第8話 うれしい知らせ
あれからしばらく経った。イセ王国はサンジーフ王国の一部となり、国の再建が着々と進んでいった。そこで僕はイセ王国が比較的海に近いことを踏まえて、貿易の国にしようとしている。
「シュウヤ様」
「おお、サラか。あれからどうだ?」
そう、あまりにもサラの仕事が空いていたため、サラには貿易の管理の仕事をしてもらうようにしたのだ。
「いい感じです...やはり海の向こうの国でもこの国は『食の国』と知られていて、今度ある国が海産物を持ってきてくれるみたいです。」
「それは良いな。あまり海産物を使った料理は出来なかったし、魚を手に入れても鮮度も落ちていたからな。ありがとう、じゃあなにかあったらいつでも言ってね。」
「はい...」
...と、実にいい調子でことが進んでいる。もちろん甘く見ているわけではないが、それでも僕はこの何ヶ月かすごく大変で色々なことがあったので、最近休みを少しもらっている。一応王だから無断欠勤しても誰からも怒られることは無いだろうけど、休む報告はしている。
「今日は久々に飲食店の様子を見に行くかな。」
僕は国の中央にある街に行き、あるレストランに行った。そのレストランは僕が一番最初に作ったところであり、一番僕が手をかけたレストランだ。そこのレストランは日本食を主に扱っており、この世界では日本に少し申し訳ないが「サンジーフ王国が開発した料理」として色々な人に名を広めてもらっている。
「やっほー」
「いらっしゃいませ、シュウヤ様!今日はどうなさいますか?」
「じゃあ今日は『テリヤキチキン』を頼もうかな」
「はい!」
僕はこの国の飲食店にそれぞれの店に合わせたレシピ本を配布している。もちろん味や形を変えるのも自由としているが、一応僕のお墨付きがないと販売は出来ないことになっている。つまり、僕は時々美味しい思いをしているのだ。
「おや、シュウヤ様。これは奇遇ですね。」
「おお、カムじゃないか。今日は俺に用が会って来ていたのか?」
「そうなんですよ、今日はとびきりいいニュースがあってですね...」
「ん?どういうニュースだ?」
僕は出された照焼チキンをつまみながら話を聞いていた。この人のいいニュースなのだから、きっと大きな利益になることは間違いない。
「あなたが海の向こうと貿易をし始めてくれたおかげで、向こうの大国と大きい貿易ができそうなんですよ。もちろんあなたの国の方が利益は大きいです。」
やっぱりそうだ。やっぱりこの人の「良い〇〇」というのは絶対にハズレがない。
「それは、どういうものだ?」
「ええ、あなたの国の料理の知識をその大国、『ヴァルファン王国』に提供してくれると25億Gももらえるようです!夢のような話ですが、本当なんですよ!」
僕はその金額に驚いてしまった。いいニュースとは言え、確かにすごい利益だ。今の借金の残りが28億Gだから、借金が3億Gになり大きな進歩になる。夢の借金返済も夢ではなくなるのだろうか。
「その国には『知りたい料理のジャンルの料理のレシピと、基本的な食材と衛生の知識のを提供すると約束する。』と言っておいてくれ。ただ、25億Gとは...すごい財力だな。」
「その国は国ランキングで毎年1位をとっている財力と権力ともにすごい歴史ある国だ。」
「でもなぜそんな凄そうな国が食べ物の知識など...もう既に出来上がってそうだが...」
「長い歴史の中で、国の発展ばかりを優先していたら、料理の種類が少ないことに気づいたらしくてな。そこで今の王がこの国のことについて知って、今の話に至ったわけだ。流石に単純な料理のところには人は寄り付かなっていくからな。」
なるほど。発展を優先してその方面が弱くなったのか...強ければそういうのは後から勝手についてくるとでも思っていたのかな。それにしてもこの国も有名になったよなぁ。
「...よし、仕事を受けたからきっちり作ってしっかり納品するぞ!」
◇
例のヴァルファン王国には色々な知識を書いた本を納品して、お礼にきちんと25億Gをもらった。
「ありがとう!これで我が国は色々な方面でもっと強くなれるだろう!きちんとお礼は手下に持たせているから、遠慮なくもらってくれ。どんなことに使っても構わない。」
という手紙とお金をもらった。馬車何台分にもなっていた。でも流石にすべて借金を返すために使うのでは申し訳ないから、2億Gは国民の給料や国のインフラの発展に使い、借金は残り5億Gだ。借金返済もラストスパートといったところかな。でも流石に料理だけじゃ限界がありそうだから、今度は別の産業でも考えておくか...ふぁあ...
僕は少し気が楽になった。同時に体の疲れが今、来始めた。
「そう言えば、最近までほとんど休んでなかったよな。」
僕だってたまには休みたいし、バカンスにだって行きたい。この世界の観光すらまだまともに出来ていないから...
「少し気休めにどこか行きたいなぁ...そうだ。ヒカルが前忙しそうだから休みをあげようと考えていたな。二人で旅行でも行こうかな。」
僕は机に向かった。仕事ではなく、今度の休みを充実させるために。
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