海で取れた鮮度がとてもいい魚をこの辺の商店からたくさん買った。今日はマグロ、サーモン、イカ、卵焼き、サラダの5種類だ。もうすぐ「サラダ」が来るはず...
「やあシュウヤさーん!言われたとおりにきゅうりとレタスとかをたくさん仕入れてきたよぉ。」
「ありがとう、ビーツ!お金はサンジーフ王国として払わせておくからまた数日後国に来てね〜」
「はいよ」
サラダ巻きをつくるためにビーツから新鮮な野菜をたくさん仕入れてもらった。やっぱり人との繋がりは大事だな。しかも今回は国の宣伝目的もあるため、お小遣いからではなく国としてお金を払うことが出来る...!
「ヒカル!30分後に店を開けるよ!」
「はい!」
僕はひたすら寿司を作っていた。お米とかは奇跡的に市場に売ってあった。どうやらこの国の主食はたまたま米らしいので、ひとまず良かった。ただ、タイ米みたいな形であることが問題だが、味は日本の米とあまり変わらないだろう。ちなみに卵焼きとサラダは、生魚がどうしても食べられない人のために作った。
◇
店を開けた。料金は一律1.5G、日本円で130円くらいだ。少し高いかもしれないので、10個入りパックで10Gという事にしてお買い得感を出した。
「サンジーフ王国の代表料理である『寿司』です!どうぞ食べてみてください!」
まずは最初にサンジーフ王国のことを知っている人が現れた。
「おお、これがかのサンジーフ王国の料理か...価格も意外と安いな。噂には聞いていたから俺、この国の料理を一度食べてみたいと思ってたんだよな。じゃあ10個入りを5つください。」
「はい!では50Gのお会計です!」
最初はサンジーフ王国を知っている人が10人程買ってくれた。隣国のヴァルファン王国が噂をこの国にまで広めてくれたのかな?
次は最初の10人位の客が噂を広めたであろう人たちが来た。
「サンジーフ王国が出店したとなれば、買うしかありませんわ!」
「食の国として有名な国だから、家族にも喜ばれるかしら!」
中でもご婦人2人がたくさん買ってくれた。どうやら家族や友人に渡すらしい。もうすぐなくなりそうだったので、急いで作り足した。
外には飲食用の席を設けているため、そっちの様子も少し見てみた。
「生魚を食べるのは珍しいが、意外といけるな。」
「しかもライスの上に魚を乗せるなんてなぁ、聞いたことがなかったぜ。」
「僕はどうしても生魚は抵抗があるから卵焼きとかを頼んだんだけど、これもなかなか美味いな。」
どうやらみんないい評価をしてくれて嬉しい。流石地球でも誇れる日本食。僕らは作れるだけ作って販売し、とうとう売り切れてしまった。今日は何十Gかを売り上げた。黒字発進でいい感じだ。
「明日もがんばりましょう!シュウヤ様!」
「うん...!」
◇
この6日間のうちにたくさんの人が来た。噂を聞きつけお小遣いで買いに来てくれた子供、晩御飯にすると言っていた夫婦、5日間連続で来てくれたリピーターもいた。
「国のことも紹介できたし、意外と売り上げたな。」
「そうですね...でも忙しかったですね...」
「これがいつもの僕の忙しさ、いや僕の仕事の場合もっと忙しいよ。」
「お見逸れしました...流石です。」
「はは...まぁね。」
僕らは帰国に備えて準備して、早めに寝た。今日はぐっすり寝ることが出来た。
◇
「はい。帰国手続きは完了です。ありがとうございましたー!」
「こちらこそありがとう!また来るよ!」
僕は長期の休暇を終えサンジーフに帰ってきた。僕は王の席に向かい、そこに腰掛けた。あの休暇は忙しいものになってしまったが、久々に外の国へ行き僕らの国に対する反応を見れたから、まあ十分だ。
しかも今日はなぜか気分が良い。まるでなにかが良いことがありそうな予感...!なんてね。
「プルルルルル」
机の上にある電話が鳴った。僕は気分良く受話器を取った。
「はい、もしもし!サンジーフ王国国王のシュウヤです!」
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