恥の教団

ボウガ

第1話

 ある怪しい宗教組織。幹部や教祖が頭に黄色い布をかぶっており、若者に下半身を下着で過ごさせたり、朝昼晩必ずギャグを考えさせたり、時折教祖のいうままに、組織、社会規範にずれたことをやらされたりする。例えば、タバコを吸えとか、隣の人の悪口をいえ。とか。

 普通に見れば非常な非人道的組織なのだが、教祖の悪い噂はきかないし、それどころか聖人であるという噂さえある。まあ、ある種"ストックホルム症候群"の結果といえるかもしれないが、が、ここでは“ある条件”を整えると組織から解放されるのだという。だが若者たちはその条件が何か一切思い出せないでいる。


 しかしここに来た理由なら何となく覚えているという。自殺しようとした次の日にここにきた。もしかしたら死に関する何かを克服すればいいのではないかと、ひそかにささやかれる。だがそれが一番難しいのは彼ら自身がしっていいる。なぜならここの若者たちは全員自殺願望が強く、ほおっておくと、自傷行為を繰り返してしまうからだ。


 ある若者たち、”模倣教徒”とよばれるものたちが、深夜にコソコソと会話している。皆同じ部屋でねかされるし、幹部、大人の教徒の監視は厳しいが夜は薄れることもあって、こっそりと、布団をかけたまま数人でコソコソ話をするのだ。彼らはある謎について話していた。

少年がいう。

「ここにきて、死にたいと口にすることが多くなった……なぜだろう?前はそうした気持ちを隠していた、隠して自傷行為をしていた……それでいまは隠していたころより、死にたいという気持ちが減った気がする」

少女がいう。

「そういえば、この宗教はいつも"恥ずかしい事"をさせるけど、そのたびに私たちは悲しくなっていうのよね"死にたい"って」

太った少年がいう

「そういえば、"死にたい"っていう人間は、なかなか死なないっていう噂もある、僕らは"模倣教徒"と呼ばれているけれど、だれも自傷行為する人はいない……という事は」


 彼らの予想は当たっていた。彼らを隔離している"教祖"はとある科学者、マッドサイエンティストともよばれていたが、親や国から依頼をうけて"自殺願望のある若者を助けろ"という依頼があり、この教団をつくったのだ、実のところ単純に更生施設なのである。


 公にインタビューされたとき彼はいった。

「人が、恥ずかしい記憶を思い出すとき、死にたいというけれど、それは本心ではありません"死にたいほどつらい"です、そしてそれを共有する仲間さえいれば、本当は死を乗り越えられるのです」

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恥の教団 ボウガ @yumieimaru

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