変ゼルとダークグレーテル

長靴しかはいていない人

変ゼルとダークグレーテル

二人の兄妹は何日も森の中をさまよい疲れ果てていました。とうとう我慢が出来なくなった妹のダークグレーテルは兄の変ゼルの胸ぐらをつかみながら低い声で言いました。

「変ニィ!お前、賢い設定やったんとちゃうんか?パンくずなんか落としていっても鳥じゃなくても、普通、他の動物とかが喜んでヤッホーって言うて食うやろ!よー考えたら分かるんとちゃうんか、どアホ!これ、どー落とし前つけてくれんねん、なぁ!」ダークグレーテルは涙を流し鼻水も垂らしていました。すると、変ゼルは妹をなぐさめるように話しかけました。

「じゃかましいねん、われ!ちょっと黙っとけや!今、シュヴァルツヴァルトの森脱出計画RX-79バージョン考えとんねん!それと、こんなことぐらいでいちいち泣くなや、面倒くさいのぉ。だから6歳のおチビちゃんは嫌やねん!お前こそ、勇気のある設定ちゃうんか?!見てたらイライラすんねん!」すると、ダークグレーテルがすぐさまツッコミました。

「だからお前はアホ変ゼルってみんなから言われんねん。これが花粉症やって見抜けんか?仮にわしが泣いてるとしたらお前のバカさかげんにあきれて泣いとるんや!大体、木こりの息子のくせにこの辺の木が杉やって見てわからんのか?杉、涙、鼻水、ってきたら大体想像できるやろ。だからオトンとオカンに捨てられたんちゃうんか。後継者として失格やろ、どー考えても。わしまで巻き添え食ったやんけ。お前のせいで腹ペコやぞ。なんとかせーや!」これに怒った変ゼルは言い返します。

「ダー子!お前何様やねん!大体、腹減ってるって言うてるくせにムッチャ元気に喋ってるやんけ。そんなに元気があるんやったら、食べ物一つでも探してこいや!お前の自慢の脳みそ使ってのぉ。あればのはなしやけどな。ケッケッケっ。あぁ、それとお前ここどこの設定のつもりでしゃべってんねん!ヨー○ッパに杉はないぞ!知らんのか?しよーもない奴やのー。」と反撃します。これを聞いたダークグレーテルは呆れたように言いました。

「なぁ、お前。なにこんなときに無駄な知識ひけらかしてんねん。それに、こんなkawaiiレディーをこんな危ない森の中を一人で歩かすつもりなんか?人間でもほっとかへんこのわしの美貌を森の中の野獣がほっとくと思うんか⁉あぁ!?アホな上にジェントルマンでもないってほんまのクズやな。それで、わしが森の中を危険をおかしてまで食べ物探してる間、われは何する気やねん?」変ゼルもあきれて言います。

「お前の方こそ脳みそカスカスやのぉ。さっき言うたやんけ、ちゃんと覚えとけや!わしはこのすばらしい頭脳、腐我苦ふがくバージョンアップ型A69○EXを使って、お前がくしゃみしたときのために飛沫ひまつの距離を計算するに決まってるやろ!どアホ!」ダークグレーテルは

「どアホはお前や!さっきしょーもないナンタラ計画考えてるって言うてたやろ!もー忘れたんか?そんな役に立たたん脳みそやったら、いっそ、それ餌にして動物でも捕食したほーがえーんちゃうんか⁉」と兄をさとします。すると変ゼルは、「いつまで過去のことにこだわってんねん?大事なんはこれからの事、そう、未来やろ!ちまチマチマちまちま、うっさいねん!だから○はいややねん。細かいこといつまでも・・・。森も今泣いてるで。可哀想やとは思わんか?なんやねん多○性って?間違ったこと言うたらみんなでいじめることなんか⁉」これにはさすがのダークグレーテルもガックリして言いました。

「何の話しとんねん。大体、なんでこの状況でポジティブ思考やねん!だからバカは好かんわー。」すると、突然、変ゼルが大声を出して言いました。

「ちょと待てや!」これにビックリしたダークグレーテルはボソッとつぶやきました。

「さっきから一歩も動いとらんわ!お前のせいでな。」変ゼルは辺りをうかがいながら言いました。

「黙れや、お前!今そんなツッコミぶっ込んでくんなや、いらんねんそんなん!空気読めや。そんなことより、なんか匂いせーへんか?こう、なんか、どう言うたらいいかわからんけど。」ダークグレーテルは恐る恐る聞きました。

「それ、多分お前の体臭やで!」すると変ゼルはダークグレーテルをにらみつけました。

「もう、えーちゅうねん!大体、お前花粉症で匂いなんかわからんのとちゃうんか⁉」

「何怒ってんねん!傷つついたんか?がらにもなく。別にお前が臭いって言うたわけちゃうやろ?それにわしが花粉症やって分かってるんやったら、匂いがどうのこうの聞いてくんなや!アホンダラ!」

「あー!もー!うるさいねん!えーから黙ってついてこいや。匂いのする方に行くで。」ダークグレーテルは諦めてついて行くことにしました。

しばらく歩くと、遠くのほうから明らかに甘い香りがするのがわかりました。変ゼルは鼻を腐我腐我ふがふがさせながらさらに奥へと進みました。ダークグレーテルは(コイツについて行ってホンマに大丈夫なんか?ゲロ心配。)と思いながらしかたなく後に続きました。すると、遠くを見ると森の中にポツンと一軒家があるのを見つけました。変ゼルは驚いて、

「この状況ってまさしくトコロのアレやんけ。携帯持って来てたら局に言うのになー。ほしたら、謝礼でもくれるんちゃうか?かー、失敗した。」と嘆きました。ダークグレーテルも驚いて、

「うわっ、コイツ匂いだけで家見つけよった!どんなやつにも特技があるもんやな。どっかの主人公とは雲泥うんでいの差があるけど。」と思いました。変ゼルは、

「お前さぁー、心の声ダダれやぞ。めるかけなすか、いや、これはめるとこやろ!わしが言うのも何やけどこの鼻、役にたったん初めてやねん。お前は知らんと思うけど、わしらが寝たあとアイツらこっそりうまいもん食っとんってん。それもほぼ毎日。わし、鼻がえーからわかんねん。ずっと知っててん。これって児童○待ちゃうんか思うて誰かにチクったろーって思ったけど、誰も子供の言う事より大人の言う事信じるやろ。絶対負けるの分かってたからずっと我慢してたんや。酷い世の中やで。悔しかったわー。その挙げ句にこんなとこに捨てやがって今思い出してもムカつくわ!」ダークグレーテルは慰めるように変ゼルの肩に右手をそっとおいて、

「お前にしては賢明な判断やな。誰かにチクってたら絶対負けてんで。何でかって言うたらお前が子供というよりアホやからや。お前の肩書がもう一つ増えるだけや。ただのアホからオオカミ少年アホってな。その上、あいつらのわしらへのあたりもキツくなんの見えてるしな。」と言いました。この言葉に感動した変ゼルは、

「お前なー、せめてこういうときは褒めるべきやぞ。年長者として言わしてもらうと、人に対して感謝を忘れたらあかん!」この変ゼルの態度にダークグレーテルは敬意を表して、

「誰目線で上から言うてんねん。大体、わしとお前、2歳しかかわらんやろ。調子乗んなや、ボ○!それよりあの家なんか変ちゃうか?」と言いました。それを聞いて変ゼルも改めてその家を見ました。確かに違和感満載でした。どこが?ふたりはプ○キュア、いえ、ふたりはゆっくりその家に近づきました。ときには恐る恐る、またある時は人が見ていないときのハムスターのような素早さで。

そしてとうとう家の前まで来ました。変ゼルしか分かりませんでしたが甘い香りはこの家からしているのがわかりました。変ゼルはおかしな原因が何か分かり叫びました。

「おかしやさんま!」ダークグレーテルはビックリして変ゼルに言いました。

「お前、間違ってるで。『お』じゃなく『あ』やろ。大御所に対してあまりにも失礼極しつれいきわまりないで!謝れや!」

「誰にやねん!ちゃうわ!よ〜見てみー。この窓、げ茶色でこれやったら外見えへんやろって、おかしいなーと思ったらお菓子、そう、チョコレートや!それにこのチョコレートの窓の枠が魚のさんまで出来てるねん。間違いないで、わしの鼻がBinBin言うてる。」

「アホかお前!鼻がしゃべるか!それより、今日、どうしてん?お前のその役に立たん特技が発動しまくりやんけ!確変か?過去一やで、お前自体が役に立ったんも。」

「お前、木こりの息子バカにしんとんのか?一目ひとめ見りゃー、遠くからでもこの家が木でできてるかどうか分かるわ!」ダークグレーテルはさすがにこれにはツッコミました。

「ウソつくなや、われ!今更誰に対してアピールしとんねん。お前さっき鼻がしゃべってるって言うたけど、目はしゃべってへんかったやろ。その、証拠に遠くにおったときはその魚のくさった目は何も言うてへんかったやんけ!もう遅いんや諦めろ。お前に木こり、いや、普通の仕事は無理や、わしもこんなこと言いたくないんや、分かってくれ。その穴の大きい鼻を活かす職業探せや。もしもあったらやけどな。」変ゼルはガックリしました。それでも気を取り直して家をくまなく調べました。そして色々なことが分かりました。屋根は牛肉、壁は食パン、玄関のドアは板コンニャク、そのドアノブは玉ねぎ、その他にも壁に様々な食材が埋め込まれていました。それらを見て変ゼルは言いました。

「鍋か鉄板忘れてたなー。まさか必要になるとは思わんかったからスプーンしか持ってきてないわ。」ダークグレーテルは慰めました。

「まぁ、しゃーないって。スプーンあるだけマシやろ。それでドアのコンニャクほじって食べろや。それよりこの壁の食パン、どこのやろ?わし○島より○崎派やねん。」

「知らんわ、ボ○!この期に及んでお前の食いもんの嗜好なんか聞いてへんねん!パン職人ちゃうっちゅうねん、どアホ!それとお前こそ失礼やぞ!地元の神○屋忘れてんぞ。謝れや!」この言い草に怒ったダークグレーテルは、

「ちょと忘れてただけでうるさいねん!○のくせに細かいこと言うてたら○に嫌われんぞ。」

「もー分かったから、とにかくわれの好きなもん食おうや。」

「分かった、分かった。落ち着けや!」


二人は別れてそれぞれ好きなものを食べ始めました。ダークグレーテルは取り敢えず壁のパンを試食し、食レポを始めました。

「なんやこれ、ちょっと硬いけどムッチャまろやかやん。あっ!もしかしてバター練りこんでんのとちゃうん?しかし、どこのパンやろ?なんか、食った記憶があるんやけど…あっ!もしかして幻のキムラヤか?そうやで絶対!なかなかやるやんけ、そうきたか。でもキムラヤのパンにしては少し硬いなぁー。なんでやろ?」すると、上のほうから変ゼルの声がしました。

「お前、さっきから『あっ』、『あっ』うるさいねん!黙って食われへんのか?!」ダークグレーテルは声のする上の方を見ました。すると、屋根の上に変ゼルが口をMOGUMOGUしながらダークグレーテルを見ていました。

「変ニィ、なにしてんねん、そんなとこで?」

「わしか?」

「お前以外に変ニィって奴おんねやったら連れてこいや!」

「わしは肉食うとんねん。わしは好きなもんを先食べる派やねん。結構いけるで、この肉。これは上質の肉やなー、多分サンダギュウちゃうか?」

「そんなん聞いてへんねん。その肉赤いやろ?どうやって食べてんねん?」

「アホか、そのままに決まってるやん!鍋も鉄板も忘れたってさっき言うたやろ!」

「アホはお前や。YUKKE食われへんこのご時世に普通の牛肉を生で食べてどうすんね。腹いわすぞ!」

「細かいこと言うなや!だから○は嫌いやねん、いつまでもグチ愚痴ぐちぐちGUCHI…」

「分かった、分かった…好きにせーや。わしはどうなっても知らんからな。」ついに変ゼルは怒りました。

「だからー、うっさいねん!黙って食えや!マナー悪いぞ!どこで覚えてん、その所作しょさは?!」(お前と同じ場所やろ!ボ○!)とダークグレーテルは思いながら言うのを我慢しました。

それからしばらく二人は夢中でその家を食べました。すると変ゼルがお腹を押さえてダークグレーテルの方に近づいてきて、か細い声でいいまし。

「食い過ぎたかなー?なんか腹の調子が悪いねんけど。」ダークグレーテルは心配して言いました。

「ちゃうわ!だから、わしが忠告したやろ!あたったんや。」

「何が?わし競馬はしてへんで。」

「も~しゃべるな…けど…わしもさっきからなんか気分悪いねんなー。なんでやろ…」その時です!二人の背後からしゃがれた女の声が聞こえました。

「何しとんじゃ!きさまら!誰の家やと思ってんねん!あ~ぁ、ホンマ何してくれとんねん、家がほとんど無くなっとるやんけ…玄関以外…。きさまら、ガッちゃん並の食い意地やのー!どーすんねんこれ?!」すると、変ゼルは慌てて振り向き謝りました。

「悪いねんけど、胃薬かなんかもらえへんか?わしら二人とも腹の調子が悪いねん、頼むわ!」そこに立ってたのはお婆さんでした。お婆さんは笑いながら言いました。

「アホやろ、きさまら。雨ざらしで築三十年の家やぞ。腐っとるに決まっとるやろ。バーカ!」ダークグレーテルも謝りました。

「何やてぇー、われ!消費期限ぐらい書いとけや!それに見た目は全然大丈夫やんけ!」お婆さんは丁寧に答えました。

「一口くったらわかるやろ、普通。大体、おのれら、わしを誰やと思ってんねん?魔女やぞ。家に魔法かけて見栄えがするようにしてんねん。」ダークグレーテルは言いました。

「見栄え気にするんやったらいっそ腐らんようにしとけや、こら!」それに割り込むように変ゼルは言いました。

「嘘やん!魔女なん?それも自分からカミングアウトする?わし、その立派な鼻見て、てっきり妖精の国から来た妖精さんかと思ったわ!」お婆さんはそれを聞いて嬉しそうに言いました。

「なかなか嬉しいこと言うやんけ、われ。ボキャブラリー多いんか少ないんかわからんけど、多分、アホやな。まぁ、ええわ。立ち話もなんやし、とにかく家入れや。とっ、ちょっと待ってや…このドアが開きにくいねん。あー、あかんなー今日も調子悪いわ。」ダークグレーテルは言いました。

「調子の問題じゃのーて、グニャグニャした板コンニャクやから開かへんのちゃうん?!なんでコンニャクにしてん。」お婆さんは答えました。

「そら、泥棒対策やろ。コンニャクはあの有名な斬○剣でも斬れへんからなー。」ダークグレーテルはさすがにこれにはツッコミました。

「お前もアホやろ。斬○剣で斬れんでも、普通の包丁で切れるわ!そもそも、泥棒が玄関からはいるとは限らんやろ?!」

「いちいち、うっさいなー。お前だけ家に入れへんぞ。あっ、やっと開いたわ。とにかく入れや二人とも。優しいなぁ、わし。狭いところやけど、どうぞ。」二人は中に入れてもらい、すかさずダークグレーテルはお礼を言いました。

「せっまっ(狭い)!」変ゼルもお礼を言いました。

「くっさっ(臭い)!」お婆さんは気にするなという感じで、

「お前ら忖度そんたくって言葉しらんのか…」変ゼルは驚いて言いました。

雀卓じゃんたく?」「そ・ん・た・く!大体子供のお前が何で雀卓知ってんねん!」変ゼルはさらに言いました。

「雀卓ってなんやねん?」

「お前が言うたんやろ!かっ〜、頭がおかしくなりそうや!」とお婆さんが言ったので、ダークグレーテルは心配そうに言いました。

「元々、頭おかしかったやろ!」するとお婆さんはその気遣きづかいに感謝して、

「お前らだけはころ○ぞ、ほんま!とにかく、ほれ、これでも飲んどけや!」と言いながら小さな箱をテーブルに投げました。これに驚いた変ゼルは慌てていいました。

「このTable、きりで出来てるんちゃうんけ?!ムッチャ渋いやん。」ダークグレーテルも直ぐにおびしました。

「変ニィ、お前にこのTableの材質が分からんの知ってんねん。ホンマ、誰にアピってんねん。あっ、この薬、早めのパブ○ンやんけ!何風邪薬出しとんねん、ババァ!とっと太田出せや!」お婆さんは口角をあげながら言いました。

「ここは薬局じゃあーりませーん。そんなんないわ!アホタレ。」今度は変ゼルがお礼を言いました。

「それやったら、デザート出せや!プリンでいいから。わし、家から持ってきた家宝のスプーンをまだ1回も使ってへんねん。頼むから使わせてくれや!」お婆さんは言います。

「お前、家でどんな教育受けたらそんな図々しくなれんねん。親の顔が見たいわ!」ダークグレーテルが答えます。

「この森抜けて1キロぐらい歩いたらプアー村があるから、その村のオーシャン・ゼリーゼ通りの1番汚い家におるわ。」お婆さんが首をかしげて言います。

「何の話しとんねん、われ?!」ダークグレーテルは更に続けます。

「ババァが親の顔見たいって言うたん違うんか?!あぁ←。トットと見に行けや、ほら、何しとんねん。見たいっていうたやろ!嘘なんか?子供や思ってバカにすんなよ!」とうとうお婆さんは観念して言いました。

「例えやろ、タ・と・絵!これやからガキは好かんねん。お前、大人から嫌われてるやろ?!分かるわ、ほんま。可哀想にな。しゃーないから、この老骨にむち打って、さらに倍、ドン、腕にりをかけて魔法でプリン・あっ・ラモード作ったるわ。」

「魔法やねんから、鞭も腕も使ってないけどな。」ダークグレーテルはつぶやきました。変ゼルも負けじと言います。

「いいから、もったいつけんとはよ出せや、ババァ!」お婆さんは言いました。

「ホンマ、口が減らんカギたちやな!おとなしく待っとけや!ほんま親の顔が、」するとダークグレーテルはすかさず、

「だから言うたやんけ!森抜けて、」

「も~分かったから堪忍かんにんしてくれ!わし、こう見えても、もう九十歳やぞ!」変ゼルは驚いて言いました。

「全然、見えへんわ!てっきり十八歳かと思ったわ。」ダークグレーテルは変ゼルの言葉に驚いて言いました。

「嘘こくなや!何媚なにこび売ってんねん!どこからどー見ても、仮にノ・ゾ・キ・ア・ナからみても百歳オーバーのしわくちゃババァやろ!なんやねん、その変なおべんちゃらわ。もしかして、また、こんなときに無駄なスキル身につけて、確変に入ったんか?!それともただの熟女好きなんか?それにしてもストライクゾーン広すぎやろ!お前のバットどんなけ長いねん!普通の人は絶対届かんぞ!」さすがにお婆さんは何も言わず、体を支えていた長い杖をおもむろに高くかかげて振り回しました。

「キえ〜ッ!」するとなんてことでしょう。お婆さんが振り回しました杖が残っていた唯一のチョコレートの窓に当たり粉々になりました。変ゼルは肩を落として言いました。

「あ~ぁ、やらかしたなぁ、ババァ。枕元にもったいないお化け出んぞ。絶対!」お婆さんは言いました。

「いいから、はよー食べろや、窓を犠牲にしてまで作ったんや。旨いこと間違いなしやで。」二人はしかたなくプリンを食べました。二人とも手掴みで。一口食べて変ゼルが驚愕きょうがくして言いました。

「なんやこれ?どういう味や、わしには表現できひんわ。」仕方無くダークグレーテルが食レポします。

「わしもビックリしてホンマやったら何も言われへんとこやけど、おい、こら、ババァ!このプリン腐っとるやないけ!どういうことやねん!しかも、くっさ~ッ。」お婆さんが言いました。

「普通、食べる前に分かるやろ。見た目と臭いで。それは一ヶ月前のプリンや。」これに怒った変ゼルは、

何敷なにしくサットンねん、ババァ!さっきも消費期限書いとけ言うたやろ!」これには普段温厚なダークグレーテルもさすがにキレました。無理難題、嫌味連発《けれんみれんぱつのオカンが怒るように。

「なんで、魔法使って消費期限切れの、それも一ヶ月前って。それやったら手作りにしろや。おまえには、『お』・『も』・『し』・『ろ』・『い』。おもしろい!って、違うわ!おもてなしや、お・も・て・な・し!の心がないんか!」お婆さんは言い返します。

「最近スランプでな。悪気はないねん。許せよ〜。」すると、突然、変ゼルが苦しみ出しました。

「う〜ーう〜ん…」ダークグレーテルは心配して駆け寄りました。

「どうしてん、変ニィ!」変ゼルはもがきながら言いました。

「ぼく、もう疲れたよ、パトラッ○ュ…」と言いながら倒れ込みました。ダークグレーテルは変ゼルを揺り動かし言いました。

「変ニィーんニィニィーィーー…」ダークグレーテルは涙を1リットル流しました。花粉症で。すると、今度は、ダークグレーテルが苦しくなりました。

「どういうことや?ババァ?!」お婆さんは言いました。

「今ごろ気づいても手遅れや。そのプリンには魔女特製の薬をいれてんねん。ヒッヒッヒッヒッ。」ダークグレーテルは最後の力を振り絞ってお婆さんに言ってやりました。

「薬を特製にするなら、プリンも特製にしてくれや…あかん…意識が…だんだん…とおのく…」それでもダークグレーテルはラー○・ヌー○バーのようにさらに力を振り絞って言いました。

「ダークグレーテルは死すとも自由はゲフッ…」ダークグレーテルも事切れました。お婆さんは口を開きました。

「やっと、落ちたか…長いねん、きさまら…ドキドキしたやんけ。もう夜の九時五十分やぞ、毎週楽しみにしてる韓流ドラマがあと十分で始まるやんけ。あー楽しみや。コイツラ途中で起きひんよーに強烈な睡眠薬をプリンに混ぜたからな。明日まで寝てろ、あほ!」


「この作品はフィクションでパロディです。実在の人物や団体などとはいっさいがっさい関係ありません。」


おしまい


次回、大事な硝子がらすの靴の片方を落としてしまった不幸な女性。『シン・デレラ』どうする?郷する?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

変ゼルとダークグレーテル 長靴しかはいていない人 @HideKura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ