第128話 邪神復活

改変内容

第125話の最初に悪魔の門でのエクセル達の会話を追加。

第126話と第127話の内容変更。

エクセルとエリクシアのスキルに詠唱破棄を追加。

となっております。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「それじゃあ、同時に行くわよ!」


 エルフとピエロがジャバウォックを挟み、両方からメテオフォールを放つ姿だった。エクセルの横にポーションの空き瓶が転がってる。さては魔力ポーションを飲みやがったな!


「そうはさせない!」


 僕はすぐにジャバウォックに結界を張って守る。それを見たエリクシアがニヤリと笑った。


「そう来ると思ってたわ。あなた、明らかにコイツに当たらない魔法を選んで使ってたしね」


 エリクシアはそれだけ言い放つと、自分が放ったメテオフォールの軌道を変え、扉に張ってあった結界へとぶつけた。


 バリィィィン!


 相当魔力を込めたのか、僕の張った結界が壊されてしまった。いや、それだけじゃない。ジャバウォックに張った結界に魔力を使い過ぎたんだ。

 その分、最初に張った結界が弱くなってしまったんだ。


 そして、エクセルも巨大な隕石を操り、剥き出しになった悪魔の門デビルズゲートへとぶつけた。



「来るで! 来よるで!!」


 やられた。間に合ったと思った僕の油断と、魔法に対する知識不足を突かれて扉の破壊を許してしまった。先に壊された天国への扉ヘブンズドアーと合わせて、邪神の封印が解かれてしまう。


 ゾクリ


 壊された扉から溢れ出す邪気に背筋が冷たくなる。ジャバウォックも心なしか顔が青ざめているようだ。


 そしてすぐに、破壊された扉から巨大な蛇のような鼻先が現れた。


 ドッゴォォォォン!


 その瞬間、もの凄い巨大な蛇……いや巨大な竜の頭が扉の周囲を破壊しながら強引に這い出して来た。


種族 邪神

名前 ヴリトラ

ランク  ――

レベル 300

体力    9999/9999

魔力    9999/9999

攻撃力   7777

防御力   7777

魔法攻撃力 7777

魔法防御力 7777

敏捷    7777


スキル

神の眼

神の身体

神の衣

共鳴

分身体召喚

水其全包込者也

時空其時流操者也


称号

神の恩寵



 まずい、これは本当にまずいやつだ。


 巨大な竜の頭が辺りを見回し何やら呟いたかと思うと、その大きな身体が急速に縮まり数秒後には全長20mくらいの蛇竜がとぐろを巻いて鎮座していた。

 ダークグリーンに輝く鱗。一対の大きな翼。後ろ足はなく、前足には4本の大きなかぎ爪がついている。蛇特有の瞳でこちらを睨みつけ、口からは赤い舌がチロチロと顔を覗かせている。


「よくやった、我が使徒よ」


 意外にも念話じゃなく、ヴリトラの重く暗い声が響き渡った。


「滅相もありまへん。ワイは自分の使命を果たしただけですわ」


 エクセルは片膝をつき、頭を垂れて邪神に言葉に応える。


「して、我が使徒よ。そちは何を望む?」


 まるで僕なんかいないかのように、あいつらの話が進んでいく。しかし、僕はヴリトラのプレッシャーに足が動かない。ジャバウォックにいたっては、小刻みに震えているぞ。


「ヴリトラ様。ワイが望むのは後にも先にもひとつだけ。くそ女神の手下が創った下等種族を滅ぼすことや」


 うおおい、マジか!? そんなことしたら、この世界にお前とそこのエリクシアとオッチョさんしか残らんだろ!? あ、一応僕もか?


 こいつはマジでやばいことになってきたぞ。


「魔神のよ。その方の願いは何だ?」


 おいおい、邪神のくせに何て太っ腹なんだ。エリクシアの願いまで叶える気かよ!?


「はい、邪神様。私の願いは魔神様の復活です」


 待て待てい! 邪神だけでもヤバいのに、まさか魔神まで復活するとかないよね?


「ふむ、我が力をもってすれば魔神の復活も可能であるが、それには器が必要になるぞ。何せヤツは我と違って、肉体は滅ぼされてしまっているからな」


「承知の上でございます。器にはこの身体をお使いください」


 何と、エリクシアは自分の身を犠牲にしてまで魔神を復活させたいみたいだ。しかし、これは困った。何とかどちらも止めたいんだけど、勝てる気がしない。

 今の隙にジャバウォックは回復しておいたけど、すぐに状況を悟ったのか入り口付近で震えている。僕が何とかしないと……


「その方の覚悟は受け取った。我がスキルにて魔神の魂を呼び寄せる。しばしの時がかかる故、そこの虫ケラに邪魔させぬように押さえておくのだ」


 ヴリトラがこちらを見ることもなく、エクセルに命令するが……


「ちょっと待ってくんなはれ! ヴリトラ様にとっては虫ケラで間違いありまへんが、ワイにとってはちょーっとだけ荷が重いかもしれまへん!」


 くそ! エクセルめ! 自信がないのか必死に邪神に頼りやがって!


「では、我が分身体を呼び出そう。多少戦力は劣るが、数があるから問題ないだろう」


「おおきにヴリトラ様!」


 調子のいいエクセルめ! こっちを向いて指なんか立てやがって!


 こちらを煽ってくるエクセルには構うことなく、ヴリトラが何かを呟くと黒い渦が現れ、そこからどんどんとヴリトラを小型にしたような蛇竜が溢れ出してきた。


種族 邪神の分身体

名前 なし

ランク  SSS

レベル 200

体力    4444/4444

魔力    4444/4444

攻撃力   4444

防御力   4444

魔法攻撃力 4444

魔法防御力 4444

敏捷    4444


スキル

水魔法 Lv30

聖耐性 Lv30

闇耐性 Lv30

炎耐性 Lv30

水無効

風耐性 Lv30

土耐性 Lv30

全状態異常耐性


称号

邪神の分身体


 おや? おやおやおや? これはひょっとして、チャンスなのでは?


 邪神さん、神の眼を持ちながら余裕をぶっこいて僕のことを鑑定しなかったな? これなら一発逆転できるかもしれない。それには最初が肝心だ。よし、ジャバウォックにも協力してもらおう!


〈ジャバウォックさん、これはチャンスかもしれない! 実は僕のレベルはまだ120なんだ。この分身体を倒せばレベルが上がるかもしれない。今はステータスは向こうが上だけど、一体倒せば多分いけるはず! ビビってる場合じゃないよ!〉


〈むぉ、本当か? いけるのか? 我は何をすればいい?〉


〈最初に来た一体を何とか倒したいから、一瞬でいい動きを止めて!〉


〈よ、よし、最初に来たやつだな!〉


 そして、この世界の命運をかけて僕とジャバウォック共闘が始まった。

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